• ベストアンサー

山本周五郎「曲軒」って何て読みます?

山本周五郎好きの方に質問です。 彼のあだ名「曲軒」って何て読むんですか? すいません教えてください。 自信がないのです。 広辞苑にも載ってないし…

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
回答No.2

まず読み方は「きょくけん」(音便で、きょっけん)でまちがっていないと思います。 そのうえで、関川夏央『本読みの虫干し』(岩波新書)にこのような記述があります。 まずタイトルは 「作品だけは『曲軒(へそまがり)でなかった小説家」として、山本周五郎のことが紹介してあります。 そして本文にはこのような記述があります。 ------(P.103より引用) 「曲軒」とは周五郎に尾崎士郎が献じた別名で、へそまがりという意味だ。あえて迷惑そうな表情をつくったものの、腹の底では「いくらかほくそえむという感じ」であった。へそまがりは志ある「仙吉」の、確信を持った態度であった。 ------ ここに出てくる「仙吉」とは、志賀直哉の『小僧の神様』の主人公である「秤屋の小僧」の名前です。 この文章を書いた関川は、周五郎のことを親しみをこめて、「仙吉」になぞらえてみせたのです。 というのも、周五郎、本名清水三十六(さとむ)は、満十二歳で上京、大きな質屋である「山本周五郎商店」の住み込みの徒弟となります。 そこの店主はなかなか立派な人物であったようで、店員達には夜学に通うよう勧め、この清水少年もここから夜学に通うようになった。 関東大震災を機に、この店を離れ、雑誌記者となり、そのかたわら小説を書いた。デビュー作『須磨寺附近』のときにすでにこの店主の名前をみずからのペンネームとしていたようです。 さて、つぎに「曲軒」の号についてなんですが、関川から離れて、想像も交えつつ、考えてみたいと思います。 まず「軒」のほう、こちらは「~庵」「~亭」「~屋」など、雅号によくあるものです。 雅号というのは、そもそもが文人や学者が世俗的な身分を離れて風流を楽しむためにつけるもの。 明治期ぐらいまでの作家も、たとえば「鴎外」や「紅葉」「露伴」「二葉亭四迷」もみな雅号として意識されていたようです。だから同じ人がいろんな号で書いていたりします(坪内逍遙が春廻家朧だったり、饗庭篁村が「竹の家主人」だったり、内容や文章を発表する場所によって使い分けている)。 この雅号のなかにたとえば「内田魯庵」「森田思軒」のように、「~庵」「~亭」「~屋」など、家を示すものがついたパターンがあります。 たとえば正岡子規なども「獺祭書屋主人」(「獺祭」はかわうそのこと。かわうそは自分のまわりに獲ってきた魚を広げる習性があるのだそうです。身の回りに本を広げるみずからをかわうそになぞらえているわけ)と記していたように、「~庵主人」「~亭主人」と、その人が住まう建物を風流に称して、そこの主人であるというように記す(たとえば、幸田露伴は自分の住まいを「蝸牛庵」と称します)。そのうちに、主人が落ちて最初の方が残るのです。 あるいは魯庵、本名貢(みつぎ)、この人は二葉亭四迷の友人でもあり、日本の文芸評論家の元祖に近いような人なんですが(この人が匿名で出した『文学者になる法』というのは、意地悪で、読むと本当にワクワクするくらい楽しくなっちゃうものです)、魯庵と称したのは彼自身ロシア語に堪能で(日本で『罪と罰』を初めて訳したのがこの人)で、魯西亜(江戸期から明治初期まではこう書いていた)文学の「庵」、とも考えることができます(魯庵の別の号は不知庵)。 つぎに「曲」、これはなんといっても思い出すのが「曲亭馬琴」です。 本名瀧澤興邦(おきくに)、号を曲亭馬琴と称します。 Wikipediaを見ると http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B2%E4%BA%AD%E9%A6%AC%E7%90%B4 読み方を変えると「くるわでまこと」となる、と出ているのですが、たしかに廓という場所に「曲輪」という字を当てはめるケースもあり、そういう意味なのかもしれません(ここらへんは詳しくないのでわかりません)。 ともかくこの「曲軒」は「曲亭」のパロディ的な意味があったのはまちがいありません。 したがって曲軒も「曲」自身の意味にある「曲がったもの」、へそ曲がり、旋毛曲がり、鼻曲がりに共通するような、素直ではなく曲がったものという意味がこめられている、と理解していいのではないかと思います。

uenokouu
質問者

お礼

!!!! なら辞書に載ってないはずで、 造語としてどんなウィットが入っているかまで ありがとうございますーー 完全に疑問解決です。

その他の回答 (1)

  • nono_
  • ベストアンサー率43% (28/65)
回答No.1

きょっけんと読みます へそ曲がりという意味で山本周五郎氏のあだ名ですね

uenokouu
質問者

補足

ありがとうございます、やっぱそうなんですよね… きょっけんで良いんですかね? 辞書には載ってないんですが… すいません、どなたかの造語ですかね?

関連するQ&A

  • 山本周五郎作『さぶ』を読んだことのある方へ

    山本周五郎作『さぶ』を読んだことのある方へ質問です。 あなたはこの本を読まれてどのような感想を持ちましたか? 是非お教え下さい!

  • 山本周五郎さんのさぶ

    山本周五郎さんの書いたさぶについてのあらすじを教えてください。 できれば最初からP237の一の一から九の五までのを教えてください。 早めでお願いします。

  • 山本周五郎の小説の点々

    山本周五郎の小説の点々 語句や節を強調したいとき、横に点々をつけることがありますね。 山本周五郎の『さぶ』を読んだのですが、人名がひらがなになってるときは、横に点々がついてました。 「さぶ」「おすえ」「おかめ」等。 読み進めると、「くしゃみ」にも点々がついてました。これはどう解釈すればいいでしょうか。

  • 「必殺!」シリーズの原作は山本周五郎?

    「必殺」シリーズのたくさんあるうちのどれからしいのですが、山本周五郎原作のものがある、と聞いたことがあります。本当でしょうか? また、あるならば作品のタイトル、文庫本(文庫化などされていれば)のタイトルなどが知りたいです。 宜しくお願いします。

  • 山本周五郎作品のタイトル

    山本周五郎作品のタイトルについての質問です。 以前、読んだ面白かった本を友人に勧めたいのですが、本のタイトルが思い出せないので、ご存知なら教えていただけないでしょうか? あらすじ: 恋人(許嫁?)同士の話です。 彼女の方が美人で、彼氏以外の男が言い寄ってきたけど、彼女が火傷(ケガ?)で顔が醜くなったのを知ったその男は彼女のもとを去って行くが、彼氏だけは醜くなった彼女を受け入れ、最後は火傷が嘘だったということが明かされ、めでたく二人が結ばれる。 ※かなり記憶が曖昧で細かい部分で間違いがあると思いますが、よろしくお願いします。

  • 小説のタイトルを教えてください(山本周五郎?)

    以下のあらすじ(正確ではありませんが)のタイトルを教えてください。今までは山本周五郎の「薮入り」だと思い込んでいたのですが、該当作はありませんでした。 あらすじ どこかの商店に方向に来ていた少女が、故郷の母が亡くなったため帰郷を許される。悲しみで泣きながら故郷に向かう途中、駅(上野駅?)の水のみ場の水道の蛇口が完全に閉まっていなくてポタポタ雫が落ちている。少女はいったん泣くのを止めて、蛇口をキチンと締める。そして再び泣き出す。 ぜひ、お願いいたします。

  • 山本周五郎氏の作品だったと記憶しています。

    おそらく山本周五郎氏の作品だったと思うのですが、作品のタイトルと出来ればその作品が収録されている本を教えて下さい。 その作品の内容というのは、おそらく主人公だと思われる女性が太鼓で力比べをするのですが、昔太鼓の達人で今は過去を隠している老人に諌められて、結果的には勝負を止めてしまうという話です。 ”芸術は本来勝負事に使われるものではない。”といったようなニュアンスの台詞が出てきたような気がします。 記憶が曖昧で申し訳無いのですが、もし御存知の方がいらっしゃったらよろしくお願い致します。

  • 山本周五郎?藤沢周平? 小説の題名を教えて下さい

    題名が分からない短編時代小説について教えて下さい。 恐らく作者は「山本周五郎」か「藤沢周平」だったと記憶しています。 <あらすじ> 貧しい家に生まれた少年は「父親のような立派な侍になるよう」母親に育てられる。 少年は剣の稽古を積み立派な侍になるが藩に所属しているわけではない。 あるとき殿様が行列していると、その侍は隠れるように殿様を警護する。 殿様に「誰か?」と聞かれると「何某の息子です」と答える。 殿様は亡くなった父親のことを思い出し、息子に感謝の念を抱く。 といったような内容です。 記憶が曖昧で申し訳無いのですが、 もし御存知の方がいらっしゃったらよろしくお願い致します。

  • 山本KIDのこの曲なんですか?

    海外アーティストのほうでも質問したのですが、返事が返ってこないのでこちらでも質問させてください。 youtubeの「偉大なる闘神!☆山本"KID"徳郁☆yamamoto kid」という動画で流れている曲なのですが、他にもいろいろKIDの動画を見ていると、どうやら過去の入場曲のようです。 だれかご存知の方がいらしたら教えてください。 ちなみにこれです↓ http://jp.youtube.com/watch?v=7UTcoBrYQEk

  • 山本“KID”徳郁の入場曲

    昨日やっていたK-1世界王者対抗戦をTVで見ていて山本“KID”徳郁入場曲を始めて聞いてその曲が好きになりました。あの曲はなんて言う曲なんですか?教えてください!