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回答No.2

1 事案 本件は,市がその所有する土地を本件神社の施設の敷地として無償で使用させていることは,憲法の定める政教分離原則に違反する行為であって,敷地の使用貸借契約を解除し同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民であるXらが,市長であるYに対し,地方自治法242条の2第1項3号に基づき上記怠る事実の違法確認を求めた事案である。 1審判決,原判決とも,本件利用提供行為は政教分離原則に違反するとして,Yが本件町内会に対し本件神社物件の撤去及び土地明渡しを請求することを怠る事実が違法であることの確認を求める限度で本件請求を認容すベきものと判断した。Yからの上告に対し,第三小法廷は,これを違憲としつつも、判決以外の他の手段により違憲状態の解消ができるはずだとし、裁判官の釈明義務違反を認定して差戻した。 2 違憲判断の検討 本判決は、「憲法は,政教分離規定は,いわゆる制度的保障の規定であって,信教の自由そのものを直接保障するものではなく,国家と宗教との分離を制度として保障することにより,間接的に信教の自由の保障を確保しようとするものである。そして,現実の国家制度として,国家と宗教との完全な分離を実現することは,実際上不可能に近いものである。そのような見地から考えると,我が憲法の政教分離規定の基礎となり,その解釈の指導原理となる政教分離原則は,国家が宗教的に中立であることを要求するものではあるが,国家が宗教とのかかわり合いを持つことを全く許さないとするものではなく,宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ,そのかかわり合いが上記の諸条件に照らし相当とされる限度を超えるものと認められる場合にこれを許さないとするものであると解すべきである(最高裁昭和52年判決,最高裁平成9年判決)」。 「憲法20条3項により禁止される「宗教的活動」とは,当該行為の目的が宗教的意義を持ち,その効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいうものと解すべきである。そして,この点から,ある行為が宗教的活動に該当するかどうかを検討するに当たっては,当該行為の主宰者が宗教家であるかどうか,その順序作法(式次第)が宗教の定める方式に則ったものであるかどうかなど,当該行為の外形的側面のみにとらわれることなく,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評価,当該行為者が当該行為を行うについての意図,目的及び宗教的意識の有無,程度,当該行為の一般人に与える効果,影響等,諸般の事情を考慮し,社会通念に従って,客観的に判断しなければならない(最高裁昭和52年判決,最高裁平成9年判決)。」 「憲法89条が禁止している公金その他の公の財産を宗教上の組織又は団体の使用,便益又は維持のために支出すること又はその利用に供することというのも,前記の政教分離原則の意義に照らして,公金支出行為等における国家と宗教とのかかわり合いが前記の相当とされる限度を超えるものをいうものと解すべきであり,これに該当するかどうかを検討するに当たっては,上記と同様の基準によって判断しなければならない(最高裁平成9年判決)。」 の三つの判例枠組みのなかで、さらに「国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が,前記の見地から,信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて憲法89条に違反するか否かを判断するに当たっては,当該宗教的施設の性格,当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯,当該無償提供の態様,これらに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。」と判断枠組みを追加して判示した。  上記判示に至る本判決の説示や本件に対する具体的な当てはめに関する説示を基に検討すると,上記考慮要素のうち,「当該宗教的施設の性格」については,当該施設の宗教性の有無及び程度が最も重要な要素となることはいうまでもないが,それが他の歴史的,文化財的な価値や観光資源,国際親善,地域の親睦の場などといった他の社会的な意義と両立し得るものであることを前提として,物件ごとの個別的検討のみならず,当該施設において行われる宗教的行事との有機的な関連付けをも念頭に置いた一体的・全体的な判断をすることによって,当該宗教的施設の性格を明らかにしてゆくべきものと解される。また,「当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯」については,当該宗教的施設が公有地を無償で使用している状態が,戦前の地租改正,社寺上知や寄附等により形成されたものか,それとも戦後の日本国憲法下で形成されたものか等の視点が考慮される必要があるものと考えられる。また,「当該無償提供の態様」については,一般論として,無償提供されている公有地の広さ,それが宗教施設を維持管理する上で必要とされる広さを超えるものであるか否か,無償提供されている期間の長短やその継続性等の客観的な事情が重要な考慮要素となることはいうまでもないが,当該施設が特定の宗教団体により維持管理されており,当該無償提供行為を継続することが,その直接の効果として当該施設を利用した宗教的活動を容易にするものといえるか否かも,重要な考慮要素となる。さらに,「これらに対する一般人の評価」については,一般人を基準として,社会通念に照らして客観的に判断すべきものと考えられる。  本判決は,これらの事情を基に当該無償提供行為の憲法適合性を判断するに当たっては,国や地方公共団体と宗教とのかかわりが信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えているか否かという観点から,当該無償提供行為が一般人の目から見て特定の宗教に対する援助等と評価されるか否かを,社会通念に照らして総合的に判断すべきものとする立場に立つものと解される。 この事件は憲法論としはもちろん、裁判官の釈明権義務違反を認めた数少ない判例であり、民事訴訟法からの観点でも重要である。 どのような場合に積極的釈明をすベき義務があるかについて一般的に説示した最高裁の判例はないが,一般論としていえば,「釈明の制度は,弁論主義の形式的な適用による不合理を修正し,訴訟関係を明らかにし,できるだけ事案の真相をきわめることによつて,当事者間における紛争の真の解決をはかることを目的として設けられたものである」(最一小判昭45.6.11民集24巻6号516頁,判タ251号181頁参照。ただし,釈明の許否が争われた事案に関するもの。)という釈明の制度趣旨を基本として,上記の諸事情を総合的に考慮して釈明義務違反の有無を判断する傾向にあるということができよう

noname#159708
noname#159708
回答No.1

書いてある通りです。 政教分離の問題における結構新しい判例じゃないですか? 憲法の基本書にも記載があります。 ここで法的三段論法用いて論ぜよってことですか(笑)? あなたが4000字以内でまず書いてみたら? 誰も相手にしません。

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