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マーラー、ブルックナー交響曲第9番の調性

マーラーの交響曲第9番は、第1楽章:ニ長調、第2楽章:ハ長調、第3楽章:イ短調、第4楽章:変ニ長調となっていますね。このうちハ長調⇔イ短調の関係は分かるとしても、その他の関係が全く分かりません。特に第4楽章はなぜニ長調より半音低い変ニ長調が選ばれているのでしょう?理論的な裏づけがあるのでしたら知りたいです。 また、ブルックナーの交響曲第9番は、第1・第2楽章:ニ短調、第3楽章がホ長調になっていますが、なぜこのような近親調でもない関係の薄い調性が選ばれたりするのでしょう?通例楽章間の調性は近親調から選ばれると思いますが・・・。 ちなみに当方音楽理論は全くの素人です。

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  • Ta595
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回答No.3

こんにちは。 マーラーやブルックナーがその調性を選択した本当の理由については私も分かりませんし,音楽理論も中途半端な独学ですが,素人なりに,ふたつの切り口から考えてみました。 (1)理論の追究の結果として(ブルックナーの場合) 楽章ごとの調の選択に関しては(曲中の転調も),近親調に限るという理論上の制約はないはずで,中間楽章で遠隔調が用いられることは,それほど珍しくはないと思います。 ブルックナー9番の第3楽章は,本人は第4楽章まで作るつもりだった以上,中間楽章と考えてよいと思いますから,ニ長調との関係についてはそれほど気にする必要はないのかな,とも思います。 ただ,それとは別に,ブルックナーの和声はかなり独特で,一聴して単調なようでも,とんでもない転調や奇妙な響きの和音がとてもたくさんでてきますよね。 ブルックナーの和声や対位法といった音楽理論に対する知識は驚異的だったと聞いたことがあります。私はアマチュアですがオーケストラを経験していたことがあり,ブルックナーの交響曲を演奏したことがあるのですが,その和声は本当に自在かつ緻密だと思いました。例えば,変ホ長調のフレーズをへ長調で終える程度の転調は,うっかりしていると気づかないくらいにあっけなく簡単にやってしまいます。 我々にとっては驚きの転調や調性の選択も,ブルックナーの音楽理論にかかれば,何ら不自然さのないものだったのかもしれません。 (2)表現拡大のための古典的な伝統からの逸脱(マーラーの場合) マーラーは,ワーグナーあたりに端を発する,表現のダイナミクス拡大のために古典的な理論の枠組みをどんどん拡げていこうという流れ(そもそもはベートーヴェンが発端でしょうが)を受け継ぐ作曲家で,そういう意味では,古典的・伝統的な枠組みを守ることよりも,マーラーの表現欲求の方が優先する作曲家であると思っています。 マーラーの調性の選び方に関して言えば,遠隔調を積極的に使用する事で,曲としての統一感や緻密さよりも,曲が示す世界観の広さを表す事を狙う場合が多い,という印象があります。 9番の場合の調性選択にどういう理由があったのかは,残念ながら私も存じませんが,個人的には,理論上の関係が非常に薄い事(曲の開始時点からの心理的な距離の遠さや,第3楽章と第4楽章の間の断絶を表す),あるいは,ニ長調よりも変ニ長調の方が半音低い事(音の下降は,弛緩,ため息,諦観などを象徴する事が多い)に何か理由があるのかもな,と思ったりもします(あてずっぽうですが)。そういえば,大地の歌の最終楽章「告別」の結尾の「e-wig(永遠に)」や,9番の第一主題の冒頭動機なども下降音型ですね。 また,嬰ハ短調ではじまりニ長調で終わる5番の裏返しでもあります。(ここまでくると勘繰りすぎかもしれませんが・・・) 以上,直接の回答にはなっておりませんが,よろしければご参考に。

xxx_masato_xxx
質問者

お礼

お返事遅れました。やはり理論的な根拠というよりはあくまで天才的な感性によるものなのでしょうか。9番をテ・デウムでハ長調で終わることに必ずしも満足していなかったブルックナーに比べ、マーラーはまた別の感性を持っていたのかもしれませんね。ありがとうございます。

その他の回答 (2)

noname#192232
noname#192232
回答No.2

理論的なことはわかりませんが,下記にマーラーの調性について触れてありました。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC また,上記サイトの交響曲第9番の「曲の構成」にある「死に絶えるように」という指示と関連して, 手持ちのC Dの解説には, 「第3交響曲の終わりと同様,神の愛が語る。しかし,それはもはや発芽し,開花する愛ではなく, 死に赴く自然の愛である。生命充足の愛であるニ長調は,崇厳の調である変ニ長調に下った。」(パウル・ベッカー) 「終楽章において彼はこの世に訣別を告げる。」(ブルーノ・ワルター) と書かれています。 この解説から考えると,第1楽章がニ長調で始まり,終楽章もニ長調で終わるところが, 意図的に変ニ長調が使われたのかもしれないと思ったりもします。 第9交響曲のジンクスを気にするのはマーラー自身が健康に不安を感じていたのかもしれませんね。

xxx_masato_xxx
質問者

お礼

第3楽章がイ音で終わり、続く第4楽章もイ音で始まると確かにちょっと普通っぽくなってしまいますね。第3交響曲はあくまで肯定的に終わるのでヒネリは必要ないかと思いますが、第9は死と向かい合いつつも生への執着を感じる。その葛藤から調をヒネってあるのかな、と感じたり。 第10は終結部はやはり満足に満ちているので調性は嬰ヘ長調のままなのかな、とも思いました。 これはもうマーラー本人に訊かないと分からない世界なんですかね~。

noname#18340
noname#18340
回答No.1

私の回答は個人的な考えで、専門家が読むと笑われそうで参考にはならないと思いますが、近親調の範囲で楽章を構成しないといけないというのはロマン派あたりまでの時代の常識かもしれませんが、その当時は曲のなかでの転調も近親調の範囲で、遠隔調に転調するには近親調をたどって行わないといけなかったのですが、近代から現代にかけて曲の中で遠隔調への転調をその手順を必要としなくなってなってから、楽章の調性も同じように近親調からの束縛から解放されたのでは?と思います。 余談ですがショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第4番が同じように1楽章ニ長調、2楽章へ短調、3楽章ハ短調、4楽章ニ短調というふうな構成になってて、ピアノ五重奏曲も1楽章と2楽章がト短調、3楽章がロ長調、4楽章ニ短調、5楽章ト長調というふうに。 多分作曲家が各楽章間のバランスを考えての調性の選択をしたのだと思います。 乱文ですみません。

xxx_masato_xxx
質問者

お礼

回答ありがとうございます。ショスタコの例では最終楽章が第1楽章と同じ調性の短調(あるいは長調)になっていますよね?それならまだ、という気がするのですが…。 マーラーの場合、他にも第2番『復活』がハ短調に始まって変ホ長調で終わり、第5番が嬰ハ短調で始まってニ長調で終わっています。 ブルックナー9番の第4楽章はニ長調で終わる予定だったようですが・・・。 余談ですが、ビートルズの移調形式は西洋の音楽理論を完全に破っており、それが新たな音楽の世界を切り開いたと読んだことがあります。本件に関しても同様なことが言えるのでしょうか・・・。

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