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集団的自衛権、集団的安全保障

 なぜ、集団的自衛権が集団的安全保障の根拠になっているのですか? 国連憲章51条は、集団的安全保障を実現するための条文だと聞きましたが、 51条は加盟国への集団的自衛権を認めたものではないのですか?

noname#40542
noname#40542
  • 政治
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  • kaplan
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回答No.2

”なぜ”集団的自衛権が集団的安全保障の根拠になっているのかとお尋ねですが,そもそも前者が後者の根拠になっているという見解自体に検討の余地があるかもしれないとはお考えにはなりませんか? 集団的自衛権が個別的自衛権から派生したものであることはご存知だと思います.つまり,A国がB国から武力攻撃などを受けた場合,A国が自ら行使するのが個別的自衛権で,C国がA国の自衛に協力する際に行使するのが集団的自衛権です.A国とC国の間で,B国その他の第三国から武力攻撃などを受けた場合に自衛権を共同で(すなわち集団的に)行使する体制のことを個別的安全保障と呼ぶこともあります.ここで重要なのは,集団的自衛権/個別的安全保障はA国がC国を武力攻撃した場合,あるいはC国がA国を武力攻撃した場合については何ら規定しないということです. 同じことはA国の自衛にC国だけでなくD国やE国などが関わった場合にもいえます.ここで行使されるのはA国の個別的自衛権とC国,D国及びE国の集団的自衛権です.これだけでは個別的安全保障体制に過ぎず,これらの国のあいだで起こる武力攻撃には何もいったことになりません. 集団的安全保障は質的に異なります.基本的に集団的安全保障体制とは,構成国のうちいずれかが他の構成国に武力攻撃などを行った場合に,被攻撃国と残りの構成国が共同で攻撃国に対抗することをいいます.つまり構成国が共同で相互の安全を保障するということです. もちろん,集団的自衛権/個別的安全保障と集団的安全保障はお互いに相容れない概念ではありません.しかし両者がお互いを排斥しないという事実と,前者が後者の”根拠”となっているという命題はまったく別です.国連憲章51条は,次の二つのことを示しています:(1)集団安全保障体制としての国連憲章は加盟国の個別的/集団的自衛権を剥奪するものではない(つまり相反しない);(2)安全保障理事会が事態を掌握した時点で集団的安全保障体制が加盟国の個別的/集団的自衛権に優越する.このことから第51条が”集団的安全保障を実現するため”だけの条文でも”加盟国への集団的自衛権を認めた”だけの条文でもないこと,また加盟国の集団的自衛権が集団的安全保障の”根拠”になっているわけではないこと,がわかります. ちなみに,国際連合が根本的に集団安全保障体制であることはyou19994さんご指摘の憲章第1条1項と,第2条4項に反映されています.でも実は,憲章をよく読むと国連が個別的安全保障体制としても機能し得ることがわかってきます.とくに,第51条のいう”armed attack”をしかける主体が国連加盟国である必要がないこと,また第39条のいう”threat to the peace”,”breach of the peace”および”act of aggression”が国連加盟国間で起こるものに限られるとはどこにも書かれていないことは見逃せません.実際,国連加盟国どころか国家ですらないアクターによる国際テロリズムが国連によって”平和への脅威”として対処されています.

noname#40542
質問者

お礼

 とても丁寧なお礼をありがとうございます。 kaplanさんは専門家でいらっしゃるそうで、大変ありがたいです。 そうですね、「この見解は正しいの?」と思いましたが、 知識がまだまだ浅いもので、踏み込んで検討はしませんでした。  kaplanさんの回答を読んでいて、 「これらの国のあいだで起こる武力攻撃には何もいったことになりません」 までは何度も読みかえし、関係を取り違えないようにしながら「???」状態でしたが、 その次の段落を読むと、kaplanさんのおっしゃる事がよくわかりました。 それから、集団的自衛権が集団的安全保障の根拠であるわけではない、 という事も実感としてわかったような気がします。 曖昧ですみません。  私は国連憲章は英文ではなく、日本語の公定訳で読んでいるのですが、 確かに主語が国連加盟国である必要はないんですよね。 そういう視点での読み方もあるのかと嬉しい気持ちです。 現在の世界情勢を見ると「おもしろい」と表わすのは不謹慎かもしれませんが、 やっぱり「面白い」と思ってしまいます。  わかりやすい回答、ありがとうございました。

その他の回答 (1)

  • you19994
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回答No.1

よく条文を読んでみてください 51条で認められた集団的自衛権はあくまでも「安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」認められたものにすぎません。 つまり、自衛権の発動は集団的安全保障内における暫定措置として扱われているのです。 集団的安全保障を実現するための直接的な根拠は 第1条1「国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整または解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。」 ということになろうかと思います。 平和に対する脅威の認定を行う安保理の権限を規定した24,25条、 具体的措置として39条、40条、41条、42条があるのです。

noname#40542
質問者

お礼

 ありがとうございます。 お礼が遅くなって申し訳ありません。  今回、始めて集団的自衛権や安全保障といった事について真面目に考えたのですが、 なにせ素人ですので考えれば考えるほどこんがらがっちゃいます。 you19994さんの回答を受けて、国連憲章を何度も読み直しています。 スカっとわかった・・・とは言い難いですが、概念、というか 言わんとしている事、は飲み込めてきたように思います。 奥が深いです。そしておもしろいです。

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