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ショットキー接合の少数キャリア注入について
n型半導体に金属をつけてショットキー接合を形成する場合 通常は電子の挙動のみを考えていますが、バリアハイトが大きな場合 等は金属側からのホールの注入があるようです。 この場合のホールに対する バリアハイトハどのように考えれば いいのでしょうか? 金属はフェルミレベルまで電子が詰まっていますが、金属中のホール はどのように定義されるのでしょうか? フェルミレベル付近に伝導に寄与するホールを考え、フェルミレベルから 半導体の荷電子帯上端までを考えればいいのでしょうか? 基礎的な質問と思いますがよろしくお願いします
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- inara1
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>金属はフェルミレベルまで電子が詰まっていますが、金属中のホールはどのように定義されるのでしょうか? 電子と同じようにフェルミレベルの位置に局在すると考えます。参考URLの3ページ目の中段左の「P型半導体と金属との接触」のところに出ているように、金属中の正孔に対するショットキー障壁はこの図のφBと書かれた部分になります。これはフェルミレベルから半導体の価電子帯上端までのエネルギー差になります。図では黒丸が電子になるので金属中には電子しかいないよう描かれていますが、金属中で電子が左側に動くのと、金属中で正孔が右側に動くのとは同じことなので、フェルミレベルに位置に正孔があると考えて構いません。この例はp型半導体と金属との接触ですが、n型半導体と金属の場合、金属中の正孔に対するエネルギー障壁は、以下で説明するように、正孔に対するショットキー障壁 φh に、半導体中のバンドの曲がり Φbi を加えたもの φh + Φbi になります。 >バリアハイトが大きな場合は金属側からのホールの注入があるようです これは半導体デバイスのテキストではほとんど扱わない例です。 通常のショットキーダイオードは、立上がり電圧を小さくするために、多数キャリアに対するエネルギー障壁が適度に小さくなるようにしているので、少数キャリアに対するエネルギー障壁のほうが高くなっています。下図はn型半導体-金属界面のバンド並びですが、順バイアスの場合、多数キャリア(電子)に対するエネルギー障壁は Φbi で、少数キャリア(正孔)に対するエネルギー障壁は Φh + Φbi になります。 金属 n型半導体 ↑ │\ Φbi↑ Φe | \__ ↓ 伝導帯下端 ─┼┼ - - - - - - フェルミ準位 Φh │ ↓│ Φbi ↑ \ ↓ \__ 価電子帯上端 Φe + Φh = Eg(半導体のバンドギャップエネルギー)ですから、Φe が小さいほど Φh が大きくなります。そのため通常、電気伝導に寄与するキャリアはほとんどが多数キャリアとみなしてよく、多くのテキストでもそのように扱っています(ショットキーダイオードのスイッチング速度が大きいのは小数キャリアの注入がないからと書かれているはずです)。しかし、Φe が大きい場合には Φh + Φbi が小さくなるので、正孔の流れも考慮する必要があります。実際に正孔の流れも考慮しなければならないのは Φh がほとんどゼロになるような場合( Φe ≒ Eg の場合)だと思いますが、電子と正孔の流れを両方加味にして電流を計算することは可能です(この場では即答できませんが)。
補足
inara1さん 回答ありがとうございます 金属ではフェルミレベル近傍にホールが存在すると考えれば 理解はしやすいですね。 しかし昔受けた 半導体の授業でのホールの考え方は ブラッグ反射条件近傍のk空間、つまり許容帯上端近傍で電子の実効質量が 負になり これを電荷を正として仮想粒子 ホールを仮定する・・・と 習った記憶あります。半導体的には、荷電子帯上端でのみホールが定義されると思いますが、この考えと許容帯中途中に電子が分布する金属ではホール は定義できないように思えますが・・・・ ご教授ください。よろしくお願いします。