No.4,7のJagar39です。まだ締め切られていないようなので追加補足を。
各テントの特徴を知っている限り、また私自身の「好み」を交えて書きます。
・エアライズ1(アライ)
モンベルやエスパースと異なる特徴として、出入り口がテントの短辺側に付いている、というのがあります。
つまり、就寝時は出入り口が頭または足元にある、という形です。
短辺、長辺、どちらでも良い、といえばそれまでです。いずれにしろ夏山では決定的な差は出ないので。
それでも「差」はあるので、短辺側に出入り口が付いている、ということは、テントの壁の傾斜が緩い面に出入り口が付いていることになるので、雨の日の出入りには多少気を遣います。
短辺側出入り口のメリットは、アライに言わせると風下に出入り口を向けて設営すると、風に対する投影面積を小さくできる、というのがあるのですが、逆にその時の地面の傾斜によっては「足元に出入り口」というケースも生じてしまいますね。これはちと不便です。
短辺側出入り口は、冬山で岩稜や壁の中のようなネコの額ほどしかないスペースに設営するときに真価を発揮する形式で、夏山では正直デメリットの方が大きいと私は思います。
それとエアライズシリーズの欠点として、出入り口に対して直角の面に吹き流しのベンチレーターが付けられているので、風通しが極端に悪い、というのがあります。悪い、というより皆無に近いです。
まあ風通しの悪さはドーム型テント一般の弱点ではあるのですが、その中でもエアライズはダントツに悪いです。
学生時代にエアライズは使用していましたが、部内では冬山専用という扱いでした。夏山に持っていくのはみんな嫌がってましたね。
アライならトレックライズの方が一般的には使いやすいと思います。
・ステラリッジ1型(モンベル)
私が所有しているテントです。
このテントの美点は、フライシートの取り付けにゴムを使っていることです。
どういうことかというと、フライシートは夜になったり雨が降ったりという気温や湿度の変化で伸び縮みします。すると、設営時には適切なテンションでフライを張っても、翌朝までにたいてい緩んでフライの内側がインナーテントに接触することになります。
モンベルのテントはフライをゴムループで取り付けるので、フライ生地のテンションの変化をゴムが吸収するので、設営時のテンションを撤収時まで保つことができます。
そうなると、豪雨の時の浸水の有無と程度にそれなりの差が出るのはもちろんなのですが(豪雨の際はインナーとフライの接触部位から継続的に浸水することが多々あります)、特に問題がない晴天時の幕営でも、他のテントは朝方はインナーテントが多少濡れていて(フライの内側が結露でびっしょり濡れるのは全てのテントで同条件ですが)、快適性が多少違います。
また、晴天であっても朝方はインナーテントを短時間干して乾かしているパーティーはテント場で多く見かけるのですが、私はインナーテントを干す必要性を感じたことはありません。かなりの豪雨下の設営でも、これまでインナーテントが濡れたことはほとんどありません。
ステラリッジの欠点は、他のテントと比較すると少しだけですが重いことでしょうか。
それとポールスリーブの片方が袋状になるなどの細工はされていないので、設営の手間的にも少しだけ不利とされています。
まあ私はそれも気にしていません。スリーブの片方が袋状になっていると、確かに反対側から押し込んだポールを"留めに行く"手間は省けるのですが、その替わり「ポールを押し込む側」が固定されてしまうので。
豪雨や強風下で設営するときは、テントを広げて四隅を掴めば、そこからさくっとポールをつっこめる方が良いです。袋側の隅を掴んでしまうと、差し込める側を探さないといけませんから・・・
というわけで私はステラリッジを気に入っています。
・VL14(プロモンテ)
このテントは軽量なのは良いのですが、ダンロップ&プロモンテ全般に言えることですが、サイズが少し小さいです。
VL14は幅が90cm、長さが205cmです。他は100×210cmというのが標準的なサイズですが。
まあそのあたりはVシリーズほどではないにしろ、「山岳部仕様」ですね。
このVLシリーズの特徴はスリーブ式ではなく吊り下げ式という点です。1人用と2人用は、少なくとも以前のモデルはスリーブ式だったのですが、現行モデルでは吊り下げ式になったのかな?現行モデルの現物は未見なのでこのあたりは判りませんが、1~2人用では吊り下げ式のメリットは薄いと思うのですが・・・
それと、フライシートの張り綱を取るポイントが少なかったりと、ちょっと大らかな造りです。
なので、豪雨の際の耐候性は他のテントと比較すると若干落ちると思います。
ですが、それを補って余りある美点が。
それは出入り口の構造なのですが、他のテントがU字状の1本ファスナーで開閉するのに対し、ダンロップ&プロモンテは直線の2本ファスナーで開閉します。
ファスナー2つで開閉は面倒、と思いがちですが、実際に使うとこちらが圧倒的に使いやすいです。
まずファスナーの位置が閉めているときは必ず同じ位置に来ます。他のはU字状のダブルファスナーなので、「どの位置でも閉めることができる」のですが、これだと却って開けるときに「ファスナーを探す」ことになります。
VLのファスナー位置は占めているときは必ず同じ位置に来るので、鼻をつままれても判らないほどの暗闇の中でもまったく迷わずに開閉操作ができます。
あと、ファスナーが直線なので負担が軽く、操作が軽いのと壊れにくいのが良いです。私のステラリッジでもファスナーが噛み込んで動かなくなったトラブルが数回ありますから。
もうひとつ、テントの出入り口には防虫ネットが付いているのが一般的なのですが、VLのネットは出入り口パネルの外側にあるので、「全閉状態からネットを閉めたまま出入り口パネルだけを開ける」ことができます。
他のはネットが内側なので、一度両方を開けてからネットだけを閉める、という操作が必要です。
ネットが外側にあるのはアライのトレックライズもそうですね。
なので、今私がステラリッジ以外のテントを購入するとすれば、VL14にします。
・エスパースソロ(ヘリテイジ)
これも少し重い(ステラリッジと同等)ですが、ドーム型テントとしては風通しが良い構造です。ベンチレーターの設定がかなり絶妙なので。
それとこのテントは色がグリーンなのですが、グリーンのテントって中にいて落ち着きます。VLで気に入らないのはフライが赤で、これは中にいるとけっこう疲れるんですよ。エアライズも赤だっけ。グリーンも指定できますけどね。
ステラリッジの黄色は中が明るいのは良いのですが、グリーンのテントの方が私は好きですね。
それと、エスパース全体に言えますが、フライの設定が良くて雨には強いです。面倒がらずにきちんと張らないと良さが活きない構造ではあるのですが。
ここに挙げたテントは、いわゆるシンプルなクロスポールのドーム型テントです。
ハバハバなどの変形テントと比較して有利なのは、形状が単純な四角形でポールの長さも同じなので、設営は簡単です。
暴風雨の中ヘロヘロに疲れ果てて辿り着いたテント場で設営、なんて時には、この差は絶大なものになりますよ。
変形テントの中にはポールの長さが異なっていたりするものも多々ありますが、そうなるとスリーブに入れることができるポールが決まっているわけですから、「とにかくどこかの隅を掴めばそこから2本あるどちらのポールを差し込んでもok」というクロスポール型とは設営の容易さが大きく違ってしまいます。
また、変形テントは設計の意図どおりの風向きであれば強靱な耐風性を持つものの、違う方向からの風には耐風性が激減するものもあります。
特に日本のメジャーな山ではテント場が決められていて、そのテント場も混んでいたりすると思い通りの設営ができないことが多々ありますから、シンプルなドーム型が安定して使いやすいのは確かです。
お礼
非常にわかりやすい解説ありがとうございました。 やはりMSRから入るより国産テントから入ったほうがよさそうですね。 気になるアライテントを候補に考えてみようと思います。 ありがとうございました。