• ベストアンサー

ブラックホールの蒸発について

Astroiaの回答

  • Astroia
  • ベストアンサー率47% (20/42)
回答No.5

やや長文です。 話を簡単にするために、ブラックホールについて若干述べます。詳しい話はとてもここでできるものではありませんので(もちろん私もわからないと言うこともあってですが)。 ブラックホールという名称は、ロジャー・ペンローズやジョン・ホイーラーらが1970年代に以前から考えられていた「光さえもその強い重力場から逃れられなくなる表面」と言う概念に因みます。 当時はブラックホールから得られる情報としては、その角運動量、質量、電荷しかありえないと考えられてきました。 ブラックホールから得られると言っても全てを飲み込んでしまうブラックホールから何らかの情報が送られてきているわけではありません。これら3つの情報は周囲の時空から間接的に測定されるものです。例えば、もし太陽が全く見えなかったとしても、太陽系の惑星の運動から質量を求めることができる様にです。 実際にブラックホール質量を導き出すためには、重力レンズによるものと連星系によるものとがあります。同様に、角運動量を導き出すためにはエルゴ球(ブラックホールが自転する場合に発生する静止限界を超えてブラックホールに引き寄せられる空間)から知ることができます。電荷については電場の連続性から予測することはできますが、すぐに反対の電荷を帯びた星間物質を吸い寄せて中性になってしまうと考えられています(つまり現実的にはブラックホールは吝嗇なことに、質量と角運動量しか教えてくれないみたいです)。 このような古典的なイメージを打ち破ったのがスティーヴン・ホーキングが1974年に提唱した、一般にいわゆる「蒸発するブラックホール」と呼ばれるものです。 ホーキングが着想したアイデアを理解することは困難ですが、そのエッセンスはブラックホールの持つ特徴に熱力学の考え方を導入したことと思います。 ホーキングはブラックホールの物理系にエントロピー(熱力学の手法で)を導入すれば記述できるということを考えたのです。しかしブラックホールを熱力学的な系としてみるためには、ブラックホールから熱力学的な何らかの放射現象を観測することが前提となります。そこの観測に彼が考えついたのが、「真空から量子力学的な過程で発生する素粒子の粒子・反粒子ペア」ということです。難しい話になりますが、現代物理学では真空とは何も存在しない空間とは考えられておらず、何らかの物理的実体を有していると考えられています。 そこで、真空から粒子・反粒子のペアが生成された際、片方がブラックホールに吸い込まれて、もう片方は力の作用反作用によって外に投げ出されることはあり得ることかもしれません。そしてそのことは必然的にブラックホールから放射されたと考えることができるかもしれません。さらに、このとき真空から粒子・反粒子生成されるエネルギーは、ブラックホールの重力場から供給されるものです。 つまり、粒子・反粒子が生成され片方が飛び出すごとに、ブラックホールはやせ細っていき、ついには爆発するだろうと言う考え方がブラックホールの蒸発と言うことと思います。 私は専門家ではないので間違っている場合等ありましたらどなたか補足、訂正してください。

関連するQ&A

  • ブラックホールの蒸発について

    開いた宇宙での最終段階に訪れると思われるブラックホールの蒸発について質問です。 ブラックホール近辺で発生(?)した物質と反物質の内、反物質が落ちて対消滅がおこりエネルギーとして蒸発するってことだとおもいましが、なぜ反物質の方が多くブラックホールに落ちるのですか? 無から発生した(ほんとはエネルギーから?)物質と反物質は同数だと思うんですけど・・・

  • ブラックホールの蒸発について

    初めて質問させていただきます。 よろしくお願いします。 ブラックホールは蒸発すると言います。今回はこの蒸発の僕の解釈が合っているか 確認したかったので質問させていただきました。 僕の解釈はブラックホールの近くで粒子が対生成で生まれて 片方がブラックホールに飲み込まれてもう片方がブラックホールの外へ 飛んでいきます。 しかし、エネルギー保存則によって一瞬ならいいがブラックホールの 近くでは粒子・反粒子は対消滅できない。 これではエネルギー保存則が崩れてしまうだから対消滅できなっかた 分のエネルギーをブラックホールが支払う(質量が減る) よってブラックホールが蒸発すると言うことだと思っています。 これが僕のブラックホール蒸発についての理解の仕方なんですが これであってますか?もし間違ってたら説明してください。 しかし、僕はあまり難しい数式などはわからないので なるべくわかりやすく説明していただきたいです。 お願いいたします。 長文失礼しました。

  • マイクロブラックホールの蒸発について

    先日ホーキングによって提唱されたブラックホールの蒸発について書かれた本を読んでいて、疑問が生じました。 その本には、「マイクロブラックホールは最後にガンマ線バーストを起こして消滅する」と書かれていました。 しかし、ブラックホールの蒸発が進んで直径がプランク長レベルになった時、その事象の地平線上で粒子・反粒子の対形成が起こりうるのでしょうか? 感覚的には、針の穴から物質と反物質でできた象が出現するのと同じように思えて、いまひとつ実感がわかないのです。 この分野に詳しい方、回答よろしくお願いいたします。

  • ブラックホールの蒸発

    今年の夏にLHCでMBHができると聞いて気になっていたのですが ブラックホールは本当に蒸発するのでしょうか? ホーキング理論は仮説だからどうしても心配です… 専門家の人達は安全だと言っていますがどうしても不安です… あまり物理は分からないので誰か詳しく教えていただけないでしょうか? これから毎日ブラックホールの恐怖に怯えたくありません…

  • ブラックホールの蒸発

    対生成で生じた負のエネルギーの粒子がブラックホールに吸い込まれることでブラックホールの質量が減り、蒸発すると聞いたのですが、どうして負のエネルギーの方の粒子が吸い込まれるのですか? 正のエネルギーの方の粒子はこの時、吸い込まれないのですか? どなたか教えて下さい。

  • ブラックホールの成長と蒸発について

    ブラックホールの事象の地平面を超えた物は決して脱出することはできません。 ブラックホールはホーキング放射により質量を失い(外部から何か吸い込み続けない限り)有限時間で蒸発すると言われています。 ですがこの性質においていくつか疑問点があります。 まだまだ仮設の多い段階の分野ですので「一般的にこう考えられる」「こういう仮説がある」などでかまいません。また複数の意見もOKです。 問題を単純化するため電荷と回転を持たないシュヴァルツシルト・ブラックホールとして考えます。 空間が重力によってゆがむと十分に離れた系からみると時間が遅くなるよう観測され、ブラックホールに落下する物質は接近に従い時間の流れが遅れ、事象の地平面に到達すると同時に永久に停止すると考えられます。 では離れた系からブラックホールに物質が吸い込まれ質量が増加する瞬間を観測することができるのでしょうか?また、これではブラックホールが質量増加によって成長することは可能なのでしょうか?(事象の地平面のごく近くに質量が接近した時点でさらに空間の歪みが強くなり成長する? 粒子の位置は確率に依存するため確率的に中に入ってしまう?) また、ホーキング放射によって十分にブラックホールが小さくなったとき、どのタイミングでブラックホールが消滅(事象の地平面が消滅)するのでしょうか? 素粒子に大きさはなく0次元の点、または振動する弦とする意見もあるのでブラックホールの最小サイズはどうなるのでしょうか。 素粒子の振動幅で消滅? プランク長未満になった時点で空間上の意味を失い消滅?しかしこの場合あまった質量はどこへ?(プランク長サイズのブラックホール=プランク質量 プランク質量はわりとでかい) そもそもこのサイズではミクロなスケールなのでブラックホールの位置や存在が確率に依存する? 中途半端な知識による質問で読みにくいですがご意見おまちしております。

  • LHCの実験でもし、ブラックホールが蒸発しなかったら。

    LHCの実験でもし、ブラックホールが蒸発しなかったら。 どのような被害が考えられますか?地球が消滅する場合もありませんか?あくまで蒸発しなかったらの話です。 早めの回答を待ってます。

  • ブラックホールに落ち込む過程の解釈

    思考実験として、物質がブラックホールに落ち込むことを考えてみました。 物質はブラックホールに近づいていき、事象の地平面に近づきます。 そしてついには事象の地平面に差し掛かるわけですが、この様子を外部から見たとしたら、物質はいつまで経っても事象の地平面に到達しないかもしれません。 しかし落下する物質の視点では他の天体に落下するのと同様に、何事もなく事象の地平面に近づいていくわけです。 慣性質量と重力質量が完全に一致するなら、事象の地平面に到達した時点で落下する物質と外部の観測者との間の相対速度は光速度に達すると思われます。 外部の観測者にとっては落下する物体はいつまで経っても事象の地平面に到達しないのですが、これを物質の視点から見るなら、物質が事象の地平面に到達した瞬間に、事象の地平面の外側の時間経過が無限大になることを意味するはずです。 もしブラックホールは蒸発するというのが事実であるなら、どのような質量のブラックホールも有限の時間内に蒸発してしまうはずです。 ですから物質が事象の地平面に到達する直前に、まず外側で非常に長い時間が経過し、蒸発が進むと思われます。 蒸発が進んで事象の地平面の大きさが小さくなると、物質にとっての地平面外部の時間経過の早さが緩むことによって、遠のいた地平面に近づくことが可能になり、再び地平面に向かって落下するものと思います。 そしてまた地平面の直前まで落下したところで外部では大きな時間が流れ、蒸発が進み、以下同じ過程を繰り返すことによって、最後はブラックホールとともに蒸発するのではないでしょうか? もちろん実際にはこのように断続的な過程を経るわけではなく、事象の地平面に到達するか、あるいは直前の位置で、ブラックホールが蒸発するのに合わせて連続的に特異点の方向に向かっていくものと思います。 このような解釈は正しいでしょうか?

  • ブラックホールについて

    物理学に対しは全くの素人なので、まさに幼稚な質問ですが、相対性理論などの本を読むと、このような記述があります。 ある物体がブラックホールの周囲にある「事象の境界面」に近づくのを、十分に離れた観測者から見ると、ブラックホールの強大な重力のために、落下する物体の時間は遅れて観測される。その物体が「事象の境界面」に達すると、その物体の時間は止まり、その物体は永遠にそこに張り付いているように見える。(実際は光の波長が引き伸ばされて目には見えない) そこで疑問に思ったのですが、観測者からは、その物体はいつまでもブラックホールの「事象の境界面」に留まり、それ以上は落下しないように見える。ということは、ブラックホール本体には永遠に物体が落ち込まないので、ブラックホールはいつまでたっても「太らない(質量が増えない)」ように見える、ということになるのでしょうか。よろしくお願いいたします。 、

  • ブラックホール

    終わりの近い星の中心にできるという、ブラックホールはなんでも吸収してしまうそうですが、ブラックホールには原子というか物質が存在できるんですか? 変な質問ですみません。