かつてメーカーは他社が5,000円程度で販売している商品にに、1万円の定価を付けたりしていました(ちょっと極端なのですが分かりやすくするため、このように話を進めます)。そして販売店では6,000円で売ったとします。消費者はどう思うか?他社製品は5,000円、この会社の製品は定価1万円がこの店では6,000円、「これは買い得だ」と思うでしょう。でも実際は他社製品5,000円程度のものを6,000円で買わされるのです。
こうした商売に消費者運動がかみついたのです。「どこでも、いつでも値引き販売しているなら、それで商売になっているなら、つまり儲かっているなら、その定価とは何か?意味がないではないか?単なるおとりではないか?」このような批判が出たのです。消費者運動の竹内直一氏も先頭になって運動しました(再販制度については1971年頃から本格的に取り組んでいます)。こうした消費者運動が腰の重い役所を動かして、オープン価格が生まれたのです。「定価」という言葉は絶対に守るべき価格のように思われるので、「メーカー希望価格」という言葉も使われるようになりました。
メーカーは、本当は「定価」があって、それが守られるのが利益拡大に結びつくのです。たとえ消費者の利益を無視ししてもです。化粧品などで値引き販売するとメーカーがその販売店に商品を卸さない、などの処置をとって独占禁止法により摘発される例もありました。一方消費者利益は、メーカー、販売店が争って安売りしてくれるのが利益なのです。こうして家電製品などは消費者の力(竹内氏などの運動のお陰)が強いためオープン価格が一般化しました。メーカー、販売店の力が強いと安売りできず、定価が守られます。本、雑誌など出版業界の発言力は強く値引き販売は違法になります。
「オープン価格」とはメーカーの価格維持政策に対する消費者側の、価格を流動化(値引き販売出来るシステム)を促進するために制度です。消費者が、消費者運動をして、役所を動かして勝ち取った、消費者の利益を守る制度なのです。
お礼
ご回答いただきましてありがとうございます。 オープン価格の成立過程につきまして 私に誤解がありましたことを認めさせていただきます。 しかし成立過程がどうあれ、最重要なことは、その本来の意義である >消費者が役所を動かして勝ち取った、消費者の利益を守る制度 が現実に正しく機能しているか否か、ではないでしょうか。 私はこの点に関して否定的なのです。(疑問の発端はこのことですから) 以下、家電製品(主にAV製品)を念頭に書きます。製品の範疇(例えば化粧品)が変われば事情は違ってくるかもしれませんが、なにせ他の流通事情に無知なもので、ご容赦ねがいます。 消費者が商品を検討する上で重要な要因である価格(少なくとも私はそう考えます)を、新製品の発表時ですら表示しなくて済むという、現実に日常茶飯事化していることが、消費者の利益を守る制度に合致しているとお考えですか? むしろメーカー側のモクロミを利する結果を生んで、本来の目的とは異なる方向に利用されていませんか? もし多くの方が、「それでも消費者の利益を守るという本来の意義は、オープン価格制度により十分発揮されている」と言われるのであれば、私は自分の認識不足と一人善がりを認めることにやぶさかではありません。 ちなみに私の周辺の7名に質問したところ、「判らない」と答えた2名を除く他の者の一致した答えは「消費者には何のメリットも無し」でした。此れは異端の意見でしょうか? ボキャ貧ゆえの読み辛い饒舌文となりましたことを、お詫びします。