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gewinnen の接続Ⅱについて。

先ほど gewinnen という動詞に出会いその活用を確認していたのですが、 gewinnen - gewann - gewonnen ここから接続Ⅱの形は gewänne だと思ったら私が持っている1999年出版の独和辞書には gewönne と載っていました。 接続Ⅱが不規則に変化する動詞があるのか、と思いネットで活用を調べると gewinnen の接続Ⅱは gewänne と出ていました。 最近になって何か改正でもあったのでしょうか。 それとも gewönne, gewänne どちらでも良いということなのでしょうか。 ドイツ語を始めてまだ日が浅いのですが他にもこのように接続Ⅱの形が不規則な動詞は他にもあるのでしょうか。 どなたかドイツ語に詳しい方がいらっしゃいましたら教えていただけないでしょうか。

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  • ベストアンサー
  • mousike
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回答No.1

改正ではなく歴史的変遷です。接続法第II式の語形は、文法書には説明がないと思いますが、動詞の過去形から派生するとはいっても、中高ドイツ語の時代(1050~1350年ごろ)に決まっていたことで、現代ドイツ語とは異なる文法が元になっています。例えば helfen という動詞の場合、現代ドイツ語における過去形は half、単数でも複数でも同じで、ich half、sie halfen ですが、中高ドイツ語の時代は複数形が異なり、halfen ではなく hulfen でした。接続法第II式は「過去形複数から派生する」規則だったので、helfen の本来の接続法第II式は hülfe です。同様に、gelten という動詞の現在の過去形は galt ですが、本来の接続法第II式は gälte ではなく gölte です。stehen や sterben も同様で、現在の過去形は stand、starb ですが、本来の接続法第II式は stünde と stürbe です。werden の接続法は würden ですが、これも中高ドイツ語の過去形複数に由来するもので、当時の過去形単数は wurde ではなく ward でした。 接続法第II式は、現代では、wäre や käme のように短くて使用頻度が高いものは別として、gewinnen würden のように「würden+動詞の原形」を使うのが普通です。上に書いたように、単独で使う接続法第II式の本来の形は中高ドイツ語の過去形複数から派生したものですが、現代のネイティブスピーカーも中高ドイツ語の活用はほとんど知らないので、正しい接続法第II式がすぐにはわからない人も多いのです。 20世紀までの辞書や文法書では、本来の接続法第II式が載っているのが普通です。例えば、私の手元にあるドイツの hueber という出版社から出ていた「Das deutsche Verb」(1980年、絶版)という動詞の活用表のみをまとめた書物で gewinnen を引いてみると、gewinnen は schwimmen と同じ活用となっています。そこには schwömme という形が出ているので、gewinnen の接続法第II式の正しい形は gewönne ということになります。解説には「まれに schwämme という形が見られる」と書いてあります。それで、過去の書物での使用頻度が調べられる Google Books Ngram Viewer で調べてみると、schwämme も schwömme も使用頻度は非常に少ないですが、上記書物の解説とは違い、schwämme の方が若干多く使われているようでした。18世紀後半当たりの使用頻度はかなり交錯していますが、全体的には schwämme/schwämmen の形が多いように見えます。 https://books.google.com/ngrams/graph?content=schw%C3%A4mmen%2Cschw%C3%B6mmen%2Cschw%C3%A4mme%2Cschw%C3%B6mme&year_start=1700&year_end=2019&corpus=de-2019&smoothing=3 ところが、gewinnen に関して gewönne/gewönnen/gewänne/gewännen の4つの形を Ngram で見てみると、19世紀半ばまでは gewänne/gewännen よりも gewönne/gewönnen の形の方が多く、その後使用頻度が逆転していっているように見えます。古い時代は gewönne の方が標準だったと考えられます。 https://books.google.com/ngrams/graph?content=gew%C3%A4nnen%2Cgew%C3%B6nnen%2Cgew%C3%A4nne%2Cgew%C3%B6nne&year_start=1700&year_end=2019&corpus=de-2019&smoothing=3 ドイツの文法書を調べてみると、gewönne と gewänne は古くから併記されていて、どちらが正しいとか、どちらの方が多く使われるとかは書いてありません。1814年の古いドイツの文法書には、gewinnen の活用は beginnen の活用に準ずるが、接続法第II式だけは特別で、gewänne と gewönne の二つがある、と書かれていました。 https://www.google.co.jp/books/edition/Anfangsgr%C3%BCnde_der_deutschen_Sprachlehre/ydZBV1u51d8C?hl=ja&gbpv=1&dq=%22gew%C3%A4nne+und+gew%C3%B6nne%22&pg=PA188&printsec=frontcover この説明だと beginnen の接続法第II式は begänne の形のみで、gewinnnenには例外的に二つの形がある、とも受け取れますが、実際にはそうではなく、begönne という形も存在しました。どうやら、各動詞によってもばらつきがあったようです。 現在、ネット上の簡易な変化表には、gewönne を掲載せずに gewänne だけになっているものも見受けられますが、通常は両方の形を併記しています。 https://www.duden.de/konjugation/gewinnen https://www.verbformen.de/konjugation/gewinnen.htm 現代ドイツ語で過去形の語幹が -a- になる動詞の場合は、接続法第II式が -ä- に統一される傾向にあるようですが、最初に書いたように、現在は würden+動詞の原形が圧倒的に多いので、いずれにしても目にする機会は非常に少ないと思います。ドイツ語の書物を読む場合は古い形に出会うことも多いので、2種類あるということは知っておいてもよいと思います。

Skyhigh72
質問者

お礼

歴史の流れを詳しく書いてくださり誠にありがとうございます。 今はまだ基本の文法をおさえ語彙を増やすことが中心でドイツ語の成り立ちにまで意識が行きませんが、語源など興味はあるので後々色々調べてみようと思います。 詳しい回答ありがとうございました。

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