分子機動計算ソフト

質問

CacheとMopocとGaussianのソフトの違いを教えていただけませんか？

回答No.1

phosphole · ベストアンサー

どれも関連はしていますが、機能は全く別ものです。
まず、cacheと後者二つは全く違います。
cacheはモデルを作ったり、計算結果をビジュアル化するためのソフトです。どっちかというと、タンパク質みたいな巨大分子をいじっている人が使っているイメージが強いです。
後者二つは、分子の構造やエネルギー、各種物性値を計算するプログラムです。
どちらも量子力学に基づいた計算手法を用いていますが、大きな違いがあります。MOPACは半経験的といって、シュレーディンガー方程式を1から全て計算して解いていくのではなく、分子の励起エネルギーなど様々な実験データから計算に必要なパラメータをあらかじめインプットしておいてこれらを利用することで積分計算などを省略しています。これによって計算は大幅に簡単になっていますが、その反面で結果のレベルは低下しますし、パラメータが全く無いような変な構造・電子状態だと計算できません。
一方、ガウシアンはab initioといって、パラメータを用いることなく、シュレディンガー方程式を全て数値的・解析的に計算して分子軌道などを求めます。コンピュータが十分な能力を持っていれば、多くの原子を持った分子や固体でも精度・確度良く計算することができます。

じゃあガウシアンの方がいいじゃん、となります。確かにそうなのですが、上述したように原子が増えるほど、また計算の精度を高めるほど、計算に必要なコンピュータの性能が非常に高いものとなってしまいます。
タンパク質のように巨大な分子に関しては、半経験計算が今でも有力なものです。また、半経験計算は実験データに合うようにパラメータを決めているため、分子系によっては非常にきれいな計算結果が得られます。

要するに、どういう手法が適切か？というのは化学者が判断しないとならない、ということです。

お礼

大変わかりやすくご回答いただきありがとうございます。

Cacheでも確か半経験的な分子軌道計算ができたと思うんですが、これはただ最適化構造を決定する為だけなのでしょうか？各種物性値の計算は行われないのでしょうか？

回答No.2

phosphole

すいません、cacheはあまり使ったことが無かったので、その機能については知りませんでした。
（ビジュアル作成にちょっと使ったことがあるくらいでした）
確認したところ、半経験での最適化は実装されていますね。
物性値の計算機能がどこまでできるかはちょっと分かりません。ごめんなさい。