殺人罪が痴呆症で不起訴。受け入れ先は？

質問

知人のお父様（高齢）が殺人を犯して精神鑑定の為に精神科に入院していましたが、痴呆症の為、不起訴になりそうだと検察から連絡が入ったそうです。

釈放となっても知人はお父様を引き取る気はなく、一切関わりたくないと言っています。

検察から生活保護の申請及び、入院できそうな病院、もしくは老人ホームなどを探してくださいと言われたそうですが、知人は精神的にいっぱいいっぱいで、とても無理だそうです。

他に家族も居らず、どうして良いか大変悩んでいます。

知人が見放した場合、お父様はどうなってしまうのでしょうか？

殺人を犯した高齢者を受け入れてくれる病院や老人ホームがあるのでしょうか？

個人の力では無理な気もしますが‥

私的には知人はもう関わらない方が良いと思いますが、お父様の事が気になって仕方ない様子なので心配です。

回答No.1

georgie-porgie · ベストアンサー

> お父様はどうなってしまうのでしょうか？
> 殺人を犯した高齢者を受け入れてくれる病院や老人ホームがあるのでしょうか？

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」
という法律があります。
同法の目的は、
心神喪失又は心神耗弱［こうじゃく］の状態で重大な他害行為を行った者に対し、
その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、
もってその社会復帰を促進することです。
殺人は同法にいう「対象行為」です。

検察官が不起訴処分をする前に、
そのご高齢の男の人を受け入れるべき医療施設又は福祉施設が
決まらない場合は、
不起訴処分をした検察官が、
同法の規定に基づいて、
地方裁判所に対し、
彼の医療上の処遇について決定をすることを申し立て、
これを受けて裁判所が、
同法の規定に基づいて、
必要に応じて医師に鑑定を命じその鑑定を基礎として、
その決定をすることになります。

そのご高齢の人が、認知症のために、
殺人について不起訴になるということは、
検察官が、
彼が認知症の症状による心神喪失又は心神耗弱［こうじゃく］の状態で
その殺人を行ったことを認めて、
これについて、公訴を提起しない処分（＝不起訴処分）をする、
ということでしょうね。

検察官は、
「被疑者が対象行為を行ったこと及び心神喪失者若しくは心神耗弱者であること」
を認めて公訴を提起しない処分をしたときは、その処分を受けた対象者について、
「対象行為を行った際の精神障害を改善し、
これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために
同法による医療を受けさせる必要が
明らかにないと認める場合」を除き、
地方裁判所に対し、
同法第四十二条第一項の決定をすることを申し立てなければならないと
されています（同法第三十三条第一項）。

裁判所はこの検察官の申立てを受け、
必要に応じて医師に鑑定を命じその鑑定を基礎として、
医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定か
入院によらない医療を受けさせる旨の決定か、
同法による医療を行わない旨の決定かの
いずれかをすることになります（同法第四十二条第一項）。

心神喪失とは、
理非善悪を判断する能力と、自己の行動を制御する能力の、
一方又は双方が失われた状態をいい、
また、心神耗弱［こうじゃく］とは、
それらの能力の一方又は双方が著しく低下した状態をいいます。

刑法では、
心神喪失者の行為は罰しないと定めています（第三十九条第一項）。
心神喪失の状態で行った犯罪行為については、
行為者の刑事責任を問うことはできないと考えられるからです。
検察官は、
被疑者が認知症の症状による心神喪失の状態で犯罪行為を行ったと
判断する場合、
その犯罪行為については不起訴処分をすることになります。

また、心神耗弱者の行為については、
刑法では、その刑を減軽すると定めています（第三十九条第二項）。
心神耗弱の状態では正常な状態に比べて、
刑事責任能力が低くなっていると考えられるからです。
検察官は、
犯罪行為が心神耗弱の状態で行われたと判断する場合、
その犯罪行為について、
起訴処分をすることも、不起訴処分をすることもできます。

> 検察から生活保護の申請及び、
> 入院できそうな病院、もしくは老人ホームなどを探してくださいと
> 言われたそうです

民法では
「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と
定めています（第八百七十七条第一項）。
あなたのその知人には、
直系尊属であるその認知症の父親を扶養する義務があることになります。
ただ、認知症の重い症状が出ている高齢の家族を、
同居して直接、介護することは、
現実には困難だろうと思います。

検察官はおそらく、
そのご高齢の認知症の被疑者をよく知る息子であれば、
本人にとって適切な医療上又は福祉上の処遇を選べるだろうと期待して、
医療施設又は福祉施設を探すことを息子さんに提案したものと、
推察されます。

息子さんが探すにせよ、検察官や裁判所が関与するにせよ、
そのご高齢の人にふさわしい施設が見つかると良いですね。

お礼

こんなに詳しく御回答下さったにも関わらず、御礼が遅くなり大変失礼致しました。

知人に文面をコピーして送りました所、本当に有り難いと返事が返って参りました。

検察官から電話があったのが先月末だったそうですが、再度連絡はないそうです。

検察官が不規則処分するに当たって申し立て等に時間がかかっているかもしれないのですね。

知人はお父様に散々迷惑をかけ続けられた挙げ句、今回の事件で精神的に疲れ果てています。

他のきょうだいも見捨てている状態で、知人だけが苦しむのは見ていて可哀想です。

私は法律に疎く何のアドバイスも出来ませんでしたが、御陰様で知人を安心させる事ができました。

心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。