まずABO遺伝子は糖転移酵素の遺伝子情報になっています。この酵素は、細胞内小器官の1つであるゴルジ体で複合糖質(タンパク質や脂質と糖の複合体)の糖鎖の部分が完成される時、合成されつつある糖鎖(糖受容体)に最後の糖(糖供与体)を結合(グリコシド結合)されています。
A型ではNアセチルガラクトサミンが、B型ではガラクトースが最後の糖として結合します。
また、この遺伝子は塩基配列上、7つのエクソンに分断されており、A、Bのおもな違いはエクソン7の配列にある。一方、O型の人は最後の糖がついていない。これは、エクソン6の塩基配列に1塩基の欠失があり、それ以降の遺伝情報が正しく読みとられず、寸足らずの酵素が作られ、機能していないからです。
つまり、A、B型はO型の構造にそれぞれ異なる糖が結合して完成しています。ABO遺伝子の塩基配列の違いからいくつかの仮説が考えられ、それらを検証するには3人のABO遺伝子の配列を調べる必要があるのです。
ある事例では、塩基配列を調べてみたら、母はB遺伝子とO遺伝子のヘテロ接合体、父はO遺伝子のホモ接合体で、血液型の検査結果と矛盾はない。ところが、子のクローンを調べると、父と同じO遺伝子の配列をもったクローンと、第6エクソンはB遺伝子の、第7エクソンはO遺伝子の配列をもったクローンの2種類があった。後者のクローンについて遺伝子全体にわたって配列を調べると、エクソン6と7の問でBからOに変わっていることがわかった、O遺伝子はA遺伝子のエクソン6に1カ所の欠陥が生じた形であり、欠陥部分がB遺伝子の正常部分におき換わるとA遺伝子として機能すると考えられる。
実際に子供はA型を発現しており、遺伝子の解析結果と矛盾はない。このような雑種遺伝子は、母親の卵子形成時の減数分裂のさいに遺伝的組み換えによって生じたものと推定されました。なぜなら、血液以外に採取した爪、毛髪も血液同様にA型であるので、生後血液系の幹細胞だけで組み換えが生じたとは考えられないのです。
このような雑種遺伝子は、日本人集団では1-2%の頻度で存在しているそうです。参考になりましたでしょうか
補足
僕もしくみを知りたいので、新しく質問することにしますね。