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チェーホフ(桜の園)
トロフィーモフ(学生とありますが)の年齢は何歳と設定されているか教えてください。
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第三幕のラネフースカヤのセリフの中に、「あなたは二十六か七のはずね」という部分があります。 ただし、ラネフースカヤという女性は、現実感を欠いているところがあるので、この言葉をそのまま鵜呑みにしても良いかどうか。 というところで、少し見てみましょう。 トロフィーモフは六年前、七歳で亡くなったグリーシャの家庭教師として、アンドレーエヴィチ家にやってきます。当時、すでに大学生でした。 外見は、第一幕によると、 ----- トロフィーモフ:汽車のなかでもどっかの百姓婆さんに、“ねえ、禿の旦那”って言われました。 ラネーフスカヤ:あなたはあのころ(※六年前)、まるで子どもで、可愛い学生だったわ。それが今じゃ、髪の毛も濃くはないし、眼鏡まで。ほんとに、今でも大学生なの? ----- とずいぶん老けている。 第二幕でも、 ----- ロパーヒン:この人は、そろそろ五十になるというのに、相変わらずまだ大学生だ。 トロフィーモフ:愚劣な冗談はいい加減にしたまえ。 ロパーヒン:何を怒るんだね、変わってるなあ? ----- 怒っているのは、老けて見えることを気にしていることもあるのでしょう。 同じく第二幕、アーニャに向かって「僕は、まだ三十にならない、僕は若い、まだ学生ですが、これでずいぶん苦労はして来ましたよ!」というセリフがあります。 以上のことから、おそらくラネフースカヤの「二十六か七」をそのままに受け取っても良いのだろうと思います。 トロフィーモフがまだ二十代なのにそんなに老けて見えるように設定されているのは、おそらく彼の両義性の現れ(薬屋の息子で、貴族でもなく、新興階級でもない、永遠の学生であってインテリゲンチャでもない)と見て良いかと思います。 引用は神西清訳 新潮文庫より
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とても参考になりました。ありがとうございました。