いわゆる「盲腸」という疾患は性格には虫垂炎といいます。
(盲腸炎という疾患もありますが、まれな疾患です)
お子さんも恐らく虫垂炎だと推察しますので虫垂炎としてご解答致します。
まず虫垂炎はありふれた疾患でありながら早期診断が大変難しく、
臨床医を大変悩ます疾患であることを知って頂きたく存じます。
酷くなれば誰でも診断がつくのですが、初期に診断する事は大変難しいのです。
これば火事と同じで燃え広がれば誰でも通報できますが、
ぼやのうちでは発見は難しいのと似ています。
虫垂炎の早期診断方法についての多数の論文がでていますが、
決定的な早期診断方法はなかなか確立していないのが現状です。
典型例では
1)みぞおち当たりの不快感
2)吐き気
3)右下腹部痛
4)発熱
5)白血球増多
の順番で症状が出るとされており、この順番が異なる時は
積極的に虫垂炎を疑わないのが臨床医の常識です。
しかし、世の中にはかならず例外があり悩みのタネになります。
また、虫垂は解剖学的にも個人差の大きい臓器であり、
1~2cmしかないヒトもいれば、10cm以上もあるヒトもいます。
つまり宙ぶらりんの虫垂はおなかの右下に位置していますが、
その先端はおなかのどこにあるかは個人差のある話なのです。
よってお子さんは初期症状としての臍周囲の不快感を訴えられたか、
炎症を起こしている虫垂の先端が臍付近に付着していた可能性が考えられます。
よって虫垂炎の診断は大変難しいことがご理解頂けましたでしょうか?
医学は単純ではなく大変複雑です。
1つの疾患ですらこのような悩みが沢山あります。
医師の苦悩もご理解頂ければと存じます。
お礼
丁寧なお答えをありがとうございました。 子どもの場合も、かかりつけの小児科の先生が虫垂炎を疑ってお腹の触診や、ジャンプしてみてともいわれましたし、血液検査の結果などから様々な事を考えて診断されているのだという事がひしひしと伝わりました。 結果だけをみれば診断が遅かったといえるかもしれませんが、その時に真剣に向き合ってくださっていたので、私はそうは思いません。 >虫垂の位置 それほどに個人差が大きいとは、知りませんでした! 宙ぶらりんである事を考えれば、右下が痛いと言わない事もあるのだとわかります。 子どもの病気で、虫垂炎に種類があることや待機手術の事など、今まで知らなかった事をたくさん学びました。 手術まで1カ月ありますので、子どもの様子に注意して過ごしたいと思います。