需給バランスが崩れるとは?経済学的な見地から解説

このQ&Aのポイント
  • 円高の影響で輸入品が増え、国産品の需給バランスが崩れました。
  • 需要曲線の左方シフトにより、国産品の市場均衡点が変化しました。
  • 国産品の価格の暴落は、当該財需要の価格弾力性の影響も受けています。
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「需給バランスが崩れる」とは?

ある生産財のマーケットレポートを読んでいます。その中に、次のような表現があるのですが、このような言い回しは、経済学的な見地から適切なのでしょうか。 「円高のため、輸入品へのシフトが進み、その結果として、国産品の需給バランスが崩れた。このため、価格の暴落が生じた。」 「需給バランス」という言葉自体にも、それが「崩れる」という表現にも、違和感を覚えます。上記の現象は、つきつめれば国産品の市場均衡点が変化しただけで、新たな点で「バランス」しているではないかと思うからです。自信はありませんが、例えば、次のような表現であれば、納得がいきます。 「円高に伴って輸入品への代替が進んだことにより、国産品の需要曲線が左方シフトし、それに伴って均衡点も移動した。その際、当該財需要の価格弾力性が小さかったために、数量よりも、価格に、より強い反応がみられた。」

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回答No.2

>「需給バランス」という言葉自体にも、それが「崩れる」という表現にも、違和感を覚えます。上記の現象は、つきつめれば国産品の市場均衡点が変化しただけで、新たな点で「バランス」しているではないかと思うからです。 ・確かに、「需給バランス」とか、「需給バランスが崩れる」という言葉は厳密な経済学用語ではないことは事実ですが、あなたの「上記の現象は、つきつめれば国産品の市場均衡点が変化しただけで、新たな点で「バランス」しているではないか」という表現を見ると、市場でのあらたな均衡への調整は一瞬であって、したがって市場はつねに均衡にある、と考えているように見えます。 ・この問題をある財の市場というかたちで一般的に考えてみましょう。当初、この財の市場はある価格のもとで均衡しているとしましょう。いま、」何らかの理由で、この財の需要が減少したとする、つまり需要が左へ(下方へ)シフトしたとする。すると、当初の価格のもとで、供給は需要を上回る、「超過供給」が生じる。⇒この状況を「需給のバランスが崩れる」といっているのでしょう。 ・ある財の市場で超過供給があると、価格は下落し、供給量は減少する。新しい(つまりシフトした)需要曲線と(元のままの)供給曲線とが交わるところまで、価格が下落して新しい均衡が回復する。⇒新しい均衡が回復するまで、超過供給の状態(需給のバランスが崩れた状態)がつづくことになる。 ・新しい均衡のもとでは、以前より価格は低く、取引量(需給量)は小さくなっている。比較静学分析をするときは、当初の均衡と新しい(需要曲線シフト後の)均衡の状態を比較するだけなので、需給の一致しない超過供給の状況、「需給のバランスが崩れる」状況は無視される。たしかに古い均衡から新しい均衡への調整が一瞬に行われるなら、調整過程は「無視」して市場はつねに均衡にあるかのように分析してもかまわない。しかし、比較静学では古い均衡から新しい均衡への調整速度のことは何も言っていない。一部の(あるいは大部分の)市場では価格が硬直的で、価格が新しい均衡価格のもとに調整されるために長い調整時間がかかるかもしれないので、市場がつねに均衡にあるかのように考えることが許されないかもしれない。⇒とするなら、「需給のバランスの崩れた」超過供給の状態を無視することはできないかもしれない。

kuro_man
質問者

補足

いつも的確なご回答をありがとうございます。確かな理論的裏付け、簡明な喩え、洗練された日本語の、すべての点において感服しております。 現実経済の複雑性を考慮すると、私自身の発したステートメントは比較静学的な理論にあまりに寄りすぎているというご指摘と受け止めました。そうだとすれば、おっしゃるとおりです。 ただ、私は、応用科学の世界の住人ですので、自然法則その他の理論と、現実世界に生じる諸現象の間のギャップには毎日、否応なしに接しておりますし、両者の距離感も自分なりに大切にしているつもりです。 この話題についても同様で、市場均衡が、ある点から次の点へ瞬間的にジャンプするとはもとより考えておりません。また、いまでも有効な概念かどうか確認できていませんが、「マーシャル均衡」「ワルラス均衡」「蜘蛛の巣定理」といったタイムラグを考慮した理論についても、触る程度には学んでおります。 ただ、この論者が「暴落」とみたものの正体が、次の均衡点にシフトするまでのタイムラグに生じた「バランスの崩れ」に起因するものであるのか、それとも「需要曲線の左方シフト」に起因するものであるのかと考えると、市場の調整にかかるタイムラグを考慮したとしても、おそらく後者であろうと考えました。 誤解を生みにくいようにと字数を加えたつもりでしたが、かえって誤解を生じたようで、言葉というのは本当に難しいです。 この質問でお伺いしたかったのは、「先に引いた言明と、当方が示した言明の、どちらがより望ましいか」ということよりもむしろ、「先に引いた言明のような理解ないし表現が、市場の経済分析をテーマとするレポートにおいて容認されるのかどうか」という点です。 私の疑問により近づくよう、改めておたずねしたいのですが、先に掲げた表現は、市場の経済分析に関するレポートの中で、次のうちのどれに最も近いでしょうか。 (1)使っても何ら問題ない (2)文脈によっては使っても差し支えない (3)なるべく使わない方がよい (4)絶対に使うべきではない 長くなってしまいましたが、もしお時間があればでけっこうですので、ご回答をお願いいたします。

その他の回答 (1)

  • chie65535
  • ベストアンサー率43% (8519/19367)
回答No.1

>上記の現象は、つきつめれば 突き詰めなければ「バランスが崩れて、価格が下がった」って時点で「話が終わる」のでは? 輸入品へのシフト ↓ 国産品の需要が減る ↓ 供給量はそのままだから、需要と供給のバランスが崩れる(バランスが崩れて、釣り合いが取れていないのは事実) ↓ 市場にすでに出回っている分は安くしないと売れないから、供給量を減らしても意味は無い ↓ 市場にすでに出回っている分が消費される間に、価格が暴落した ↓ (突き詰めないで話をここで終わらせた) ↓ 市場価格が下がったのち、メーカーが供給量を減らした ↓ 供給量を減らしたため、安い価格のまま、需要と供給のバランスが取れた状態に戻った こう考えると「途中でバランスが崩れた」のは揺ぎ無い事実です。 新たな点でバランスが取れ直したとしても「古いバランス点から新しいバランス点に移るまでの間」には、バランスが崩れていた筈です。 >「円高に伴って輸入品への代替が進んだことにより、国産品の需要曲線が左方シフトし、それに伴って均衡点も移動した。その際、当該財需要の価格弾力性が小さかったために、数量よりも、価格に、より強い反応がみられた。」 これって「コジツケ」でしょ? 物を供給しているメーカーと、市場で物を販売している小売店は「異なる」のだから、すぐに均衡点が移動したりしない。 メーカーが作る量を減らしたり、製造中止したって「市場に出回っている分が急激に減ったりはしない」から、どうしても「バランスが取れたまま均衡点が移動する」なんて事は起きない。例え一瞬だとしても「バランスが崩れている瞬間」は存在する筈。

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