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走性と本能行動の違いについて

走性と本能行動のそれぞれの定義って何でしょうか?両者の違いが分からないのですが…。 と言うのも、高校の教科書(第一学習社)では、カイコガの性フェロモンに関する行動は本能行動だとしています。下記は、教科書の該当箇所の引用です。 『動物では、ある種の化学物質を分泌し、それがかぎ刺激となって同種の個体に特有の本能行動を引き起こすことが知られている。たとえば、カイコガの雌は、腹部の末端から特定の化学物質を分泌し、それを受容した雄を引きつけて生殖行動を起こす。このような化学物質は、フェロモンと呼ばれ、体外に分泌されて微量で働く。』 ここでの生殖行動とは雄のはばたき行動のことであり、それが本能行動だということでしょうか。つまり、雌に近づく行動は化学走性だと? それとも、はばたき行動と近づく行動をまとめて生殖行動とし、それは本能行動ということでしょうか? では、ゴキブリの集合ホルモンは、本能行動?走性? ご存知の方がいらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。

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  • suiran2
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回答No.3

本能行動の定義と言うことですので,現在の行動学での定義は,「本能行動とは,目的意識はないが,高度で合目的的行動で,生得的(学習等から得る後天的でない)な行動。」と思います。 本能行動の特徴的な現象は,本人に目的意識がないことです。例えば,鳥の巣作りで,巣に小枝を運ぶ場合途中で落としても,巣まで行き,巣作りをあたかも小枝があるかのようにしてから,また枝探しに出かけます。 また,卵を抱くカモメは目の前に卵があると,嘴で腹に入れますが,途中で卵を取り去っても,あたかも卵があるかのように嘴で腹に入れようとします。 本能行動は,多数の「走性」や「反射」が組み合わさったものです。そしてその組み合わさったものが,全体で高度で合目的的な行動の場合を言うわけです。 カイコガの交尾行動も本能行動と思います。しかし,行動を分析すれば,性フェロモンを感知すると,羽ばたきます。これは空気を後ろに動かしてより性フェロモンを感知しやすくする反射です。次に,左右の触角に性フェロモンが等しく感知できるまで回転します。これも反射です。方向が定まったらそちらに向かいます。これは化学走性です。性フェロモンが一番濃い部分が感知できたら,交尾しようとします。例え割り箸の先でも…これも反射です。 理解いただけましたでしょうか…

greenhouseeffect
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。お礼が遅れまして申し訳ありません。 >本能行動は,多数の「走性」や「反射」が組み合わさったものです。そしてその組み合わさったものが,全体で高度で合目的的な行動の場合を言うわけです。 これこそ求めていた答えですね。なるほど、納得いたしました。カイコガの行動を例に詳しく解説いただき、とても分かりやすかったです。

その他の回答 (3)

回答No.4

ゴキブリが集合フェロモンに集まってくるのは、本能行動であり走性です。 本能行動と走性は対比できる概念ではないですから、片方にしか当てはまらないもの、両方に当てはまるもの、どちらにも当てはまらないものがあって当然です。 走性はある刺激(光、化学物質、重力など)に対して誘引される(または負の走性として忌避する)ことですね。この定義でいけばゴキブリがフェロモンに誘引されるというのは走性です。しかし、走性はゾウリムシのような単細胞生物にも細菌のような原核生物にも、または精子のような生物の細胞の一部としても見られる現象です。しかし、これらは本能行動とは呼ばれませんね。 本能行動とは、中枢神経に生得的にプログラムされた雑さ(複数の動作要素の統合)をもった行動です(単純なものは反射と呼ばれます)。本能行動には、それを引き起こす感覚刺激(リリーサー)があるものですが、そのひとつにフェロモンがあるわけです。フェロモンを感知して引き起こされる、方向を変えそれぞれの足を制御して走るという行動、あるいは一連の生殖行動も、反射とは区別される複雑さがありますので本能行動です。

greenhouseeffect
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。お礼が遅れまして申し訳ありません。 No.3の方の補強のようなご説明でしたが、非常に分かりやすかったです。

  • gc-ms
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回答No.2

「一般的に用いられている本能の意味は,動物が練習や模倣等(経験)を必要とせずに行い,繁殖や個体維持の目的に適応した行動ないしその原動力となるべきものです。しかし,これは今では記述のための概念としてのみ用い,説明概念としては用いられていない」,と岩波の生物学辞典は述べています。 一方走性は,生物が外部からの刺激に応答して起こす移動運動のうち,方向性が認められる運動のことをさします。 走性は,その生物が運動を示す対象(ここではフェロモン)に対し,事前に触れるなどの経験をしているかしていないかは問題としていないことに注意が必要です。現在の生物学ではどこまでわかっているのか知りませんが,走性は経験によって形成された行動でもいいわけです。  ですから,走性のなかには本能的な行動も含まれるしそうでないものも含まれると考えられます。 さて,質問に挙げられている例ですが,メスに近づく行動は走性(走化性)です。で,その走性自体はオスの経験によらない行動です(と現在の生物学的知見では考えられている)ので,本能的な行動と言えます。ゴキブリの集合ホルモンについても同様に経験によらないと考えられるので,その走化性は本能行動と考えられます。  本能行動かそうでないかは集団あるいは刺激源から隔離した個体の行動を調べらることによって確認することができます。

greenhouseeffect
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。お礼が遅れまして申し訳ありません。 走性と本能行動を別物として考えている点は納得しました。ただ、 >走性は経験によって形成された行動でもいいわけです。 この点がちょっと気になりました。資料によっては「生まれつき備わった行動で…」という条件がありました。

  • kochory
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回答No.1

現象を見るレベルの違いじゃないでしょうか。 つまり、動物行動学的に見たときは本能行動といい、 生理学・生化学的に見たときは走化性という、ということで。 あと、走化性という用語は、細胞や微小な生物についてはよく使いますが、 ある程度の大きさを持った生物個体についてはあまり使わないと思います。

greenhouseeffect
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。お礼が遅れまして申し訳ありません。 学問の違いという考え方は、なるほどと思います。ただ、動物行動学と生理学のそれぞれの視点というものがよく分かりませんでしたのでピンときませんでした。スミマセン。

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