• ベストアンサー

半導体のキャリアを複数にできるか?

キャリアは シリコンにホウ素をドーピングした場合、正孔一つ シリコンにヒ素をドーピングした場合、電子一つ となりますが、半導体の不純物原子によるキャリアを複数にすることはできるのでしょうか?

  • kotiya
  • お礼率7% (125/1753)

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • semikuma
  • ベストアンサー率62% (156/251)
回答No.2

ああ、そういうことですか。 文脈から、電子と正孔の両方を利用してキャリアを倍にできないかという質問かと思いました。 私も長年半導体の研究開発に携わりましたが、そういうことはあまり聞いたことがないですね。 ちなみに、GaAsやInPのようなIII-V族化合物半導体では、p型を作るときにはZnやBeなどのII族の、n型を作るときにはSnやSなどのVI族原子をドープします。 SiのようなIV族不純物原子は、両性不純物といって、条件によりp型になったりn型になったりします。 つまり、SiがIII族サイトに入れば電子が1個余るのでドナーとなり、V族サイトに入れば電子が足りなくなるのでアクセプタとなります。 ZnSeのようなII-VI族化合物半導体では、p型にはI族の不純物、n型にはVII族の不純物をドープするそうですが、私は扱ったことがないので詳しくは知りません。 さて本題です。 ご存知と思いますが、半導体に限らず物質は最外郭電子が8個になったときに最も安定します。 もっというと、sp3混成軌道の4本の腕を全て2個ずつの電子が埋めたときに最も安定します。 SiのようなIV族原子は、単独では4本のsp3混成軌道に1個ずつの不対電子が存在しますが、これは非常に不安定な状態なので、隣り合うSi原子同士で1本の軌道につき2個の電子を共有することで、安定して結合します。 これらの電子は、バンド構造では価電子帯電子に相当し、伝導に寄与しません。 ここにV族原子をドープすると、余った電子は熱的に励起されて伝導帯に遷移し、自由電子となります。 ドープしたV族原子は、電子が1個足りなくなるので正に帯電し、自由電子を引きつけようとします。 もしVI族原子をドープして2個の自由電子を発生したすると、自由電子に対する引力も2倍となります。 そもそも価電子数が多いということは原子核の電荷も大きいということで、電子を励起するためにはより大きなエネルギーが必要です。 従って、VI族原子からキャリアはV族原子ほどには発生しません。 同様に、SiにIII族原子をドープしたときも、価電子帯電子が熱的に励起されてIII族原子の電子軌道を埋め、後には正孔が発生しますが、III族原子は負に帯電して正孔を引き付けます。 (つまり、電子が元の軌道に戻ろうとする力が働く。) II族原子はIII族原子よりも原子核の正電荷が小さいので、電子に対する斥力も大きく働くため、正孔を発生するためにはより大きなエネルギーが必要となり、キャリアはあまり発生しません。 よって、2価以上の差のある不純物ドーピングはあまり使われません。

kotiya
質問者

補足

なるほど。よくわかりました。 ということは高温にすれば一応はp型、あるいはn型半導体として機能はするということでしょうか? あと、半導体として動作する温度上限(出払い領域)が上がるということになるんでしょうか?

その他の回答 (1)

  • semikuma
  • ベストアンサー率62% (156/251)
回答No.1

残念ながらできません。 正孔は正の、電子は負の電荷を持っているので、お互いに引き合い、再結合して消滅します。 実際、例えばn型の半導体内にp型の不純物を同量入れれば、その領域はi型になるし、もっと入れればp型になって、PN接合が形成されます。 フォトダイオードや太陽電池では、空乏層内で光を吸収して電子ー正孔対が発生しますが、電界がかかっているのですぐに分かれて、電子はn型層へ、正孔はp型層へ流れていきます。 (一部は空乏層内で再結合する。) 電子デバイスで両方のキャリアを利用したいなら、例えば細長いp型の領域とn型の領域を交互に並べればできますが、キャリア濃度が倍になる訳ではないので、多分あなたが期待しているような効果はなさそうですね。

kotiya
質問者

補足

すいません。 よくわからないのですが、例えば、ヒ素は五価の原子ですが、六価の原子をドープしたらキャリア電子が2個にならないか? ということです。

関連するQ&A

  • 半導体におけるキャリア生成エネルギー

    EDXなどの半導体検出器を考えるとき、電子-正孔ペアのキャリアの 生成エネルギーは何で決まるのでしょうか? Siのバンドギャップは1.2eVほどですが、電子-正孔ペアの生成エネルギー は3.6eV程度だったと思いますが、これは、なぜでしょうか?

  • 半導体関係についての質問です(2つ)

    1.共有原子価について  半導体の不純物ドーピングの所で、ドーピング材料を考えるときに、格子ひずみを減らすため、共有原子価の半径を最小化すべきであると書いてあるのですが、よく意味がわかりません。そもそも共有原子価ってなんでしょうか? 2.自己補償効果について 4族半導体(Si)は共有結合だか、3-5族、2-6族半導体とワイドギャップ半導体になるにつれて、イオン結合性が出てきて、それにより、補償効果が起こりやすいというのは、どういうことなんでしょうか? できたらできるだけわかりやすくお願いいたします。

  • 半導体レーザーのDH構造によるキャリアの閉じ込めなど

    半導体レーザーでDH(ダブルへテロ)構造を用いたキャリアの閉じ込めについてなんですが、この場合電子が伝導帯に出てくるヘテロ障壁によって閉じ込められることは分かるのですが、正孔は価電子帯にあると思うので、ヘテロ障壁が価電子帯に出てきても、ヘテロ障壁がエネルギー的に低い側にできてしまって、正孔がより安定なエネルギーの低い方へ行くとすれば、正孔は閉じ込められない気がするのですが、どう考えれば良いですか? あと、半導体レーザーは消費電力が小さいということなのですが、一般的なレーザー(He-Neレーザーなど)と比べると、どの程度消費電力が小さいのですか?

  • 半導体の抵抗値

    半導体の熱と抵抗の関係に対する質問です。 対象は炭化ケイ素です。 半導体では熱励起によって自由に動ける電子と正孔のペアが生じる。ペアの数は熱エネルギーに依存するので温度が高くなると増える。よってキャリアが増え低効率が下がる。 と調べたのですがこれだけでは不十分だと言われました。詳しい説明をお願いいたします。 また、800度付近から温度が一定になる理由も教えてください。 いろんな本をあさっていますが理由が見つかりません。不純物のせいなのでしょうか? よろしくお願いいたします。

  • p型とn型半導体での少数キャリア寿命の違い

    学生です p型半導体とn型半導体で少数キャリアの寿命に差があるりゆうを考えよという課題が出ましたがよくわかりません。 少数キャリアが正孔か電子の違いからですか?

  • 半導体に関する質問です。

    金属と半導体の接触において、p型半導体と金属のオーミック接触の原理が理解できません。n型半導体と金属のオーミック接触は理解できたのですが、p型になるとわかりません。n型の場合は、電子の動きを考えればいいので、金属からn型半導体に電子が動いて、フェルミン準位が増加するので、バンド図で、フェルミン準位が上がるのがわかります。ただp型の場合は、正孔を考えなければなりません。ただ、金属は電子しか移動しないので、どのように金属と半導体の間の正孔のやりとりを考えたらいいのでしょうか?金属から半導体へ、または半導体から金属へ、正孔が移動すると考えられるのでしょうか?参考書などを見ると、「n型と同様に考えると」っとしか書いておらず、私には理解できません。すいませんが、教えてください。お願いします。

  • 次の半導体の問題はどう解けばいいのでしょうか?

    室温における真性半導体の電子密度が1.3×10^16/m^3とする。ドナーとして5×10^24/m^3の不純物を添加した場合の、最小の正孔濃度を算出せよ。 という問題です。わかるかたがいたらよろしくお願いします。

  • 半導体について

    半導体の実験をしました。試料はゲルマニウムです。 ホール係数はマイナスなので電荷の種類が電子であることがわかりました。n型半導体(不純物半導体)であるとわかりました そこで、キャリア密度の温度依存性を見るために、lognー1/Tのグラフをつくりました。ここででてきたグラフが、参考書に載っていた固有領域(高温領域)をしめしました。 つまり、高温では真性半導体の特性をもち、低温では不純物半導体の特性を示しているのでしょうか? よくわからないので、わかる人おしえてください。 あと参考になるHPがあればおしえてほしいです。 よろしくお願いします

  • 半導体工学の問題が分かりません

    半導体工学の問題が分かりません 問題は以下の通りのものです。 1.真性Siに不純物を添加して、導電率が5S/cmのp形と抵抗率が2Ωcmのn形不純物半導体を作りたい  ただし、温度は室温、真性キャリア密度は1.5×10^10/cm^3、  電子及び正孔移動度は1500cm^2/Vs,500cm^2/Vsとする (1)添加すべき不純物密度はそれぞれいくらか (2)p形、n形半導体のフェルミ準位は、真性フェルミ準位を基準にそれぞれどの位置にあるか (3)拡散電位はどれだけか (4)p形での電子の寿命が1μs,拡散定数が10cm^2/s,n形での正孔の寿命が0.1μs,拡散定数が3cm^2/s   であるとき、電子及び正孔によって運ばれる逆方向電流密度はどれだけか (5)このダイオードに0.3Vの順バイアスを加えたとき、流れる電流はどれだけか   ただし、接合の断面積は0.3mm^2とする というものです。一応やってみましたが問題から拡散長しか求められません おねがいします。

  • N型半導体とP型半導体の違いについて

    受験生です。 一つ気になったことがございまして、 お聞きしたいことがあります。 N型半導体はシリコンにリンPを混ぜたもの。 P型半導体はシリコンにホウ素Bを混ぜたもの。 ですが、リンPとP型半導体のPでこんがらがってしまいます。 N型とP型の名前の由来について お詳しい方どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m