馬券の購入は会社の経費に成り得るか?
概要
馬券の購入、広く言えばギャンブルに金を使うことは会社の経費になり得ますか?
お世話になります。
とある、長年、スポーツ新聞に広告を出しているいくつかの競馬の予想会社に騙された人から相談を受けたので、その会社の調査をしてみました。
早速それらの会社の商業登記簿謄本を確認したところ、驚いたことに別の社であるにも関わらず、商業登記簿謄本の内容が似通っていました。
いかがわしい商売ですから、表向き複数の会社にはなっているがバックに隠れている黒幕が同じで、これらの会社はすべて同じ穴のムジナという可能性はあり得ます。
まあ、正直、だまし取られた金は返ってこないものと思いますが、興味深いのはこの複数の会社の会社目的がそっくり同じでした。
会社目的
1 競馬に関する情報提供サービス
2 広告及び宣伝業
3 経営コンサルタント業
4 前各号に付帯する一切の業務
となっています。
1,2については本業が「競馬の予想会社」ですから納得するとしても、3の経営コンサルタント業というのが不自然です。どう考えても、まともな会社経営者が競馬の予想屋に経営コンサルティングを依頼するとは思えません。
という事はこの会社は、
”過剰に利益の出た会社経営者に利益圧縮の話を持ちかけ(あるいは持ちかけられ)、経営コンサルの名目で多額の謝礼金を要求し、その金額の領収書を発行するとともに、謝礼金の何割かを依頼者に闇で返金し隠し財産の構築の手助けをする
「脱税コンサルタント」
なのではないか?”
と考えられます。
しかし、このままではコンサル謝礼金として発行した領収書の金額にそのまま税金がかかってきます。そもそも何割かは依頼者にバックしていますから、下手すると法人税が払えない可能性が出てきます。
例として具体的に数字を使って観ましょう。
競馬予想業者は依頼者に対し1億円のコンサル料を請求し、1億円受け取るとともに、1億円の領収書を発行。
しかし、1億円の内、9000万円を依頼者に返却し、受け取ったのは1000万円だけ。
(実際には”行って来い”で最初から1000万円の受け取りしかしていないだろう)
依頼者はバックされた9000万円は隠し財産としてまんまと脱税に成功。
このままでは競馬予想業者にはコンサル料の1億円の架空売り上げにまるまる法人税4割がかかり、4000万円の法人税を求められる。しかし実際に受け取ったのは1000万円。このままでは赤字だが、まさか
「1億円の売り上げは架空であり、実際には1000万円しか受け取っていない。だから1000万円の売り上げにのみ、法人税を課してください」
と本当のことを白状するわけにも行かない。
そこで、会社目的の1の「競馬に関する情報提供サービス」を理由にして、
”1億円まるごと、馬券で損してしまいました。これは業務として行ったので、全額経費です!!!!”
という大胆な弁解をする????
はたしてこんなことが可能なのでしょうか?
もし可能だとしたら、「税務署の目は節穴か!!」ということになりますし、こんなことが可能なら、すべての会社の会社目的に
「競馬情報提供サービス業」「公営ギャンブル情報提供サービス」
と書いてあるでしょう。上記の例で言えば、脱税を依頼した会社経営者も人に頼まず、自分の会社で馬券を買ったことにしてしまえばいいわけです。
ということで、「まさかねー、そんなことあるわけないわなー」
と思いますが、では競馬予想業者の会社目的にそろって「経営コンサルタント業」とあるのはなぜなのでしょうか?
競馬予想業界の慣習みたいなもんで実際にはなんのコンサルタントも行っていないのでしょうか?
税金に詳しい方、よろしくお願いします。