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教育免許。とるか、とらないか…
puni2の回答
中学・高校の教員を経て,現在は教員志望の多い大学で教えている者です。 「大学で別に教師になるつもりはないけど、 教育免許を取った人(取ろうとしている人)の意見が聞きたいです。」とのことですので,私はちょっと違うかも知れません。(最初はなるつもりはなかったけれど,在学中に教師も悪くないかなと思い始めて教員免許を取ることにした人ですから。) かなり厳しい言い方をしますが,最後までじっくり読んでいただけたらと思います。 まず,ご質問の文章を読む限りは,「教師になるつもりはない(でも他に仕事がなかったらやってもいいかな)」という中立的(あるいは消極的)な考えというよりは,むしろ「教師にはなりたくない」という「積極的な否定」の考えのように見受けられました。 もし,この考えが変わらないようであれば,教職科目は(特に教育実習や介護実習は)とらないでください。 「とる必要はない」ではなく,お互いの幸せのため,どうか「とらないで下さい」です。 (「お互い」とは,あなた自身,大学で教職課程を担当する教員・事務職員,教育実習や介護実習を受け入れる現場のすべての人,それらすべてを含みます。) 質問の文章から抜き出しますが, 「教師にはなりたくないんです。」 「貴重な時間をつぶすようなことをしたくない」 つまり,教職課程は時間の無駄,ということですよね。 だったら,結論はもう出ているではありませんか。 私が大学4年になった春,教育実習のオリエンテーションというのを3日間うけました。 (教員免許を取るには教育実習を必ず行わないといけません。また,私たちの頃はなかったのですが,小学校・中学校の免許の場合はさらに介護実習も必要です。) そのときに,担当の先生が開口一番,こう言われたのが印象的でした。 「受け入れ校の現場にとっては,はっきり言って教育実習は迷惑だ。」 教育実習といったら,車の免許を取るために路上教習をするような,一種の見習い期間だ,それに法律でも決まっているのだから,行くのは当たり前だろう,ぐらいの甘い意識しかなかった私には,かなり衝撃的でした。 オリエンテーションの先生は話を続けます。 なぜ迷惑か。 実習生を受け入れる学校側の立場からいうと,全く実習生が来ない方が,授業や行事などの年間計画も予定通りにとんとんと進むし,生徒たちも実習生のへたくそな授業を聞くよりよほどわかりやすいし,「実習生を受け入れること」自体がもたらすメリットはほとんどない。 強いて言えば,子どもたちにとっては違う先生が来るということで気分転換になる,という程度か。 しかし,それならなぜ実習生を受け入れるか。 もちろん「見習い期間が必要」とか「法律で決まっている」というのもあるが,その他に,自分たちもかつてそうやって,先輩方に迷惑をかけて教員になった。今度はその“恩返し”をする番である。 さらには,こうやって自分たちの後継者が育っていくのだなという喜びもある。 そういう意識があるからこそ,授業の能率なんてことは二の次にして,現場では実習生を喜んで迎えてくれるのだ。 その気持ちを忘れるな。 --という話をされました。 教師になりたくない人が教育実習をするということは,そうした現場の好意を踏みにじることになりますし,きっとつまらない授業になるだろうから,やっている本人も,授業を受けている生徒たちも,退屈で苦痛な時間を過ごさなくてはならないだろうし,誰にとってもメリットはありません。 ただし,大学に入って,教職課程の授業を受けたり,塾や家庭教師など「人に教える」という仕事を経験したりする中で,(積極的に「教師になりたい」とまではいかなくても)「教員も悪くないかな」と思うようになることもあるかもしれませんね。 実際私も,大学に入ったときは教職課程をとるなど考えてもいませんでしたが,塾や家庭教師のアルバイトをしているうちに,「教師という仕事は,一方的に人に教えるだけではなく,生徒からも教わる仕事だ」ということに気づき,なんとなくそれが魅力的に思えてきて,教職課程をとることにした口です。 ただでさえ就職難のご時世,実際に教員になるのはかなり困難です(なにしろ「売り手市場」と言われたバブル真っ盛りの時期でも,「ただし教員は別」と言われてましたから)。 そのため,教員免許を持っていても最終的には教師以外の道に進む人もたくさんいます。 しかし,少なくとも実習期間だけは,教師になるつもりの真剣な気持ちで,実習にのぞんでいただきたいと思います。 介護実習も同じです。やる気のない人にいい加減な介護をされたのでは,されるほうが迷惑しますので(残念ながら,少数とはいえそういう事例を耳にします)。 それと,教員免許を取るのはとても大変です。 特に最近は,文部科学省が法律を改正して,履修しなくてはいけない「教職に関する専門科目」の数が増えたので,教員養成系でない大学の学生にとっては,専攻分野の科目以外に教職科目をたくさんとらなくてはいけないので,本当に大変です。 (最近もある大学で,学校側が法律改正の内容を読み間違えてたらしく,必要な単位を少なく見積もって学生に伝えていたので,学生のとった単位数が足りなくて卒業式に免許が間に合わなかった,という事件がありましたね) ですから,おそらく「教師になりたくない人」が教職課程を全部とるのは,至難の業だろうと思います。 教職課程は,たいていの大学では2年生から始まります。 (短大ではもちろん1年から) まだ時間はあります。いろいろな人の意見を聞いたり,本を読んだり,他人に何かを教える経験(別に塾とかでなくてもよい)をつんだりして,じっくり考えてもらえればと思います。 その結果,教職をとらないことになるのもまた良し,でしょう。 書き添えますと,大学を卒業してしまってから,教員免許が取りたくなった場合は,通信教育で取得するという方法があります。 こちらは,大部分の科目は自宅学習ですので,「何となく大学に通って何となく教室に座って」というわけにはいかず,相当な精神力が要求されますが,それだけに彼ら・彼女らを見ていると本当に熱心だなあと感じます。 長くなりました。 読み返してみると,ついつい偉そうな口調になってしまっている自分がいます。 一方で,おまえだっていい加減な気持ちのところがなかったか,考えてみろ,他人(ひと)のこと言えるのか,という天の声が聞こえます。 今回は,自分のことはかなり棚に上げて書いてしまいました。これからゆっくり自省してみたいと思います。
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