記憶と過去世界
命題A:動物は今だけを生きている。
命題B:ハト(動物の一種)は記憶を持っている
命題C:記憶は今でなく過去のことを記憶する。
命題Aはどこかで聞いたことがあります。
命題Bは心理学で勉強したことです。
命題Cは哲学で勉強したことです。
これらの命題は、すべてが同時に成り立つことはないと思うのです。なぜなら、
命題Aが正しければ動物は過去のことは全く知らないはずです。しかし、命題Bでは、動物であるハトが記憶を持っていると言っています。命題Cは、さらに記憶は過去と必然的に関係があるということだと主張します。そうするとBとCから動物であるハトが過去を把握しているということになります。これはAの動物は今のみを生きているということと矛盾してしまいます。
命題Aが私の記憶が不明瞭なためにそれが間違っているということも考えられます。
また命題Bのハトの記憶は命題Cの記憶の一種ではあるが、少し意味の違う使い方をしているとも考えられます。例えば、コンピュータの記憶装置などの記憶は過去世界を持ちうるかといったらそうではないような気もします。
私が知りたいのは記憶を持っていれば必然的に過去世界が存在するのかということです。
記憶はいつも今、記銘し、今、保持し、今、取り出します。この今が過去へと変わっていくのですが、それがわかるのは記憶によるものなのか、それとも、それ以外のものが必要なのかということです。
それから過去世界は記憶がなくても存在するかということもわかりません。これは存在論と認識論の問題になってしまうかもしれません。
もしも、ハトが過去世界を持たないとしたら、それが過去だからなのか、それとも世界だからなのかということも知りたいところです。ハトは世界(現在世界)もわかっていないのでしょうか?そうだとしたら、過去世界をもつことも難しくなります。