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ロマン・ロランの二次大戦時の反戦

ghostbusterの回答

回答No.2

ご質問を拝見して、わたしの理解していたところとは異なっていたので、ちょっと調べてみました。 > 仏独両国に対して「戦闘中止」を訴えて、戦争というもの全てに反対しました。 おそらくこれはのちに『戦いを超えて』というタイトルで出版される、いくつかのメッセージや公開状などを含めた本のことですね。ロマン・ロラン全集18巻に所収されていますので、それが出された経緯などがわかると思います。ドイツ-フランスの開戦に湧くドイツやフランスの知識人に対する批判と、その戦争に対する批判はありますし、もちろん戦争そのものも強く批判しているのですが、「戦争というもの全て」を否定したわけではありません。 > 一次大戦の時にロランと双方の戦争に反対することで一致したアインシュタインが、「最早、兵役拒否は許されない」と発言したのに対して、痛烈に批判した、という記事を見ましたが、それ以外は良く解りません。 これが何のことをおっしゃっているのか、ちょっとわかりません。もし典拠がありましたら、ご提示下さい。本で見る限り、逆ではないかと思えるのですが。 前掲書にも所収されている『革命によって平和を』という論文集の三つめに「良心的反対と革命」というものがあります。それにアインシュタインに対する反対が述べられています。 アインシュタインは「地球上の住民の2%が、平和時に戦争拒否を宣言すれば、国際間の紛争は解決できる」と考えました。 > 「最早、兵役拒否は許されない」と発言した のではなく、兵役拒否をすることこそが、戦争を不可能にする具体的な方法であると提案したのです。それに対するロランの回答は以下のものです。 「戦争を速やかに廃止する具体的な方法としては、戦争を生み出す機関たる社会および政府の現在の組織を廃止する以外にはない。現実的には革命家たちは正しい。社会革命が必要なのである。そしてこの革命は国際的でなければならず、さもなければあってはならない」(p.597 『ロマン・ロラン全集18』みすず書房) 当時の彼は、ガンジーの非暴力主義から徐々に距離をおくようになり、「不服従」「非暴力主義」は否定されるべきものではないけれども、現実にはそぐわない、諸悪の根元である資本主義を倒すためには、暴力もまた正しいことを認めなければならない、というふうに考えるようになっています。 ところがロランが傾倒したロシア革命は、次第に彼の理想とかけ離れたものになっていきました。ロラン自身も、反スターリン派と目されて投獄された知人を助けようと手を尽くし、スターリンを含む幹部に手紙を書いたにもかかわらず、黙殺された経験もありました。 社会主義から決定的に離れることになったのが、ドイツのポーランド侵攻と「独ソ不可侵条約」です。第二次世界大戦が開戦したその日、ロランはフランスの首相ダラディエに宛てて公開状を書きます。 「フランス共和国が全ヨーロッパに横溢しようとしているヒットラーの暴虐の道を塞ごうとして立ち上がるこの決定的な瞬間に、平和の老闘士が、危機に瀕したデモクラシー諸国とフランスとの大義に対する全幅の献身を貴下に表明することをお許しください。」(1939-9-3)(p.146 新庄嘉章『ロマン・ロラン』中公新書) > 連合国の戦争にも反対したのか? ドイツに宣戦布告して交戦状態に入ったフランスに対して「全幅の献身」を表明したことが、その問いの答えになっていると思います。ファシズムと戦う「フランスとデモクラシー」に対して、はっきりと支持を表明したのです。 全集末尾の佐々木斐夫による「ロランの政治思想」によると、第二次世界大戦期のロランは、レジスタンス運動に精神的には同調しつつも、『ベートーヴェン研究』に献身するとともに、宗教的な熟考の生活に入っていったようです。 > アメリカに対して、戦争を中止すべきと発言した、ということがありましたら そのような記述は見つかりませんでしたし、晩年に入ってフランスに対する祖国愛が強くなっていたロランがそのような行動を取ったとは考えにくいものがあります。 年譜を見ても、最晩年、パリがレジスタンスと連合軍によってパリが解放されたことを知り、亡くなる数週間前に対独レジスタンス犠牲者追悼集会にメッセージを送ったという記述があります。

kobatetu01
質問者

補足

大変詳しい方から、回答をいただき感謝します。 質問文章がちょっと杜撰だったように反省しています。 この質問は、小林啓治著「総力戦とデモクラシー」を読んで考えたことです。 > 仏独両国に対して「戦闘中止」を訴えて、戦争というもの全てに反対しました。 と書いたのですが、 >「戦争というもの全て」を否定したわけではありません。 という回答について、もう少し教えて頂けないでしょうか? なお次の文章については、 > 「最早、兵役拒否は許されない」と発言した の典拠は、ラッセルのウィキペディアに下記のようにありました。 「ところが、第二次世界大戦においては、第一次世界大戦に対する反戦の態度とは正反対にナチズムに対抗するために徹底した抗戦を主張するようになった(アインシュタインも彼と同じく、第一次世界大戦の際には徹底的に反戦を主張し、青年に対して兵役拒否をするようにさえ訴えていたにも拘わらず、第二次世界大戦では「最早、兵役拒否は許されない」と発言するなど、変節している)。 第一次大戦における彼の非戦論との違いから、ロマン・ロラン等から「変節」であると厳しく批判された。ラッセルは批判に対して「世界でもっとも重んずべきは平和だと考えているという意味では、私は依然として平和主義者である。けれども、ヒトラーが栄えているかぎり、世界に平和が可能であるとは考えられないのだ」と弁明した。」

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