昨年までは3リッターでV10、今年からは2.4リッターでV8ですので、どちらも1気筒当たり300ccになります。したがって、基本的にパーツの小型化・軽量化というよりも、エンジン本体が2気筒分少なくなった為の軽量化とコンパクト化だと思います。
この事により、左右各1本分のエキゾーストマニホールドが削減され、熱量減少によりラジエターが縮小された。
また、これらの変更によって、エアロダイナミクスの効率が向上した為だと思います。
特にエンジン本体がコンパクト化する事は、搭載位置を車体の中心に、より近づける事が出来る為、慣性モーメントが小さくなりマシンの動きが俊敏になる。したがってコーナリング性能が上がり、速くコーナリングが出来るという事になります。
>・・・V12になっていたらタイムはもっと縮まるのでしょうか???
の質問ですが、
17年前(1989年から)になりますが、F1レギュレーションの変更によりターボエンジンが禁止され3.5リッターのNAで12気筒までに限定された時がありました。
この時期、1989年~1991年の鈴鹿での予選結果(ポールポジションのタイム)を見てみると
1989年・・・1分38秒041(ホンダV10)/アイルトン・セナ(マクラーレン)
1990年・・・1分36秒966(ホンダV10)/アイルトン・セナ(マクラーレン)
1991年・・・1分34秒700(ホンダV12)/ゲルハルト・ベルガー(マクラーレン)
となっています。
そして、V8エンジン搭載で1番良いタイムですが
1989年・・・1分41秒103(フォードV8)/アレッサンドロ・ナニーニ(ベネトン)
1990年・・・1分40秒049(フォードV8)/ネルソン・ピケ(ベネトン)
1991年・・・1分38秒360(フォードV8)/ミハエル・シューマッハ(ベネトン)
という事で、V10・V12エンジンに比べて、V8エンジン搭載のマシンは常に3秒以上遅いタイムになっています。
この事から、今回のレギュレーションがV12エンジンになっていたら、タイムは縮まると考えられます。
理論上だけで考えれば、気筒数の多いエンジンが、最も高出力を発生しやすいことになります。
排気量が同じで多気筒化すれば、ひとつのシリンダー当たりの排気量は少なくてすむ事になります。
また、各部品を小さくする事ができます。(ピストン・バルブ等の可動部品)
したがって、慣性重量が小さくできるので、慣性モーメントも小さくなり、高回転・高出力を追求しやすくなります。
という事で、ボア・ストロークを小さくする事ができ、ストロークについては、高回転化につながり、ボアについては、燃焼時間・燃え広がる時間が速くなり、完全燃焼がしやすくなって、狙った性能を発揮できる事になります。
しかし、デメリットも発生します。
エンジン全長が長くなりシャシー設計に影響します。重量も増えます。そして、クランクシャフトが長くなるので、ねじれ剛性の問題が出てきます。しかし、上記のタイムを比べる限りではV8エンジンよりもV12エンジンの方が、はるかに高出力を発揮する事が出来るという事になります。
私の予測ですが、もしも気筒数に制限がなかったとすれば、トップチームのエンジンはV12になっていると思います。
お礼
タイムの例を挙げていただき、分かりやすかったです☆ そのなかで、今より排気量が多いV8エンジンでも15年前は今より10秒ちかく遅いタイムには驚きです★ それくらい、技術の進歩があるのだと思いました。