• ベストアンサー

高野文子 『奥村さんちのお茄子』について・・・・(長年の謎)

高野文子さんは、大好きな漫画家で 今まで様々な作品を読んできました。 『棒がいっぽん』に収録されている 『奥村さんちのお茄子』は、 これまで何度か繰り返し読んできたのですが、 何度読んでも、意味がよくわかりません・・・。 203ページの女性は、主人公と同一人物?(違うかもしれませんが) だとしたらなぜ? など疑問が頭をぐるぐる回ります。 この漫画を読んだ方が、どんな感想を持たれたか気になります。 良かったら、ぜひ色々な感想を聞かせて下さい。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • d-drop
  • ベストアンサー率22% (214/938)
回答No.1

 こんにちは。  私も高野文子大好きです。特に好きなのは『おともだち』の「日本のおともだち」、『棒がいっぽん』の「美しき町」「バスで四時に」ですね。  で、「奥村さんちのお茄子」は、私も同じ疑問を永らく抱いておりました。何度読んでも、わからない……。  いま、回答に当たり、読み返してみました。  203ページの女性は、遠久田さんの報告の通り「ユキ子さん 駅前クラブ「パパ」勤務」だと思います。  この話って、報告書を遠久田さんが読むまでは、わかるんですよね。  つまり、インベーダー遠久田さんは、先輩の無実を証明するために、奥村さんの所へやってくる。で、それは一応証明できるけど、そのあとで先輩のうそ(計画の失敗とその隠蔽公作)を遠久田さんはみつけてしまう。  ここで、遠久田さんと先輩の地球へやってきた目的も語られる。  そこで、遠久田さんとしては(もう死んでしまっているけど)先輩のミスをかばうため、奥村さんを助けなきゃいけない(この辺が微妙ですね、先輩のミスをかばうためだけに奥村さんを助けようとしたのか、奥村さん自身にも助かって欲しかったのか、私は、前者に取りますが)。  とにかく、1968年6月6日木曜日の茄子の味を、奥村さんが思い出して、遠久田さんの同僚(?)が確認にきたとき、確かに食べたといわなきゃいけなくなる。  でも、奥村さんは覚えてない、じゃその時間(1968年6月6日木曜日)を、できるかぎり再現することで、これに替えようとするんですね(192-193pの遠久田さんのせりふ、ここと、176-178pの遠久田さんのせりふが、この話の鍵でしょうね)。  で、その「時」、一瞬の「時」をつかまえることに遠久田さんは成功して、報告書をまとめる。と、そういう筋ですよね。  こういう、ちょっとファンタジックな話に、理屈をつけるのも、どうかという感じはしますが、要は、「覚えていようといまいと、ひとは時間の積み重ねの上に生きている(176-178p)」ということと、「ある瞬間を、すべての人は共有している(192-193p)」という、とてもリアルな時間感覚がベースになっている話で、それをこういうストーリーに嵌めこんで読者を引きずり回すという、かなりアクロバティックな方法を高野さんは執っている、と思います。  ただ、私が、引っかかっちゃうのは、最後のシーンです。この漫画は、所々に、家電が出てきて「五分休憩」とかやりますが、「幕」の炊飯器の向こうに、醤油さしと漬け茄子が見えるんですね。そこで、「え? あの醤油さし、誰? あの茄子は?」って思っちゃって、「終わった」っていう感じがしないんです。  もちろん、話のパターンとして、はいめでたしめでたし、じゃつまんないから、さいごにちょっと「?」をなげて終わる、というのがあるのはわかるんですが、この場合、私には、その「?」が強烈過ぎて……。  そう感じることこそ、一見平易でいて、なかなかテクニシャンな高野さんの術中にはまったことになるのかもしれませんが。  どう思います?  私の感想は、こんなとこです。bluexxx963852さんは、どこで引っかかったんですか?

bluexxx963852
質問者

お礼

d-dropさん、感想ありがとうございます! 私も「棒がいっぽん」の中では、 一番好きなのが「バスで四時に」次は「美しき町」です。 その他の作品では、「うしろあたま」「玄関」(絶対安全剃刀)、 「るきさん」、「マヨネーズ」(黄色い本)などが好きです。 話を「奥村さんちのお茄子」に戻しますと… 最初から最後まで、不思議でナゾなお話だなという感想です。 所どころで入る「5分休憩」のコマも「?」だし、 絵柄でショッキングだったのは、 遠久田さんがスポンジを握って洗剤をちゅーっと 飲むシーン…。 私は、今までd-dropさんのような解釈ができず ナゾをナゾとして抱えてきた…。 それでずっと印象に残っている、記憶に残る漫画の ひとつになっているので 作品として成功しているのかもしれないと思いました。 今回の感想を読ませていただいて、 このお話のキモは178pにあるのかなと感じました。 あと、何かの本に、 「実は、人間は、これまで経験してきたことの全てを記憶している。」 とあったのを思い出しました。 「バスで四時に」も、 頭の中をそのまま映像化する、シュールで楽しい作品 ですが、こちらの方はわかりやすいですね。 できれば、いろんな方の感想をもっと聞いてみたいと思います。

その他の回答 (1)

  • d-drop
  • ベストアンサー率22% (214/938)
回答No.2

 こんばんは。#1です。再度失礼。  お礼をいただきありがとうございます。  ちょいと補足を。  この話で、いちばん心にのこるのが  「楽しくてうれしくて ごはんなんかいらないよって時も 悲しくてせつなくて なんにも食べたくないよって時も どっちも六月六日の続きなんですものね ほとんど覚えていないような、あの茄子の その後の話なんですものね」(178p)  “時を重ねる”ことへの不思議さ。  と、 「あの三秒間 自分以外の誰かを見てその誰かについて考える うどん三センチ分 ここんとこ ここんとこに あの六人がいて 一瞬一秒同時にそれやったら 奥村さんもきっとあそこで お茄子食べてたことになります」(193p)  おなじ“時間”を生きてることは、偶然のようでいて、ほんとは奇跡に近いこと。また、他者へ興味をもったり、共感を抱いたりすることが、その他者の存在証明になる時があるくらい重いものだということ。  ここに、じわーっとくるんですね。  あと、家電の「五分休憩」は、ちょうど話が代るところにありますんで、奥村さんの稼業(電器機器店)にからめた「章」の変わり目、というふうにかるくとらえてました。 >「実は、人間は、これまで経験してきたことの >全てを記憶している。」  これは、私も聞いたことがあります。続きがあって、 「そして、人は、忘れたと思っている記憶に支配されている」  精神分析の考え方ですね。“無意識”に沈んでしまった記憶が重要だという……。  以上、繰り返しのようなことですが、私としては、いちばんだいじな、“どこにどう感動したか”、をいい忘れたように思いましたので、あえて補足します。  『絶対安全剃刀』だと、「ふとん」、「午前10:00の家鴨」、で「うしろあたま」ですね。    以上、蛇足ながら。他の方の意見、私も楽しみです。

bluexxx963852
質問者

お礼

d-dropさん、こんにちは。 感想、とてもよくわかります。 さまざまな人が何でもない一瞬を共有している…。 一瞬の濃密さ…。 私が文章にしてしまうと、ちょっとウエットになってしまうことを 高野さんはカラリと、心に残る漫画にしてくれた。 改めて作者のすごさに気づきます。 d-dropさんのおかげで、この漫画の面白さを発見できたと思います。 もう、だいぶ後ろの方にきてしまったので 他の方の感想を聞くのは難しいかもしれませんが…、 ありがとうございました。

関連するQ&A

  • 本の出てくる本。

    北村薫の「〈私〉と円紫さん」シリーズや、高野文子『黄色い本』がとても好きです。 この作品のように、本が物語の主題や要になるような小説・漫画を他にも知りませんか? よろしくお願いします。

  • 40歳以上の方、おすすめのコミック・マンガを教えて下さい。

    これは!というマンガに最近出会えません。 大人が読んでも面白い、読み応えのあるマンガを推薦して頂けないでしょう?ジャンルは何でも構いません。 「のだめカンタービレ」は1巻を読みましたが、はまれず挫折。さそうあきらの「神童」は好きです。 他に好きなのは(古い物ばかりですが) 「レテプシコーラ」「天然コケコッコー」「孤独のグルメ」「陽だまりの樹」「アドルフに告ぐ」など。 高野文子、伊藤理佐の作品も良く読みますが、西原理恵子の絵のタッチは苦手です。

  • 1週間で1ヶ月分の仕事を終えられるような仕事?

    高野文子の『るきさん』というマンガで、主人公のるきさんは医者の保険の請求をやる仕事をしているのですが、1ヶ月分の仕事を1週間でやってしまい、あとは自由に暮らしている女性でした。 連載はじめが1988年だったので、当時だとパソコンなども普及しておらず、計算する人物もある程度必要だったかもしれないのですが、現代ではそのように1ヶ月分の仕事を頑張って短縮して1週間で終わらせられる仕事はあるのでしょうか? 安い賃金の内職など、お小遣い程度にしか稼げないものではなく、一人暮らしできるくらいの生活費を稼げるものでお願いします。

  • 安部公房の「棒」について

    読書感想文を提出しなければいけないのですが、この作品をどのように思いましたか?例えば、どうして「棒」になったのかとか、「棒」になった「私」とはどんな人物か、とか、棒をさばく「先生」や「生徒」はどんな存在か考えみようと思っています。全体の結論はどうしたらいいでしょうか。変な質問でごめんなさい。お願いします。

  • ”ひきこもり”が出てくる作品を探しています

    ”ひきこもり”が出てくる作品(マンガ、小説、ドラマ、ジャンル問わず)を探しています。 主人公でも脇役でもかまいません。ひきこもりが話の本筋でなくてもいいです。 タイトル、作品形式(マンガか小説かドラマか・・・)、あとできれば人物名(大雑把にでも構いません)も教えていただけると嬉しいです。 私の知っている作品は ○ローゼンメイデン‐マンガ‐桜田ジュン ○NHKにようこそ!‐マンガと小説‐主人公グループ です。 皆さんの知っている作品を教えてください。

  • まんがグリム童話についてなのですが・・・。

     数年前にふとしたことで毎月29日に発売されるまんがグリム童話の雑誌を買いました。その時その本に載っていた「実在人物伝 ルクレツィア・ボルジア」という作品が結構面白かったのですが、残念なことにその雑誌を間違えて捨ててしまい読めなくなってしまいました。その後がんばってその作品の作者を調べていたのですがどうしても分かりません。その作品をご存知の方、作者か、もしくはその作品を収録している漫画の題名を教えていただけないでしょうか?多分05年の7月発売9月号の雑誌に載っていたと思います。どうかよろしくお願いします。

  • ドラマや漫画、小説等

    ドラマやアニメを見たり、漫画や小説を読んだりする時、誰の目線で見たり読んだりしますか? やはり主人公ですか? 出来れば理由もお願いします。 また、主人公以外の登場人物である場合、作品名と登場人物の名前等を教えていただければありがたいです。

  • 最近の漫画で、大人におすすめなのは?

    最近の漫画で、大人がじっくりと堪能できる漫画を教えてください。 昔はかなりのマンガ好きだったのですが、 ここ数年あまり読まなくなっていました。 でも、久しぶりにどっぷり漫画に浸りたい気分なのです。 自分でも、あれこれ買ったりはしていますが、 (2008年度「この漫画を読め!」と「この漫画がすごい!」 のベスト10までは既読)、 どうもベテラン/メジャーな作家/作品に偏るきらいが…。 そこで、ここ数年間の、新しい作品や、若手作家さんで、 大人が読んでも楽しめる作品を教えて頂けたらと思いました。 少年/少女/青年/女性向けなどのジャンルは問いません。 新規開拓したいので、マイナージャンルでもお薦めがあれば是非。 参考までに既読の作品と読書傾向を挙げてみます。 ↓ ・最近読んだ作品からいくつか(○△×は好みとの一致度)。  のだめ△、ハチクロ○、働きマン○、大奥△、ホタルノヒカリ×  ヒストリエ○、土星マンション○、魔女(五十嵐大介)○、  GENTE○、蟲師○、エマ×、ワンピース○、  NANA△、サプリ△、東京膜○、   ・好きな作者/作品  井上雄彦、高野文子、山本直樹、いくえみ綾、岡崎京子、鈴木志保  ポーの一族、ピンポン、稲中、日出処の天子、AKIRA、ジョジョ、  寄生獣、あさきゆめみし、動物のお医者さん ・雑誌  昔は、キューティーコミック、アフタヌーン、  モーニング、ジャンプ、LALA、ガロなどを読んでいました。

  • ちっぽちゃんの小瓶~おおの藻梨以

    20年位前に「ひとみ」に前後編で載っていたマンガを探しています。タイトルは多分「ちっぽちゃんの小瓶」、作者はおおの藻梨以だったと思います。主人公は「かきくけこ」が言えない女の子。あまりはっきりした内容は覚えてないのですが、小瓶に向かって「ちっぽちゃん」と叫んだところ、「ちっぽちゃん」という猫が瓶の中に吸い込まれてしまった、といったものだったと思います。本当にこのタイトルが合っているのか、また、この作品が載っている本をお持ちの方等、情報をお待ちしております。

  • 手塚治虫でゲイが主人公の作品

    手塚治虫の漫画で、 ゲイの男性が主人公の漫画があると聞きました。 読みきりか連載物かは不明です。 ぜひ読んでみたいと思います。 作品名や、収録されている本のタイトルをご存知の方 いらっしゃいましたら、回答お願い致します。