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HR-Z1の音質
- HR-Z1はビクター製最高音質のS-VHSデッキであり、デジタルオーディオ再生時の音質が優れています。
- しかし、デジタルオーディオ以外の音声(ノーマルトラック1、Hi-Fi音声)に関しては、他のデッキと比べてどうなのかはわかりません。
- HR-W5と比べると、HR-Z1の音質が優れていると言われていますが、W-VHS HDモードはいいと思われます。
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誰も答えていらしゃらないので・・・(汗) 映像再生装置にのめり込んでいるわけではないのですが、ちょうど御質問者さんが仰る機器群が市場に投入された頃に最先端の放送局用映像記録再生機器を開発する海外の Maker で開発に携わっていたもので、Consumer (Mania) 向け機器の発想とはちょっと異なるかもしれませんが、御答えします。 先ず「音質」と「性能」という言葉の違いを明確にしてください。 Audio では「高性能」=「高音質」と簡単に「=」で結べるものではありません。 例えば 100 万円近くもする真空管式 Amplifier の性能は 10 万円もしない IC (Integrated Circuit) Amplifier にさえも遠く及ばないものであったりもするのですが、音質に関しては「遙かに素晴らしい」と評する人が多いからこそ商品として成立しています。 >デジタルオーディオ再生時の音質が、ほかのデッキのノーマルトラック1(モノラル音声)、ノーマルトラック2(ステレオ音声)、Hi-Fi音声よいということだと思いますが・・・ その通りです・・・ただし、音質ではなく性能がですが・・・。 Video Tape Recorder の Normal Audio Track は (Monaural、Stereophonic 共に) Linear Audio Track とも呼ばれ、原理的に Cassette Recorder と同等以下の性能となっています。 Cassette Tape Recorder は 3.18mm 幅 (1/8 inch) の Tape に設けた 0.62mm/ch 幅の Track を 4.76cm/s (1-7/8 ips) で走行させていますが Video Tape Recorder では Track 幅がこれよりも狭く、Tape 走行速度も 2 倍 Mode では半分、3 倍 Mode では 1/3 になってしまうことから充分な周波数特性や Dynamic Range を得られず、Noise が多いことから Dolby Noise Reduction を使用するのが必須である上に Tape 走行 Motor の回転ムラが直接 Wow & Flatter として音質を乱しますので、どれほど高額の Video Tape Recorder であろうとも Cassette Tape Recorder 以上の性能を得ることはできません。 Hi-Fi 音声と呼ばれるものは音声信号を FM (Frequency Modulation) に変調して記録再生するもので、原理的に Radio の FM 放送と同等以下の性能になります。 Hi-Fi 音声 Mode では Motor の回転ムラによる影響を受けなくなるので Wow & Flatter がなく、周波数特性や S/N (Signal to Noise) 比及び THD (Total Harmonics Distortion) といった性能も Radio の FM 放送と同等のものが得られるのですが、回転 Head が約 1/60 sec ごとに記録 Head を切替ながら録音しているため、この周波数 (約 60Hz) だけは Noise が突出しており、信号 Track も Monaural (Stereo ではない) しか取れない欠点があります・・・ただし 60Hz の Noise など人間の耳には判りませんので問題はありません。また映像信号は 1/60 sec おきにコマを入れ替える不連続信号ですので、連続信号である Audio 信号のような問題は起きません。 記憶が定かではないのですが Linear Audio Track では Fr (Frequency Response) 50Hz~9kHz S/N 50dB THD 1% といった AM Stereo Radio 放送並の性能が理論限界値、Hi-Fi Track では Fr 20Hz~16kHz S/N 80dB THD 0.1% といった FM Monaural Radio 放送並の性能が理論限界値だったと記憶します。 一方 Digital PCM (Pulse Code Modulation) 録音では 44.1kHz 16bit Sampling の場合ならば Fr 1Hz~22.05kHz S/N 96dB 以上 THD 0.003% といった Music CD (Compact Disk) と同等の理論限界値となります。・・・ただし Digital 方式では THD が録音 Level に反比例しますので低録音 Level ほど上昇してきます。(Analog 方式ではある一定限界まで THD と録音 Level が正比例しますので低 Level ほど歪みが小さくなります・・・このことからも Digital と Analog の音質感は根本的に異なっています) さて、性能ではなく、音質ですが・・・一般的に Video Tape Recorder では製品が開発 (或いは市場に投入) された当時、どの回路が最も成熟していて最も入念に設計されたかで善し悪しの評価が分かれます。 その結果、Digital 音声の音質に関してならば VICTOR HR-Z1 の音が最高と評価する向きが多いのですが、Hi-Fi 音声の音質に関しては同じ VICTOR でも HR20000 やその少し前の HR-S9800 から少し後の HR-W1 に至る製品群の方が上という評価も多く見受けます。 当時は既に Hi-Fi Mode の回路技術が成熟していて FM 方式で如何に美しい音を出せるかといった部分での Know-How が充分に蓄積されていましたから定価 40 万円などという値段で販売する S-VHS 機の Hi-Fi 回路は念入りに設計されていた筈です。・・・ただし、この辺りは音質ではなく性能が違うとも言えると思います。 一方 Digital 音声記録が当たり前の時代になると Hi-Fi 音声 Mode での再生は Digital 音声 Mode の再生回路に異常が発生した際の緊急再生回路ぐらいの用途しかありませんので、Cost Down を図るとすればその辺から手を抜いていく筈です。 ただし、手を抜くと言うのは音質を劣化させるという意味ではなく、Cost 低減を目的として性能を落とすものですので、その結果が音質にどう影響を及ぼすのかは聴く人によって異なります。 性能ではなく音質に懸念を生じていらっしゃるのであれば、回答は「気にすることはない」とさえも言えます。 例えば HR-W5 で収録した Tape を HR-Z1 で再生する場合と HR-Z1 で収録した Tape を HR-W5 で再生した場合とでの音質の違いは何処にあるのか・・・5.1ch Amplifier や Speaker System を別のものに換えた際に生じる音質の違いは HR-W5 と HR-Z1 との音質の違いを大きく上回るものになる筈ですが、それでも HR-W5 と HR-Z1 との音質の違いを悩みたいのか・・・いずれも「性能」と「音質」の違いを認識していないがための誤解から生じる悩みです。 性能は個々の製品による違いを User が補正できないものですのであまりにも性能差があり過ぎる機器間での音質の違いは問題となるかもしれませんが、実際のところ、音質は一定の性能さえ得られていれば User がその製品をどのようにして使うかで大きく変化するものですので 30 万円と 40 万円の製品間での音質の差などない・・・善し悪しではなく御質問者さんが好むか否かの違いしかないでしょう。 Amplifier や Speaker System を変える、Speaker System の位置を変えたり部屋の内装を変えるといったことの方が遙かに大きく音質を変えますので、その違いから較べれば HR-Z1 と HR-W5 の Hi-Fi 音声 Mode での音質の違いは微々たるものでしかないでしょう。