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ドーピング材料の選び方と条件
- 半導体におけるMOCVDなどにおける薄膜成長において、ドーピング材料を選ぶときに考えないといけないことはどんなことでしょうか?
- n型、p型どちらにするかで、最外殻の電子がひとつ多いのや、少ない材料を選ぶ。結晶性の観点から、基板と薄膜の格子ひずみを減らすため、共有原子価の半径ができるだけ近いものを選ぶ。
- その他にも電気的特性のために必要な条件がある。また、関連する参考書などもあるので教えていただけると助かります。
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ポイントは大体3つぐらいかな。MOCVDの場合、分子ソースを用いるので、ドーパントの原子種を選ぶことも重要だけど、どのような分子として供給するかも非常に重要です。 1)ソースとしての扱いやすさ ・安定性(不安定なソースは使いにくい) ・入手性(特殊な分子を使う場合もあるけど、高価だしあまり出回っていないものは純度保証がえられない) ・気化性(気体として炉に供給するわけだから、気化しにくいもの、バブリングしにくいものは使いにくい。) 2)成長中およびプロセス中の特性 ・反応効率(CVDは表面化学反応を利用するので、基板表面と反応しにくいものは使いづらい) ・格子位置への取り込み効率(結晶に取り込まれても、格子位置に入らないと活性化しない。格子間にばかり入るようなものはダメ) ・偏析のしにくさ(当然、光デバイスや電子デバイスへの応用を考えておられるのでしょう。その場合、ドーピングプロファイル制御が非常に重要になります。ドーパントによっては、結晶内部より結晶表面にいるほうがエネルギー的にかなり得をするものがあり、その場合、成長中にどんどん偏析してプロファイルが崩れたり、表面の活性なサイトをなくしてしまったりします) ・成長プロセス後の安定性(エピ後にいろんなプロセスをすると思うけど、その時の拡散係数が大きくてプロセス加熱により大きく動くようなものはやはりプロファイルが崩れて特性がでません) 3)電気的な性質 ・ドーパントとしての活性度(せっかく原子を導入してもドーパントとしてキャリアを供給してくれなくては意味がありません) なお、II-IVということですが、ZnSeなどは一時期非常に研究された材料ですので、論文などが多数でているはずです。解説記事のようなものであれば、 応用物理, 第62巻, 第2号, pp.113-119 (1993) に「セレン化亜鉛(ZnSe)の伝導型制御と半導体レーザーへの応用」という記事が出ています。
お礼
ご回答ありがとうございます。 とても参考になりました。非常に的確でわかりやすく説明していただき感謝しております。 あやふやな知識だっただけにとても勉強になりました。 本当にありがとうございます。