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ニュートリノについて教えて下さい

stomachmanの回答

  • stomachman
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回答No.10

guiter先生、わがまま聞いていただいて有り難うございます。clownさんごめんなさいね。stomachmanです。 お詫びに、いーかげんな用語解説を補足します。 ●ニュートリノ:とにかく他の粒子との相互作用が弱く、磁気も電気も感じないので、観測することが難しい粒子です。地球など軽々と透過してしまう、幽霊のような粒子です。だからまだよく分からない所が多いのです。  太陽から核融合で生じたニュートリノが大量に放出されています。ニュートリノ振動の発見のきっかけになったのは、太陽に関する理論が予測するニュートリノの量と、実際にカミオカンデで観測した量が合わない。1/3位しか検出できない。今のところ観測できるのは電子ニュートリノ(e-ニュートリノ, νe)だけなので、これはひょっとすると地球に届く前に別の種類のニュートリノに化けてしまっているのではないか?という仮説が有力視されるようになったのです。  理論的予測、というものがなんと精密であるか、なんと厳格に検証されるか(ちょっとぐらいいいじゃないが許されない)、そういう物理学の厳しさを垣間見ることができます。 ●保存則:物理の法則は、基本的には「何があってもXXは変化しない」という形式で表現され、またこの表現は便利です。このような法則を「保存則」と言います。例えば「エネルギー保存則」は有名ですね。これが便利だというのは、相互作用の最中に何が起こっているかを詳細に考えなくても、相互作用の前と後だけに着目すれば計算ができるからです。 ●レプトン数の保存:レプトンというのは電子・ミューオン(μ粒子)・タウオン(τ粒子)、および(既に出てきた)3種類のニュートリノのことです。素粒子同士の色々な反応(相互作用)において、「反応前と反応後で、レプトンの数は変わらない(ただし反粒子はマイナス1個と数える)」という法則がレプトン数の保存則。例えば、電子と陽電子(電子の反粒子)が衝突すると光子を出して消滅してしまいます。この反応の前のレプトン数は電子(レプトン数=+1)+陽電子(レプトン数=-1) = 0。反応後のレプトン数はレプトンはないのでやっぱり0です。  また、放射性元素の中には、原子核を作っている中性子が電子を放出して自分は陽子に変わるものがあります。この反応をベータ崩壊と言います。中性子はマイナスの電荷を放出したので、自分はプラスの電荷を持つ陽子に変化する。これは「電荷の保存則」ですね。  ところが、反応前には0であったレプトン数が、反応後に電子1個=レプトン数1になってはいけない。そこで電子と一緒にニュートリノを放出して、プラスマイナス0になるように辻褄合わせされています。 ●double beta decay( (Z,A)->(Z+2,A)+e+e ):二重ベータ崩壊。原子核から一挙に2個の電子が飛び出して、2個の中性子が2個の陽子に変わる反応です。  (Z,A)は反応前の原子核に、Z個の陽子と(A-Z)個の中性子があるという意味です。これがZ+2個の陽子、(A-Z-2)個の中性子、そして電子2個に変わるが、ニュートリノが出ない。 もしこういう反応が見つかれば、「反応前と反応後で、レプトンの数は変わらない」というルールを破る現象ということになる。これが「レプトン数が保存しない」という意味です。  「レプトン数が保存する」というルールは、これまでのところは例外が見つかっていない法則です。しかし最新のいくつかの理論(まだ仮説です)によれば、レプトンは別の種類の粒子に変化しうると予想されています。そうなればレプトン数は変化する。したがって、実はレプトン数は保存しない、という可能性があると考えられています。 ●右巻きニュートリノは反ニュートリノと同じ粒子:反ニュートリノはニュートリノの反粒子です。もしニュートリノを追い越したらそれが反ニュートリノに見えてしまう、というのであれば、レプトン数が変化してしまうことになります。 ●SO(10)群:素粒子の性質や相互作用を数学的に表すのに使われる特別な代数学の用語です。自然界の様々な素粒子や力(相互作用)を統一的に説明する理論(まだ仮説です)を意味し、(まだ見つかっていないモノも含む)色々な素粒子やその相互作用を予言します。この予言と、実際に見つかった粒子・相互作用とを比べることで、理論が正しいかどうかが検証されるわけです。 (ホントに片方のニュートリノの質量が軽く、その逆巻きのニュートリノの質量が重いとすると、素人考えでは「ニュートリノを追い越したとたんにニュートリノの質量が変化する」という話になってちょっと変に思えますが、よくわかりません。) ●超新星爆発:超新星爆発がすぐ近くで起こるというのはとても珍しい現象です。簡単に言えば恒星がぶち壊れるときにもの凄い光度で光る現象ですが、同時に多量のニュートリノを出す。銀河系のすぐ近くにあるマゼラン星雲の中で超新星爆発が起こったときに、カミオカンデがそのニュートリノを検出しました。千載一遇のチャンスを捉えた訳です。このニュートリノが観測されたことで、超新星爆発についての理論が非常に正確だったことがわかった。 (先にstomachmanがした便乗質問の一つ目は、ニュートリノの方が光より遅いのなら、地球に到達するのに光より遅れてくる筈じゃないでしょうか?というものでした。実際にはきちんと時間差が測れるほど大量のデータは得られなかったようです。) ●ニュートリノ振動:きちんと説明するのは難しい。そこで、こういう説明はどうでしょうか。ニュートリノと一緒に飛ぶ時計があったとします。ニュートリノの速度をvとすると、その時計は(相対論的効果によって)非常にゆっくり進みます。すなわち、静止している観測者の時計に比べて sqrt(1-v^2/c^2) 倍の速さで時間が経過する。もしv=c(光速)だったら、sqrt(1-v^2/c^2) = 0となって、ニュートリノには時間の経過というものがない。だから何かに変化する暇もない、って訳です。実際にニュートリノの種類が変わるという現象が起こっていることが分かったので、だったら、ニュートリノの時計もゆっくりながら動いているに違いない。つまりv<cである。ということは、質量も0じゃない。 お詫びとか言いつつ、またguiter先生のツッコミを期待しているstomachmanでした。

clown
質問者

お礼

stomachmanさん、凄い! こんなにご丁寧な用語集を用意していただいて! とても勉強になります。 (相変わらず、理解するのに困難が伴っていますが・・・・) 僕の方こそ、このようなやりとりに使っていただいて、むしろ光栄ですよ。 ありがとうございましたー。(^^)

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