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裁判所の管轄(地方裁判所・簡易裁判所)
私は、マンションの1室を借りています。 賃貸借契約書には 「本契約に関する訴訟については、○○地方裁判所を管轄裁判所とする。」 と書いてあります。 訴訟価額が140万円以下は簡易裁判所に訴訟を起こし、140万円を超える場合は地方裁判所に起こすというのが法律の規定ですよね(裁判所法33条)。 この賃貸借に関して140万円を超えない金銭の請求をする場合でも、簡易裁判所ではなく地方裁判所に提訴しなければならないのですか? もし、契約の規定に従って地方裁判所に提訴しなければならないのだとしたら、どのような狙いがあってそのような規定が入っているのですか? 簡易裁判所で訴訟をするとまずいこと、あるいは地方裁判所で訴訟をしたほうがいいことがあるのですか。 (契約の条文は、もちろん私が作ったものではないので。)
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#3です。若干の補足をさせていただきます。 >簡易裁判所の司法委員とはなんですか?貸主側の事情として、司法委員に関与されたくない事情があるのでしょうか? 簡易裁判所の司法委員の「公式な説明」については、最高裁判所の参照URLをご覧下さい。 「公式な説明」が別にあることから、私は「非公式な説明」をさせていただくことにしますので、ご参考までに聞き流してください。 簡易裁判所に司法委員を置くということは、要するに、裁判官の人手不足を補うために、細かな和解協議を裁判官の手から切り離して「有識者」に処理させようということです。もちろん、全部が全部ではないでしょうけれど、簡易裁判所の和解協議では、裁判所側として司法委員だけが臨席して、裁判官は出てこないのが普通です。 「有識者」とはいいつつ、実態は会社役員で一線をリタイアしたおっちゃんとか、子育てがひと段落したおばちゃんとか…、要するに時間がたくさんある人(重ねて失礼!!)が就任しているので、素人的発想で和解協議にいろいろと口を挟んできて、法律的にドライに事件を処理しようとしている当事者-多くは請求を構えている原告側としては、迷惑この上ない(重ねて重ねて失礼!!)という実態があります。 >わざわざ褒められたことではないような条文を入れているとなると、どうしてだろう、と思ってしまいます。 実は、簡易裁判所の裁判官は「司法試験合格組み」の裁判官(判事、判事補)ではないのです。「簡易裁判所判事」ということで、地裁・高裁の定年まぎわの裁判所書記官が、選考などを経て簡易裁判所の裁判官になっているケースが多いようです。 それで、裁判を受ける権利の観点から(訴額が小さくても請求原因が特に複雑な事件については)正式な「司法試験合格組み」の裁判官の判断を受ける途も用意しておくというのが、実際のところでしょうか。 もちろん、質問者さまの指摘されるような「アナウンス効果」(?)も、あり得ると思います。 なお、私の回答の「(したがって、このような管轄合意がある場合、地裁に対する提訴後の移送の問題も生じないことになります。)」という点は、言い過ぎだったと思います。 違管轄の移送は問題になりませんが、ok2007さまがご指摘の「裁量移送」という話はありました。 訂正させていただきます。ご指摘いただきまして、ありがとうございました。
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- ok2007
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すみません、投稿後に読み返してみて、一部不正確な表現がありました。お詫びして訂正いたします。 誤 他方、簡易裁判所への提訴は 正 他方、お書きのケースで専属的合意管轄裁判所となっていない簡易裁判所への提訴は
お礼
ご回答ありがとうございます。
- ok2007
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若干の補足をいたします。以下は、訴額が140万円以下を前提といたします。 契約書上で管轄裁判所(専属的合意管轄裁判所)の定めを置いていても、管轄裁判所からの移送は可能です。民事訴訟法20条1項括弧書にてそのような合意内容につき同項の適用除外とすることで、明文により専属的合意管轄裁判所からの移送が可能なことが明らかとされました。 したがって、専属的合意管轄裁判所へ提訴しても、移送の問題はあるといえます。実務上も、訴額などを勘案して簡易裁判所への移送をすることはあるようです。 また、専属的合意管轄裁判所への提訴は管轄違いではありませんから(11条1項参照)、16条の適用は無いものと思われます。当該裁判所からの移送は、17条または19条1項が根拠となりましょう。20条1項括弧書により17条および19条1項を適用しうるのは、直前に述べたとおりです。 他方、簡易裁判所への提訴は管轄違いですから16条1項の適用があり得るところ、20条1項・17条を準用する形で簡易裁判所から移送しないという判断もあり得るように思います(東京地決平成11・3・17:専属的合意管轄の定めがある場合にそうでない裁判所への裁量移送を認めた決定参照)。 何だか、学校のレポートを解いているかのような気分になって参りました。
お礼
ご回答ありがとうございます。
- talkie(@utilityofa)
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書面で管轄の合意がなされている以上、ご質問の場合は、地方裁判所が第一審の管轄裁判所になると思います。 確かに、簡裁と地裁との事物管轄は、#2の回答者さまがご回答のとおりなのですが、裁判所法による簡易裁判所の管轄は専属管轄ではありませんから、訴訟当事者間の合意で、訴訟物の価格にかかわらず、第一審の裁判所を地方裁判所と定める合意も可能ですし、有効です。 (したがって、このような管轄合意がある場合、地裁に対する提訴後の移送の問題も生じないことになります。) 実務では、和解協議になったときに簡易裁判所の司法委員がうるさく(失礼!)関与してくることを嫌い、応訴管轄の発生を期待して、ご質問のような管轄合意がない場合にも、本来的に簡易裁判所の管轄に属する事件を地方裁判所に提起することがあります(地裁と簡裁とが同じ地にある場合)。 #1の回答者さまがご回答のとおり、裁判所法による地裁・簡裁の第一審の振り分けは、原則的な裁判所である地方裁判所の負担が重くならないように、簡易な事件については簡易裁判所に管轄を認めるということからいえば、あまり褒められたことではないのですが…。 そういう意味では、裁判所法の簡易裁判所の管轄に関する規定は、簡易な事件については、簡易裁判所「にも」管轄を認める…というふうに読むことができるのかもしれません。
補足
合意管轄裁判所が○○地方裁判所であること 契約書の合意管轄の規定が有効であること は わかりました。 >和解協議になったときに簡易裁判所の司法委員がうるさく(失礼!)関与してくることを嫌い、 これはどのようなことなのでしょうか。 簡易裁判所の司法委員とはなんですか? 貸主側の事情として、司法委員に関与されたくない事情があるのでしょうか? もし、私が簡易裁判所に訴訟を起こそうという場合(←仮の話です。)、 貸主側としては 「ほら、契約では地方裁判所に訴訟を起こさなきゃいけない(簡易裁判所に起こしても移送される)ということになっているでしょ? 地方裁判所の訴訟はめんどうだから、訴訟はやめたほうがいいんじゃないですか?」 と心理的に圧迫するために存在する、 という考えはどうでしょうか。 >簡易な事件については簡易裁判所に管轄を認めるということからいえば、あまり褒められたことではないのですが…。 わざわざ褒められたことではないような条文を入れているとなると、どうしてだろう、と思ってしまいます。 契約の規定の仕方としては、 「○○地方裁判所または△△簡易裁判所を管轄裁判所とする。」 という契約書でもよさそうですよね? 条文を作った人自身はあまり考えもせず、単に場所を決めるために入れただけでしょうか。 いずれにしても、本契約に関して140万円以下の訴訟でも○○地方裁判所に提訴することは、なんら変ではなさそうですね。
- ken200707
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契約の規定に従って地方裁判所に提訴しなければならないのだとしたら、どのような狙いがあってそのような規定が入っているのですか? 契約時点では請求額が予測できないので、訴訟の目的の価額について制限の無い地方裁判所を合意管轄裁判所としています。 より効果的に合意裁判所を規定するのであれば、価額によって裁判所を指定すればよいのですが、契約後に法律が変更になった場合、価額自体を契約書に記載しておくと厄介なことになりかねないので、汎用度の高い地方裁判所を合意裁判所とします。実際に契約における価額が小さいことが明白な場合は簡易裁判所を合意裁判所とすることがあります。 簡易裁判所が管轄権を持つ価額以下の訴訟を合意管轄裁判所に訴えても、職権で簡易裁判所へ移送することになるでしょう。 第十一条(管轄の合意) 当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。 第十六条(管轄違いの場合の取扱い) 裁判所は、訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、これを管轄裁判所に移送する。 2 地方裁判所は、訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。ただし、訴訟がその簡易裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属する場合は、この限りでない。 また、 第十九条(必要的移送) 第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者の申立て及び相手方の同意があるときは、訴訟の全部又は一部を申立てに係る地方裁判所又は簡易裁判所に移送しなければならない。 よって、仮に簡易裁判所に訴えを起こした場合、相手方が契約に基づいて地方裁判所への移送を申し立てた場合には、第十九条によって、地方裁判所へ移送することになります。同条には職権による移送が含まれていないので、申し立てが無ければ簡易裁判所で処理されるでしょう。
補足
本契約では「○○地方裁判所」が合意管轄裁判所ですね。 訴訟価額が140万円以下でも、あくまで「合意管轄裁判所」は、簡易裁判所ではなくて「地方裁判所」ですね。 >簡易裁判所が管轄権を持つ価額以下の訴訟を合意管轄裁判所に訴えても、職権で簡易裁判所へ移送することになるでしょう。 おっしゃっているのは、「140万円以下の訴訟を、合意管轄裁判所である○○地方裁判所に提訴しても、簡易裁判所に移送されるだろう」という意味ですね。 どうも、この賃貸借に関する訴訟(賃料支払請求とか敷金返還請求とかを思い描くと)は、「専属管轄」というものは関係なさそうですね。→民事訴訟法第16条第2項但し書きは関係ない。 第16条第2項本文 「地方裁判所は、訴訟がその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について自ら審理及び裁判をすることができる。」 とは、 「(複雑な事件とか重要な事件とかで)地方裁判所で扱われる可能性もありそう」 ということですね。 140万円以下でも○○地方裁判所に提訴しても(事件の中身によっては)見当違いでもなさそうですね。 (第19条に関して) >よって、仮に簡易裁判所に訴えを起こした場合、相手方が契約に基づいて地方裁判所への移送を申し立てた場合には、第十九条によって、地方裁判所へ移送することになります。 契約によって、第19条にいう『相手方の同意』は なされているのですか? >同条には職権による移送が含まれていないので、申し立てが無ければ簡易裁判所で処理されるでしょう。 つまり、「私が簡易裁判所に提訴しても、貸主は○○地方裁判所に移送させることができる」ということですか? 「第19条で地方裁判所に移送されたら、もう簡易裁判所に移送されることはない」という理解でいいですか? 以上のことから、140万円以下の訴訟の場合、以下のいずれもありそうですね。 (1)地方裁判所に提訴 → 【第16条第1項で】簡易裁判所に移送 (2)地方裁判所に提訴 → 【第16条第1項で】簡易裁判所に移送 → 【第19条で】いずれかの当事者の申し立てにより地方裁判所に移送 (3)地方裁判所に提訴 → 【第16条第2項本文で】地方裁判所で扱われる (4)簡易裁判所に提訴 → そのまま簡易裁判所で扱われる。 (5)簡易裁判所に提訴 → 【第19条で】いずれかの当事者の申し立てにより地方裁判所に移送 (3)はそういう可能性もあるというだけで、あまり可能性は高くないと思いますが、どうでしょうか。
- kasutori
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賃貸借契約書にそう書いてあるのはもっともな話ですね。裁判所には管轄がありますから。詳しく述べませんが、高裁ー地裁ー簡易裁の順番に管轄する箇所が有斐閣の六法全書の後ろに書いてあります。450カ所位ありますからね。簡易裁は。ついでに地裁の支部も書いてあります。 何でもかんでも地裁に持って来られたら困るから、一線を引いているわけですよ。家賃が幾らか判りませんが、140万円も滞納するまで待ってくれる方はあまり居ないでしょう。月12万円で1年滞納です。そんなに暢気に待っている大家さんはなかなか居ません。契約解除をして、連帯保証人に取り立てるか、少額裁判を起こした方が楽ですから。それに簡易裁に提訴した方が早いですしね。行政訴訟以外の140万(昔は90万)以下位の訴訟を一々面倒な手続きでやるよりは、簡素化された簡易裁でやった方が双方結果が早く出て楽です。それで駄目な時は二審として地裁を使うってだけです。
補足
>それで駄目な時は二審として地裁を使うってだけです。 つまり、「○○地方裁判所を管轄裁判所とする。」とは、単に都府県(※)を定めているに過ぎず、提訴すべきなのが簡易裁か地裁かはあくまで法律にのっとるということですか? ※:地方裁判所は、各都道府県庁所在地に本庁があり、北海道の場合はそれ以外にもあるそうです。契約書の「○○地方裁判所」というのは北海道ではありません。
お礼
ご回答ありがとうございます。