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回答No.1

本件は,暴力団幹部の被告人が,共犯者と共謀の上,Aホテルロビーにおいて,適合実包と共にけん銃を携帯所持したという,銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案である。すなわち,被告人は,B市内の暴力団組織総本部で開かれる幹部会に出席すべく,配下組員らと共にAホテルに宿泊していたところ,その旨の情報を入手した警察署が,翌朝,被告人らが1階に降りてきてロビーを歩き始めた際,被告人らを対象として一斉職務質問を実施したところ,配下組員2名が,けん銃各1丁を適合実包と共に携帯所持していたことから現行犯逮捕し,被告人も,この所持について共謀があるとして,後日起訴されたというものである。 原審は共謀の事実を認めず、無罪判決をしたが、最高裁はこれを破棄した。その理由の要点をみると,結局,検察官主張の各間接事実の多くにつき控訴審判決の認定評価等とは異なる判断をし,それらによれば,被告人が総長を務める暴力団組織の配下組員らは,C駅から本件ホテルロビーに至るまでの間,D会からのけん銃による襲撃に備えてけん銃等を所持し被告人の警護に当たっていたものであり,被告人もそのようなけん銃による襲撃の危険性を十分に認識し,これに対応するため配下組員らを同行させて警護に当たらせていたものと認められ,このような状況のもとでは,他に特段の事情がない限り,被告人においても,上記組員らがけん銃を所持していることを認識した上で,それを当然のこととして受け入れて認容していたものと推認するのが相当であるとし,けん銃等の所持の共謀が認められないとした1審判決及びこれを是認した控訴審判決には,重大な事実誤認の疑いがあるとしたものである。 本件における問題点は,以下のようなところにあると考えられる。すなわち,本件では,けん銃等所持に関する被告人と配下組員らとの共謀につき,被告人はもとより配下組員らもこれを否認しており,供述などの直接証拠がないため,検察官の立証は間接事実を積み上げることでこれを行うことになる。したがって,1つには,検察官の主張立証する各間接事実がどの程度認定できるか,その証拠評価が適切に行われているかという問題である。2つ目として,共謀を認定するための要件の問題,すなわちスワット事件判決が,事例判例ではあるが共犯者のけん銃等所持に関し,「本件けん銃等を所持していることを確定的に認識しながら,それを当然のこととして受け入れて認容していた」,あるいは「概括的とはいえ確定的に認識し認容していた」との判示をしていることとの関係で,本件のようなけん銃所持の共謀における被告人のけん銃所持についての認識の程度が問題となる。  前者の問題については,本判決は,詳細な事実認定をして控訴審判決と異なる認定評価をしている。後者の問題については,本判決は,「被告人においても,配下組員らがけん銃を所持していることを認識した上で,それを当然のこととして受け入れて認容していたものと推認するのが相当である」旨判示したが,「認識」とのみ記載し,「確定的認識」と記載しなかったことが注目される。 ちなみにこの事件より、スワップ事件のほうが重要なため調べてみるとよろしかろう。

hanreikikuo
質問者

お礼

スワップ事件の「概括的とはいえ確定的に認識し認容していた」が「概括的とはいえそれを当然のこととして受け入れて認容していた」に変更されているのが重要そうですね。

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