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「不可罰」「犯罪不成立」「構成要件該当性あるが違法性or責任阻却」「無

noname#110938の回答

noname#110938
noname#110938
回答No.3

字数制限に引っ掛かったから分ける。 「不可罰」の典型的な用例として「器物損壊の過失犯は不可罰である」なんて言うね。これはすなわち、そもそも刑罰法規の制定前の段階で器物損壊の過失犯には刑罰を科すべきではないという価値判断をしたということであり、その結果、構成要件自体が存在しないということになる。条文が存在しないとか構成要件が存在しないという形式面から不可罰という言い方をしているのだけど、実質的には、そもそも刑罰を科すに値しないからこそ形式的な条文というものが存在しないというわけ。 では、「器物損壊の過失犯は構成要件該当性を欠き不成立である」と言うのはどうか。間違いじゃないが、そもそも「構成要件該当性」を問題にする場合は、「構成要件を基準に当該行為が該当しない」と述べているのに対して、「不可罰」と言う場合には、「もともと当該行為を処罰すべきではないという価値判断を基準に、当該行為に該当する構成要件が存在しない」ということを述べているわけで、見方が正反対なんだな。で、わざわざ存在しない構成要件を基準にして考えて「該当しない」なんて言い方をするのは、間違いじゃないが、意味のある考え方ではないので、普通はしない。 だから、形式的に構成要件に該当する不可罰的事後行為においても、「窃盗犯人による盗品の破壊は不可罰である」と述べるのと「窃盗犯人による盗品の破壊は構成要件該当性を欠き不成立である」と述べるのとでは、結局は同じなんだけど、前者は犯罪の成立に必要な実質的価値判断としての可罰性から出発して器物損壊罪の成立を否定するという結論に至るのに対して、後者は器物損壊罪が成立しない理由を構成要件という形式の面から見て述べているにすぎない。不可罰的事後行為は、過失犯の例と違って形式的には犯罪成立要件を満たすから、意味のある考え方ではないとまでは言わないけど、その本質は同じと見て良い。つまり、実質面を起点にするか形式面を起点にするかということ。 もっとも、最終的には「文脈」によるし、多分厳密に使い分けずに何となくという場合も少なくないから、概ね「同じようなもん」と思っておいても十分だと思うよ。むしろ重要なのは、「犯罪不成立」にしろ「無罪」にしろ「不可罰」にしろ、「なぜその結論になるのか」という部分。つまり、成立要件を欠くのか証明の問題か刑法の謙抑性などの根本的な要請による法政策の問題なのかはたまたそれ以外か、その結論となる根拠がなんなのかということを理解するのが最も大切(そもそも使い分けは、根拠ではなく結果に過ぎないことが多いのだから)。言葉の厳密な使い分けは時として「筆者の趣味」の面があるので、拘泥し過ぎないほうが良いよ。 余談。自分も「解る」(理解するという意味)と「判る」(区別できる、判断できるという意味)と「分かる」(それ以外または知るという意味)と使い分けるけど、別に使い分けなくても意味は大体通じる。多少几帳面な性格から生じる単なる趣味だね。

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