まず、地上波テレビの番組と云うのは、「スポンサーが自社広告を見せたいターゲット世代を狙って提供している無料サービス」なのであり、基本的に、広告に釣られて衝動買いをする可能性が高いとされる若い女性層から中年女性辺りまでしか相手にしていないと云う話を聞きます。
さらに、映画をテレビで放映しようとすると、放映料と云うものを権利所有者にその都度払わなければいけません。
放映料と云うのは、その映画の興行収入に比例するらしく、大ヒットしたハリウッド映画や邦画は高く、劇場でヒットしなかったような作品は安いのだそうです。
良く、番組改編期などに、大ヒットしたハリウッドの超大作などをテレビ放映していますが、あのクラスの作品ともになると、屑作品数本との抱き合わせを条件に軽く数億円くらいは払っているはずで、一般的な邦画レベルでも5000万円くらいは払うらしい。
地上波で放映される洋画は屑作品のような作品が多いと感じるのは、そうした放映権獲得時、大作と抱き合わせで無理矢理買わされたものを、仕方なく流してしているから。
いくら視聴率が取れるからとはいえ、こうしたハリウッドのふっかけ商売に嫌気がさした日本のテレビ局は、洋画大作一本+屑作品に数億円も払うのだったら、自社で邦画を作った方が安いじゃないかと云うことに気づき、洋画放映枠自体を縮小し、自ら出資した邦画の放映権を手にする事により、自社番組として何度でも無料で放映することが可能になったのです。(日テレのジブリアニメなどがその典型ですし、松竹の「釣りバカ」シリーズなどは、興行でヒットしている訳ではないので、相当安い放映料でテレビ局に売られているものと想像しています)
こうした状況下で「古い邦画」の放映を考えた場合、「スポンサーが期待するターゲット(若い女性や中年女性)向きではない」「放映権料もそんなに安くはない」「70年代以降の邦画となると、複数のスポンサーなどが複雑に絡んでいるものが多くなり、時が経つにつれ権利所有者自体があいまいになっているケースが多く、そうした権利問題を処理する手間がかかる」「フィルムの管理が悪く、すでに退色や傷だらけと云う作品も少なくない」など不利な面が多く、それだったら、今の若手俳優で二時間ドラマを作って放映した方が安上がりで視聴率も取れると云うことになります。(かつての「洋画劇場」枠などで、新作ドラマを流すようになったのはそのため)
又、権利を持っている映画会社や個人にしても、テレビで無料で全国放映されるよりも、人気作品やカルト作などだったら、マニア目当てに限定DVDなどを作り、高く売った方が儲かると云う考えにもなるでしょう。
つまり、「古い邦画の放映」は、テレビ局側にとっても権利所有者側にとっても、ほとんどメリットがないのでやらないのです。
お礼
色々裏話を有り難うございました。 >広告に釣られて衝動買いをする可能性が高いとされる若い女性層から中年女性辺りまでしか相手にしていないと云う話を聞きます。 ターゲットは女性と言う事ですか。 でも今昭和30年代ブームです。あの映画を観た人はナマの昭和30年代に触れたいと思わないのでしょう か? それが読めないと言うのはスポンサーの分析能力に多少難ありと言う所でしょうか? 最近のテレビ名画座でアメリカ映画には辟易とします。テレビ局はそれに気付いて自局で映画を作り始めた と言うご指摘は当たっているなと思いました。 しかし邦画もテレビ上映が局側にとっても権利所有者にとってもメリットがないと言うのは寂しい現実です。 大変参考になりました。