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DSDフォーマットの再生
e-OnkyoなどでDSDフォーマットの音楽配信がなされていますが、最も安く、簡単な再生方法を教えて下さい。 e-OnkyoのサイトではKORGやソニーの特殊は装置を紹介していますが、普通のUSB-DACでこのフォーマットを扱えるものはまだ発売されていないのでしょうか? 発売されていても高価なのでしょうか? DSDはSACDに使われるフォーマットだそうですが、USB接続でDSDのDA変換が出来るSACDプレーヤーは発売されていますか?
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>> SACDプレーヤーの方が先に出てしまって、商品化が難しいのでしょうか // だらだらと長いですが、私の認識としては以下のような感じです。 まず、CDには規格上コピー防止技術というものがなかったので、いわゆるリッピングがやり放題でした。CDから読み出したオーディオデータは、パソコンでも馴染みのあったリニアPCMなので、WAVEやAIFFといったリニアPCM向けのコンテナに簡単に格納でき、ファイルとしての管理が容易でした。 もっとも、当初は記憶媒体の単位容量当たりの価格が高く、通信速度も遅かったので、MP3が主流になった訳です。現在ではその問題が解消されているので、音質にこだわる人はロスレス圧縮やいわゆるハイレゾ音源を利用しています。 他方、SACDは、最初から何重にもコピー防止技術が組み込まれています。SACDを買い求めるような人は主にオーディオマニアなので、ふつう違法コピーなどはしないと思うのですが、レコード会社や著作権管理団体は頭に血が上っていて冷静な判断ができなかった(あるいはマニア以外もSACDに飛びつくはずだという判断ミス)のかも知れません。 それはさておき、そういう次第でSACDをパソコンでリッピングすることはできません(技術的に全く不可能という訳ではなさそうですが)。つまり、これまで「パソコンでDSD音源を再生する」というニーズ自体がなかった訳です。 また、通常のSACDプレーヤーでも、DSD信号のままデジタル出力できる機種は限られています。従来のオプティカルやコアキシャルではダメで、iLink(ちなみにこれもIEEE1394という 標準規格にSONYがキャッチーな名前を付けただけ)などによって、DAC側と認証が取れないと出力しない仕組みです(現在はHDMI経由でも出力できますが、これも相互通信で認証しています)。 ところで、USB端子からリニアPCMデータを出力する方法は、USBの標準規格を策定する団体によって決められています。「USB Audio Class」という規格がそれで、Windowsは標準でUSB Audio Class 1.0に、Macは(Mac OS X 10.6以降であれば)USB Audio Class 2.0に対応しています。そのため、「クラスコンプライアント」のUSB-DACであれば、ドライバソフトのインストールなしに、すぐに利用することが可能です。 これは、マウスやキーボードを繋げばすぐに使えるのと同じです。USB-DACの中にはドライバソフトが必要なものもありますが、これは、いわばマウスやキーボードの特殊機能(たとえば「戻る/進むボタン」など)を使うのにドライバソフトが必要なのと似ています。 現在のところ、この標準規格の中に「DSD信号をそのまま出力する」というものがありません。そのため、「DSD入力に対応したUSB-DAC」を開発しようと思うと、「そもそもどうやってUSBにDSD信号を流すのか、それを正しく受け取るにはどうすれば良いか」という問題を解決しなければなりません。これは、オーディオの問題ではなく、完全にパソコンのハードウェアやソフトウェアの開発の問題です。 実際のところ、従来のUSB-DACでも問題の本質は変わりません。USB-DACは、オーディオ機器というよりはパソコン周辺機器です。そのため、パソコンに関する技術や開発力がなければ、けっきょくクラスコンプライアントのUSB-DACしか製品化できません。USB-DACの多くが24bit/96kHzまでしか対応していないのは、そういう事情です。ユーザの多いWindowsでも使ってもらえるようにするには、USB Audio Class 2.0は採用できません。USB Audio Class 1.0では、24bit/96kHzまでしか対応していないのです。WindowsでUSB Audio Class 2.0のUSB-DACを使えるようにするにはドライバソフトを開発しなければなりませんが、オーディオ専業メーカーにはそのような技術・経験がありません。 話を戻すと、現在の「DSD入力に対応したUSB-DAC」の多くは、「DSD over PCM (DoP)」という方式を使っています。これは、「中身はDSD信号だけどパソコンはPCMのように扱う」という、一種の「偽装」です。つまり、「USB Audio Classの中で裏技的にDSD信号を通す」方法なのです。これは、かなり際どい技術だと思います。 ちなみに、DoPで一般的なDSD信号(2.8MHzサンプリング)を通すには、PCM換算で24bit/176.4kHzのフォーマットを用いるようです。従って、USB Audio Class 2.0でなければなりません。 ----- さて、今後の見通しですが、3つのストーリーが考えられるでしょう。 (1) 上でも触れた通り、iLinkの実体はIEEE1394、現在ではFireWireと呼ばれている規格です。FireWireは、パソコンのインターフェイスとして比較的普及しています。そこで、パソコンがFireWire端子を搭載し、DSD信号の入出力を認証できるようになれば、これ経由でのデジタル入出力が可能になります。 もっとも、FireWireの企画課を主導したAppleが、現在ではIntelとともにThunderboltへの移行を決意しているようなので、今以上にFireWireが普及するとは考えにくいです。また、DSDの認証のためにコストがかさむので、一握りのオーディオマニアのために「安い方が良い」と考える大多数の顧客を失うリスクを冒すパソコンメーカーはないでしょう。 (2) USBの標準規格化団体が、たとえばUSB Audio Class 3.0としてDSD入出力を規格化してくれて、かつ、半導体メーカーがそれに対応した汎用ICを製品化してくれれば、そのICを載せたUSB-DACはDSD信号を受け取れます。そうすれば、開発力のないオーディオ専業メーカーからも、「DSD対応USB-DAC」が発売されることになります。 (3) 現在は「裏技」であるDoPが普及して事実上の標準規格になれば、パソコン周辺機器を開発する能力のあるオーディオ機器メーカーからは、「DSD対応USB-DAC」が発売されることになるでしょう。 日本でいえば、FOSTEXやTASCAMは期待できます。業務用オーディオ機器を作っているので、DSD録音などプロの現場での技術の蓄積があります。また、ONKYOも(Macはおざなりですが)昔からPCオーディオを売りにしていて、現にDSDファイルの販売もしているので、多少は期待が持てます。 ともあれ、現状は(3)で、いわば「パソコンオタク兼オーディオマニアのサークル活動」的な状況なので、パソコンでのDSDファイルの再生はあまり現実的とはいえないでしょう。
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- Yorkminster
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>> USB-DACでこのフォーマットを扱えるものはまだ発売されていないのでしょうか? >> 発売されていても高価なのでしょうか? // あることはありますが、決して安くはありません。最も安い部類で、Chord Qute HDの14万円といったところでしょうか。あとは、Mytek、dCS、Playback Design、Wavelength、Ayreなど、かなり高額な部類しかないと思います。 Fostex HP-A8は、将来的にはファームウェアアップデートでUSB経由のDSD入力に対応する予定だそうですが、現在はサポートされていません。 http://www.fostex.jp/faq/238 そもそも、パソコンからUSB経由でDSD信号を出力する方法が必ずしも規格化されていないので、ある意味で「実験」段階です。DoPが有力候補のようですが、ある種の「裏技」的な方法なので、一般に普及するにはまだしばらくかかると思います。 >> DSDはSACDに使われるフォーマットだそうですが、USB接続でDSDのDA変換が出来るSACDプレーヤーは発売されていますか? // 上記と同様の理由で、おそらく存在しないでしょう。 ちなみに、一言で「DSD」といっても、ファイル化する際にはDSFやDSDIFFといった具合に、相互に互換性のないフォーマットが混在しています。規格は標準化しないことには普及しにくいので、その意味でも、パソコンからDSDをダイレクトに再生する環境が整うのはまだ先の話でしょう。当面は、ハイレゾのPCMに変換して再生するのがベターかと思います(尋常でなくディスクスペースを消費しますが...)。
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有り難うございます。 前の回答者も言っておられますが、なかなか難しいようですね。 SACDプレーヤーの方が先に出てしまって、商品化が難しいのでしょうか。 SACDそのものがDSDフォーマットの商品化ととらえるべきなのでしょうか。
- tyatoran2
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USBDACでDSDに対応のモノですとFOSTEX HP-A8が唯一だと思います。 DSD対応の製品はこれから増えてくるかと思いますが、そこまで安くお求めやすいモノが出てくるとも思えません。 これらハイレゾやDSDを積極的に聞かれる方たちは当然機材にもそれなりに拘っている方達ですから、下手に安いモノを出しても売れない可能性の方が高いです。 そもそもDSDで聞きたいと思う方達がPC経由で聞くことに耐えられるのだろうかとも思いますし、大手メーカーもまだDSDディスク再生機能をもったSACDプレイヤーあたりで止まってしまっていますね。
お礼
有り難うございます。 クラシックをタンノイ、ウエスギ、トーレンス、オルトフォンの組み合わせで聴いています。 どうもCDよりLPの方が音場感、空気感が豊かな感じがします。 もうLPは手に入りづらいのでDSDと思ったのですが、まだまだのようですね。 DSDが聴ければ、PC経由でもそれほど違和感を感じません。 音のうるさいPCをどうするかの問題はありますが。 「DSDディスク再生機能をもったSACDプレイヤー」とはどんなものでしょうか? ダウンロードしたものをどうやってCD(DVD?)に焼くのでしょう? PC経由でなく、DVD化したものを再生できるなら、その方が好都合ではあります。
お礼
懇切丁寧に解説頂き、有り難うございました。 要約すると、 現在のWindows環境のUSB規格ではDSD信号の送出は出来ない。(Macの方が少しマシ?) USBの新しい規格を標準化すれば可能になるが、オーディオメーカーが対応できるかは別問題。マーケットも小さいし、PC技術に長けたオーディオメーカーは少ないからから今のところ実現性はないだろう。 今のところ現実性があるのは、DoPでインチキ臭い(とまでは言えない?)方式によるしかないだろう。 、と言うことでしょうか。 安価で簡便なDSD再生はもうしばらく時間がかかりそうですね。 少しがっかりしました。 新譜のLPレコードは手に入らなくなったし、CDはあまりに音質が悪すぎて。