典型例は二者択一回路。
出 力
↑ ↑
A⇔B
↑ ↑
入 力
AとBに別種の入力があって、AB間に相互抑制があるとする(とりあえず抑制性の介在ニューロンがあるとする)。Aへの入力が強ければBの出力が抑制されるし、逆もまたしかり。つまり相互抑制回路ABを噛ましてやるとちょっとでも強いほうの入力が独占的に出力するようになる。
これを拡張すると、ピーク検出回路になる。
出 力
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
A⇔B⇔C⇔D⇔E⇔F⇔G⇔H
↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑
入 力
A~Hそれぞれに抑制がかかっていた場合、全体の中で少しでも強かったやつ(ピーク)を強調する回路になる。出力を受ける側のゲインを調整するか、フィードバックをかましてやれば差分強調回路として機能する。
応用として、「音声信号など元スペクトラムのままでは多義的で一意に解釈できない」信号のピークをとることである音声がどの音素に対応しているかを検出する(一番可能性の高いピークを選ぶ)とか、画像のエッジ検出、ステレオ画像の対応点検出&奥行き計算に用いることができることが知られている。一部はコンピュータでの実装例がある。ただしあくまで計算上できるようだといわれているだけで、実際脳の中でそうなっているかどうかは詰めきれていない。
ただし、現に人間の脳の中にある特定の抑制性シナプスが、脳の情報処理においてどういう意味を持っているかを断言するのはちょっと不可能。脳の情報処理は人間の頭で考えるにはかなり複雑なもので、解析の進み具合ははかばかしくない、というのが現状。ピーク検出以外にもいろいろな用途があることが知られているが、間違ったことを書かないためにも調べ物しないとちょっと怖いので、ここでは書かないことにします。
研究室の予算が微妙に足りないので、最新の研究成果をなかなか一般向けの本にできません。困ったものです。