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債務不履行によって相手方に怪我

債務不履行によって相手方に怪我をさせてしまった場合には、不法行為による損害賠償と同様に財産的損害・精神的損害の問題や積極損害・消極損害の問題が出てくるのでしょうか?

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回答No.5

補足質問に回答させていただきます。 「慰謝料として認められる可能性がある」というのが、現時点での結論ではないかと思います。 理由としては、 1.ご提示の例題に類似した判例がないこと 2.しかし、他の事例において、民法710条(非財産的損害の賠償)を類推適用して慰謝料請求を認めた判例があること が挙げられますね。 ●損害が発生しており、 ●債務不履行とノイローゼ・胃潰瘍との間の因果関係を立証でき、 (通常生ずべき損害として認定されない可能性を考慮し、特別損害としての要件、つまり債務者の予見可能性の立証もあれば心強い) ●かつ賠償させるに相当な範囲内であると認められたならば、 勝訴の可能性は「ないとは言えない」と思います。 ※参考として、債務不履行による慰謝料請求が認められた事例を、いくつか列挙しておきます。 1.野球の専門学校に入学したが、授業内容が学校側の説明と大きく違ったため、学校法人に債務不履行による損害賠償を請求した事例。学校法人に債務不履行責任を認め、入学金・授業料の返還と慰謝料の支払いを命じた。 2.無登録の一級建築士が、ずさんな増改築工事を指導した事案。債務不履行責任として慰謝料と弁護士費用を認めた。 3.内縁関係の不当破棄により、慰謝料が認められた。 4.男女関係解消の慰謝料として300万円の支払いを約束したが、後に慰謝料放棄書を「書かされた」事例。放棄書を無効として、300万円の支払いを命じた。 5.3年間の同棲により婚姻予約を認定し、女性の信仰を理由とする婚姻予約の破棄に対して慰謝料を認めた。 6.旅行契約において、約定では豪華クルーザーを利用すると定められていたところ、実際には小型水上飛行機を利用したことにつき、旅行会社の債務不履行責任を認め、「慰謝料を含めた形で」損害賠償請求が認められた。

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質問者

お礼

懇切丁寧かつ論理明快な回答有難うございます。 とても感激しますと同時に非常に勉強になりました。

その他の回答 (4)

回答No.4

補足について、考察させていただきます。 お持ちのテキストの説明は、間違いとは言い切れません。説明では、その特色にスポットを当てて、多少なりともデフォルメされた手法を取ることも珍しくないからです。これは、「枠」としての理解には資すると思うんですね。特に、「予測可能性」から、「債務者が予測できたであろう範囲内で、別の結果にも責任を負わせよう」という結論を導く考え方は、相当因果関係論理の構築訓練にもなると思います。 ただ、「不法行為を適用するべき事例で、債務不履行を適用するようなケースが出てきた」ということが理由で、2つの制度が相互妥当性を持つに至る…という説明は、多少疑問に思っています。両者には、ただ単に「共通させて良い」と思われる部分が多い、ということなのではないか…と思うのですね。 以下は、共通項についての考察です。 ●例えば、相当因果関係説は、債務不履行にも不法行為にも共通しています(判例・通説)。 まず、無限の賠償責任から債務者を保護しなくてはなりません。事実的因果関係だけでは、際限なく関連性が認められてしまい、賠償額が天文学的数字に上る場合も出てくるでしょう。そういった事態を防ぐため、賠償させるに相当と思われる範囲で「因果関係を断ち切る」わけですね。 また、逆に、債務者が賠償責任から免れてしまう事態も考慮しなくてはなりません。つまり、予測可能性が「ない」と考えられる場合でも、客観的に相当と認められる範囲であれば、事故の事後結果(後遺症など)について賠償責任を負わせることは妥当でしょう。 そして、相当因果関係の範囲内で、「特別事情による損害」も保護に加える。通常事情による損害であれ特別事情による損害であれ、客観的に相当な範囲を外れているなら、賠償責任も発生させないという考え方です。 ※なお、内田学説(相当因果関係=事実的因果関係+461保護規定)は、通説ではありません。 ●また、財産的損害についても、考え方はほぼ同じです。 債務不履行では「履行利益まで賠償範囲に入れる」という判例がありますし、不法行為では「消極的損害も賠償範囲に入れる」というのが判例です。 なお、履行利益や消極的損害とは、「直接の損害だけでなく、営業ができずに休業する羽目になった場合の損害」だと考えておいてください。 ●さらに、精神的損害=慰謝料についても、方向性は同じです。 債務不履行であっても、精神的損害が発生しているならば、慰謝料の支払いは認められています。ただし、条件面でのハードルは高いですが…。

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質問者

補足

回答有難うございます。 貸金が期日までに返済されずそのために債権者が心労のためにノイローゼ、胃潰瘍になったとしてもこれについて損害賠償というのは難しいのでしょうか?

noname#83227
noname#83227
回答No.3

当然出てきます。別の質問でも回答しましたが、損害賠償の種類については、それが不法行為でなく債務不履行においても当然問題になります。 補足にある「テキスト」というのがどこの誰が書いたものか知りませんが、あまり正確ではないと考えられます。内田先生の民法の基本書を図書館で借りるのでもいいので一読することを強くお勧めします。 なお、民法416条は相当因果関係を定める条文というのが一般的な理解だったのですが、近時ではもはや相当因果関係という言葉はほとんど無内容になっています。一応、民法416条の定める通常損害、特別損害の範囲が相当因果関係の範囲であるということなのですが、それならば416条にある損害の範囲をそのまま考えればいいだけなのであえてそこで相当因果関係という概念を用いる必要がないのです。結局、相当因果関係があるかないかの基準は何かと言えば416条に他ならないので相当因果関係の判断をした後に416条の判断をするなどというのはあり得ません。 “事実的”因果関係の判断の後で416条を使って更に範囲を絞り込む(=相当因果関係の判断)というのなら話は解りますが。 基本的な考え方は、詳しくは内田先生の民法を読んでもらうとして、 損害の範囲の確定は、 1.事実的因果関係がある 2.民法416条による賠償義務の範囲にある(通常損害と特別損害) ということだけで決まります。 財産的損害、精神的損害は損害の種類の問題なので損害の範囲とはまるで違う話というのは別質問の回答で書いたとおりです。

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質問者

お礼

詳細かつ貴重な回答有難うございます。 早速に、ブックオフで内田先生の民法3を購入いたしました。

回答No.2

こんにちは。 ご質問内容は、「債務不履行による損害賠償の範囲について」である、という解釈をさせていただきましたので、その方向でお答えします。 結論から申し上げれば、質問者様の言う「財産的侵害・精神的損害」、「積極侵害・消極侵害」ともに、賠償する責任が発生し得ます。 賠償責任について考える時には、 1.債務不履行と損害との間に相当因果関係があるか? 2.相当因果関係があるとして、賠償の範囲は、特別な事情から生じた損害にも及ぶのか?。→条件付き(特別事情を知り得たかどうか)で及ぶ EX.建物の引き渡しが一週間遅れて、ホテルを利用しなければならなくなった。引き渡し日には大々的に竣工パーティを行う予定であった。 賠償範囲はホテル代だけか。それとも事前にパーティのために投じた費用にも及ぶのか。 3.相当因果関係があるとして、賠償の範囲は直接的な損害に限定されるか、間接的な範囲にも及ぶか?→及ぶ EX.中古で買った車のブレーキが壊れていた場合、賠償範囲はブレーキの修理代だけか。それとも修理期間中に営業活動ができなかったことによる損害にまで及ぶか。 4.相当因果関係があるとして、賠償の範囲は精神的損害にも及ぶか。 →条件付き(生命・身体、自由、名誉等の人格的利益が侵された場合)で及ぶ これが債務不履行による損害賠償の論点です。 ご質問の積極損害・消極損害については3.、精神的損害(慰謝料)については4.の論点です。

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質問者

補足

回答有難うございます。 既に20点満点の回答を頂いているのですが、もう一点質問をさせていただきます。 テキスト等には、債務不履行責任にようる損害賠償につきましては相当因果関係理論、不法行為による損害賠償につきましては財産的損害(積極損害/消極損害)・精神的損害の図式で説明されています。 これは、制度設計の上で、予想される典型的な場面が異なるからと考えてよいのでしょうか? 契約を前提にした場合は、不履行による相手方の損害についてある程度の予測可能であるので、相当因果関係説の下地があり、また通常の契約では不履行があるかもしれないことはある程度予測の範囲内であり、覚悟の上での契約と考えれば、精神的損害を持ち出すことが必ずしも妥当ではない。 一方、不法行為の場合には、故意の場合はともかくとして、基本的に事前に損害の予測といことが困難であること、また不慮の事故であるだけに精神的損害が拡大する可能性があることから、債務不履行の場合と異なる切口での議論となる。 しかし、従来であるならば不法行為責任で扱う問題を債務不履行責任で扱う場合が出てきてために双方の損害概念が相互に妥当し得る場合がある。  

noname#81273
noname#81273
回答No.1

「積極損害・消極損害」というのは不法行為責任の賠償額算定基準(不法行為があった場合-なかった場合の差額という説)で、債務不履行の場合は「相当因果関係」(被った契約上の損害と不履行とのつながりの相当性)によって決めます。 まず債務不履行の場合、不法行為のような積極・消極という基準ではなく、不履行と相当の因果関係のある損害ということになります(通常の損害+予見可能な特別事情の損害)。 例えば土地売買契約の不履行だとすると、土地を約定日に引き渡さなかったために生じた損害が通常損害に当たります(宿泊料や予定していた事業が行えなかったことによる損害など)。また、その土地を転売するつもりだったのに、急に不景気になってだめになったというのが特別事情の損害に当たります。この場合、契約時に不景気になることが予想できればそこまでの賠償責任が生じるということになります。 それから、不法行為による損害、つまり、怪我の治療費(積極的に受けた損害)とその他の相手の被った損害(怪我による減収額などの消極損害)が、不履行責任による損害賠償額に加算されることになります。

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質問者

お礼

回答有難うございました。 参考にさせていただきました。

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質問者

補足

回答有難うございます。 今回の疑問の発端は2つありました。 1.例えば引越業者が引越の最中に家人に怪我をさせてしまった場合です。この場合には、信義則上の契約責任が認めらられて債務不履行責任が生じると  思われます。 しかし、怪我であれば、財産的損害としての積極損害・消極損害が問題になると考えられますし、更には精神的損害(慰謝料)の対象にもなるのかなと思った次第です。 2.参考書の中に、不法行為責任の場合にも相当因果関係理論は妥当する旨の記述がありました。怪我をした場合に積極損害・消極損害によって損害を分類しますが、その前提として、相当因果関係を考えるみたいです。 例えば、人を車で跳ねたとして、医師の治療を受けた被害者が医療ミスによって死亡した場合に医療ミスについての責任をとるというのは妥当でないからです。 1.2.を考えますと、それぞれの責任に基づく損害概念が相互に妥当しうると考えられるように見えるのです。

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