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赤外吸収スペクトル

エステルのIRスペクトルにおける、カルボニル基の吸収のシフトについて 1. 誘起効果の大きい原子、酸素などが、カルボニル基に隣接していると、   カルボニル結合の力の定数が大きくなり、高波数側へシフトするという   説明ですが、これは、カルボニル炭素の電子が吸引されて、分極が大きくなる   ことと関係があるのでしょうか。力の定数が大きくなる理由について   詳しく教えてください。 2. メソメリー効果を持つフェニル基、ビニル基などがカルボニル基に隣接   していると、低い波数側へ吸収がシフトするという説明は、共役により、   カルボニル結合の結合価が単結合性を持ち、力の定数が小さくなるためと   考えて良いのでしょうか。

みんなの回答

  • rei00
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回答No.1

 以前に「物理」カテに出しておられた質問ですね。昨日回答しようかと探したのですが,無くなっていたので解決したかと思ったのですが・・・。  1,2ともお書きの通りです。お書きのカルボニル基の吸収というのは 1700 cm^(-1) 付近の C=O の伸縮振動ですね。この振動は C=O 間の電子密度が高くなると(二重結合性が高くなると)起りにくくなります。つまり,起こすのに力(エネルギー)が必要になり,吸収波長は高波長側に移動します。  例えば,両手で輪ゴムを引き伸ばしてみて下さい。1本伸ばすよりも2本伸ばす方が力が要りますね。同じ事です。1重結合を伸ばすよりも2重結合を伸ばす方が力が要るわけです。  お書きの場合ですが,【1】の酸素や塩素は「メソメリー効果(電子供与性)< 誘起効果(電子吸引性)」ですので,トータルとして炭素原子上の電子を引き付け,炭素上のδ+性を増大します。その結果,酸素原子に引き付けられていた電子が一部炭素側に引き寄せられ,結果として C=O 間の電子密度が高まります。つまり,C=O の二重結合性が高まり,吸収は高波数側にずれます。  次に,【2】の場合ですが,上とは逆に「メソメリー効果(電子供与性)> 誘起効果(電子吸引性)」ですので,共鳴効果によって C-O 1重結合を持つ極限構造式の寄与が大きくなり,C=O 間の1重結合性が高まります。結果として,吸収は低波数側へずれます。  いかがでしょうか。IR スペクトルに関しては「赤外線吸収スペクトル -定性と演習-」(中西香爾・P.H.ソロモン・古舘信生 共著,南江堂)が参考になると思います。