<プラズマの小型化困難>
No.2さんのおっしゃるとおり、壁・溝の加工の精度を上げるのが困難なため。
おそらく、もっと高度な技術を使えば、出来るんでしょうけど、コストが高くなりすぎるのでしょう。
高くて小さいプラズマは、たぶん売れないし、用途もないんではないでしょうか。
よく覚えてないですが、5年ぐらい前の業界の展示会で、30型をちょっと切るところぐらいまでのサイズのを見たことがあるような気はしますが。
<液晶の大型化困難>
理由を沢山思い出しましたので、全部書いておきます。
・ガラス材の製造困難
液晶につかわれるガラス厚は、1mm前後です。
薄くて平坦で、材質が均一なのをつくるのは、大型になるほど大変です。
工程途中での割れ欠けの確率も増えるでしょうし、割れ欠けが発生した場合の損害(結果としてコスト増)も大きいです。
・ガラスのたわみ
前記の通り、ガラスは薄いので、液晶製造工程中、製造装置の中でガラスがたわみます。たわみが大きいと、高精度の加工が出来ないため、製造装置では、たわみを小さくするような、ガラス受け台の工夫をしていますが、中小型液晶の時代から比べて、非常に技術的に難しくなってきています。
・製造装置の大型化
製造装置を大型化しなくてはいけないので、特に、半導体LSIと同様の工程であるTFTの工程では、装置の値段がバカ高くなります。
TFT工程における、製膜、微細加工という工程において、ガラス上を均一に処理することは、大面積になればなるほど難しくなります。
LSIの場合は、1枚のウェハから何百個もチップが取れ、微細加工の精度が規格内に入っていさえすれば、1チップ内ないしはウェハ内の均一性は、ある程度どうでもよいのです。
しかしながら、液晶の場合は、たとえ精度やTFT特性が許容規格内であっても、画面内で均一でないと、人間の目に画面ムラとして視認されてしまいます。
・液晶層の厚みの均一化困難
液晶層の厚み(業界用語で「ギャップ」)は5μm程度以下で、その厚みは、液晶を注入する前に、「スペーサ」という数μmの一定の大きさの樹脂のつぶつぶをばら撒いて、それを挟むように1対のガラスを合わせることによって決めています。
基本的には、それで液晶層の厚みは決まるのですが、ところがどっこい、意外と、出来上がりの液晶層の厚みは思ったとおりに行かないもので、面内で厚みにばらつきが出てしまいます。
このばらつきを一定以下にしないと、やはり、画面ムラになってしまうので、大型になればなるほど難しくなってくるわけです。
・製造装置の買い替え困難
大型パネルを製作するためには、工程の大部分の製造装置を買い換えなければいけません。
また、工程のフロア面積が不十分であれば、新しい建屋を作って、そこに新たにクリーンルームも作らなくてはいけなくなります。
LSIの場合は、大型装置を使うことによって、生産効率が上がり、コストが下がるので、比較的容易に元は取れると思いますが、液晶の場合は「大型化」だけであって、コストには寄与しません。その上、大型化して投資した分に比例して、高い値段で沢山売れるわけでもないので、投資が難しいのです。
ただし、1枚の大型ガラスに複数枚の中型パネル(10~18型ぐらい)を作りこんで、後で切断して小分けにする場合は、コストが下がるかもしれませんが。
・ドット不良の増加
画面サイズに必ずしも比例しないかもしれませんが、大画面になるにつれて、ドット不良の個数は増えると思われます。
画素数が多くなれば増えるのは当たり前でしょうが、逆に画素数固定で大画面になった場合は、むしろ、ドットの不良が目で見て大きく目立つので、ドット不良に対する検査規格(個数上限)は、厳しくせざるを得なくなってくると思われます。