森鴎外「かのように」の一節についての意味と綾小路の反応

このQ&Aのポイント
  • 森鴎外の「かのように」の一節「所詮(しょせん)父と妥協して遣る望はあるまいかね。」の意味は、「つまるところ、父と妥協してやっていく望みはないのだろうか?」ということです。
  • 綾小路の「駄目、駄目」という返答は、「望みはない」ということを言っています。
  • 綾小路の台詞は個性的であり、主人公とはかみ合っていないが、リアリティを持ち、個性を表現しています。
回答を見る
  • ベストアンサー

かのように(鴎外)の最後の一節について

こんにちは。 森鴎外の「かのように」の、下記の一節について、意味を把握しかねています。教えてください。 「 秀麿は又目の縁を赤くした。そして殆ど大人の前に出た子供のような口吻(こうふん)で、声低く云った。「所詮(しょせん)父と妥協して遣る望はあるまいかね。」 「駄目、駄目」と綾小路は云った。」 まず、みなさんに伺いたいことの1つ目は、「所詮(しょせん)父と妥協して遣る望はあるまいかね。」の意味です。 これは、「つまるところ、父と妥協してやっていく望みはないのだろうか?=かのようにの存在を支持表明した上で、それでも慣習を尊重しながら父や周りの教授たちに不快なおもいをさせずにやっていける望みはないのだろうか?」という意味でしょうか? 2つ目の質問は、綾小路の「駄目、駄目」についてです。望みはないのだろうか?の問いに対して、「駄目」というのは、変な返事だと思います。これは「駄目」という言葉で「望みはない」ということを言っているのでしょうか? 綾小路の台詞はどれも、個性的なもので、必ずしも主人公のと奇麗にかみ合ってはいない感じの台詞(その分、リアリティがあり、個性がよく表現できているともいえます)ですね。蛇足ですが。 以上2点、よろしくお願いします。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • rkd4050
  • ベストアンサー率60% (112/184)
回答No.2

もうひとつニュアンスが含まれているのを忘れていました。補足しておきます。 「所詮父と妥協して遣る望はあるまいかね」のセリフの直前までのやりとりは、議論です。つまり、学識者らしく理性的に自分の論を述べ合っている。 そして、その議論の場で、秀麿の論は破れました。 その上で秀麿は、なぜかまた同じ質問を繰り返しているわけですが、これは既に議論ではない。 「綾小路、頼むから僕を元気付けるようなセリフを言ってくれ。何かちょっとでも希望の見えるようなことを言ってくれ」という懇願です。 綾小路の「駄目」というのは、先にも書いたように「同じ議論を繰り返えさせないでくれ」という意味もあるのですが、もうひとつ「俺に気休めを言わせようとしても『駄目』だよ。仮に言ったからって現状は変わらないよ」というニュアンスも含まれているわけです。

itkijfntug
質問者

補足

どうも回答ありがとうございます。 駄目の件ですが、おかげさまで色々見えてきました。 回答を読んだ後、改めて関係箇所を読み返したのですが、読み返して思った私の所感は、ちょっとちがいます。違うというか、rkd4050さんのいうニュアンスの可能性もあるが、それだけでなく、次のようなことも言っているのではないかと思うのです。それはつまり、今秀麿が考えてような理屈じゃあ、駄目だ、そんなのは棚にでも上げて、なぜ別のやり方ができないのか、なぜそうしない、といういら立ちみたいなものがあるのではないでしょうか。「望みはあるまいかね」の直前に、綾小路が「八方塞がりになったら、突貫して行くつもりで、なぜ遣らない。」と言っていますよね。その言につなげれば、こういう心情も汲み取れるのではないかと思うのです。

その他の回答 (3)

  • rkd4050
  • ベストアンサー率60% (112/184)
回答No.4

> 回答はでているのに蒸し返されそうな議論、が意気地なさへのいら立ちに拍車をかけたのではないかと思うのです。 なるほど。そこはもう、どう解釈するのが好みか、というだけの話になりますね。正解があるわけではありません。 > ところで、「突貫する」の解釈を、rkdさんは「危険思想と誤解されながら「かのように」論をぶち上げる」としているところは、驚きました。私は、秀麿が選んだ歴史家という仕事を、どんな問題があろうがとにかくやり進める、という風に解釈しましたので。 「どんな問題があろうがとにかくやり進める」というのを、もう少し具体的に考えてみれば、私の解釈に近くなると思います。つまり、実際に彼が仕事を進めたなら、かのように論を公表するか、棄てるかしかないわけで。 「どちらかというと、弛緩した雰囲気での言葉ではないか~」 については、解釈の好みと経験上の勘ですね。 実際に議論したことのある経験から、そうじゃないかな? と思ったわけなので、理論的な説明は出来ません。

  • rkd4050
  • ベストアンサー率60% (112/184)
回答No.3

いら立ちが含まれていると考えるためには、綾小路は秀麿が取るべき正しい方法を知っていて、だけどそれを明らかにしていない、という前提が必要ですよね? となると、「正しい方法とは何か?」「なぜそれを教えないのか?」という2点の疑問に答える必要が出てきます。 私の方でも検討してみましたが、これはちょっと、回答が難しいように思えます。 むしろ、「君が歴史家だったらどうするよ」と訊かれた時、「僕は歴史なんか書かない」と返事したことの方が実情に近いように思います。 つまり、ベストな方法など無い。危険思想と誤解されながら「かのように」論をぶち上げるか(突貫する、ということ)、論を棄てるかの二択しかないのだ、と考えているように取れる。 そんな二択は、僕は御免だ、と。 もし、ベストな方法を知っているなら、この時言ってもよかったはず。 自分では選択したくない二択に迫られている友人に対して、いら立つというのは、この際どうでしょう? どちらかというと、「同情はするけど、僕は君じゃないし。大変だけど頑張ってね」みたいな、突き放した感のある返事のように受け取れます。 「突貫して行く積もりで、なぜ遣らない」までは議論の場であり、それだけに綾小路の言葉は厳しいわけですが、それに対して秀麿が「所詮~」と言ったのは、事実上の敗北宣言、議論の終わりを告げています。 その上での「駄目、駄目」なわけですが、敗北宣言をした相手に綾小路が追い打ちをかけていると考えるのは、まあ、ありっちゃありですが、そこまで酷い奴だとは思えない(笑) どちらかというと、弛緩した雰囲気での言葉ではないかと思うんですけどね。

itkijfntug
質問者

お礼

追記をしておきます。 >むしろ、「君が歴史家だったらどうするよ」と訊かれた時、「僕は歴史なんか書かない」と返事したことの方が実情に近いように思います。 それはそれで、実情として、かなり確実にあるだろうと、私も思います。 >自分では選択したくない二択に迫られている友人に対して、いら立つというのは、この際どうでしょう? それもありえそうですね。 >どちらかというと、弛緩した雰囲気での言葉ではないか rkdさんがどのくらいの程度を想像して言っているのか分かりませんが、どうでしょうね。私は綾小路が微笑を消してからの一連の彼の表情の描写に、彼の真剣さを感じていました。ただ、それが行われている場所が秀麿の居室というかなりアットホームな場所なので、同時に違和感を感じますが。当時の歴史家や画家や華族の状況なんて知りませんので、違和感は仕方ないのかもしれませんが。

itkijfntug
質問者

補足

>いら立ちが含まれていると考えるためには、綾小路は秀麿が取るべき正しい方法を知っていて、だけどそれを明らかにしていない、という前提が必要ですよね? いや、私が思ったいら立ちというのは、意気地なしで前に進もうとしない秀麿に対する綾小路のいら立ちです。 「意気地がないねえ」「そんな葛藤なら僕はもうとっくに解決してしまっている」と、葛藤の状態にとどまっている主人公を綾小路が叱責してますよね。自分は親の期待をばっさり切って進んできたのに、秀麿は「平和な解決がつい目の前に見えている(はずだ)」とぐずぐずしている。そういう意気地なさに対するいら立ちです。そこで、rkdさんから教授していただいた、回答はでているのに蒸し返されそうな議論、が意気地なさへのいら立ちに拍車をかけたのではないかと思うのです。 ところで、「突貫する」の解釈を、rkdさんは「危険思想と誤解されながら「かのように」論をぶち上げる」としているところは、驚きました。私は、秀麿が選んだ歴史家という仕事を、どんな問題があろうがとにかくやり進める、という風に解釈しましたので。

  • rkd4050
  • ベストアンサー率60% (112/184)
回答No.1

1つ目の解釈については、それで合っているだろうと思います。 2つ目の「駄目」については、引用した部分だけで見れば変な答えになりますが、全体の文脈で考えれば、それほど不自然でもありません。 これのひとつ前のやりとりに、秀麿が父を説得するという仮定での長台詞があり、それに対して綾小路は「駄目だ」と言っていますよね。また、なぜ駄目かの説明もしています。 つまり、すでに「父と妥協して遣る道はあるまいか?」という質問に対する回答は出ているのです。それなのに、秀磨は重ねて同じ質問をしている。 綾小路の「駄目、駄目」というのは、「お前、またさっきと同じような長い講釈を垂れて、また俺に同じ回答をさせる気なのか? 回答は出ている。駄目なんだ」というニュアンスの含まれた返答なのです。

関連するQ&A

  • 森鴎外 最後の一句について

    「いち」の「お上の事には間違いはございますまいから」という言葉は、なぜ佐佐や役人たちにとって「只氷のように冷やかに、刃のように鋭い」最後の一句と感じられたのでしょうか?

  • 森鴎外の『最後の一句』について

    森鴎外の『最後の一句』を読んでいます。 解釈について疑問がいくつかあるのでどうかご意見ください。 ・最後に太郎兵が死罪を免れたのは、いちの”最後の一句”のお陰なのでしょうか!? ・最後に太郎兵が死罪を免れた訳ですが、子どもたちは代わりに死んでいませんよね!?(だれも死なず…でよいのでしょうか!?) ・そもそも、こういう出来事があったということは、元の判決(死罪)は重すぎるものだったと考えて良いのでしょうか?

  • 森鴎外の作品、「細木香以」中の一節について

    ジャンルはここで良いのでしょうか、間違っていましたらお許しください。 森鴎外の作品、「細木香以」中に 「天保十二年の頃には竜池、香以の父子が相踵いでクリジスに遭ったらしい。」 という一節があります。この「クリジス」とは何なのでしょうか?お分かりの方がいらっしゃいましたらどうぞお教えください。よろしくお願い申し上げます。

  • 森鴎外「最後の一句」の心意気

    森鴎外に「最後の一句」という短編があります。 高校の国語の教材で読んで感動し、夏休みのクラスの合宿の アトラクションで寸劇までしました。 若いときにそれだけ心を動かされた作品ですが、今の時代に 置き換えてみて、このようなことが本当にあるのでしょうか。 桂屋にかぶさって来た厄難というのは、今でもありそうな不 祥事です。しかし願書というものを書いてお奉行様に出すと 言う「いち」の勇気、それを受け入れて、「生先(おいさき)の 恐ろしいものでござりますな」と言った佐佐の包容力は、現 代の人にも受け継がれているのでしょうか。

  • 鴎外の探墓

    森鴎外の史伝に興味を持っているものです。 鴎外は『渋江抽齊』を書いているとき、抽齊の「痘科の師」である池田京水を詳しく知ろうとし、池田氏の墓の行方を熱心に捜します(『渋江抽齊』その十四~二十)。 菩提寺である嶺松寺は、折からの廃仏毀釈政策のために廃寺になっており、墓所の移転を警視庁に照会したり、付近の共同墓地に何度も足を運びます。 「わたくしは撰者不詳の墓誌の残欠に、京水が刺ってあるのを見ては、忌憚なきの甚だしきだと感じ、晋が養父の賞美の語を記して、ひとつの抑損の句をも著けぬを見ては、簡傲も亦甚だしいと感ずることを禁じ得ない。わたくしには初代瑞仙独美、二世瑞仙晋、京水の三人の間にあるドラアムが蔵せられているように思われてならない。わたくしの世の人に教を乞いたいと云うのは是である。(その二十)」 この探索は『抽齊』の連載終了後も、『伊澤蘭軒』でも引き続き行われます。 その結果京水の後裔と相まみえることになり、鴎外が求めてやまなかった京水の墓誌は永久に失われたことを告げるのですが、前置きはここまでにして、質問に入ります。 1.鴎外は何を求めて墓を探していたのでしょうか。言い換えれば、墓を見ると何がわかるのでしょうか。 2.墓誌がどのようなものかは、「お墓にある亡くなった人たちの名前が刻まれた石碑」である、という程度の理解を持っていますが、もう少し詳しく知りたいのです。 3.池田家のように「失われた」というのは、具体的にはどういうことなのでしょうか。先祖は菩提寺に祀ってある、というのが通常の感覚なのですが、その菩提寺が廃寺になった場合、お墓というのはどうなっていくのでしょうか。 以上の点、ご存じでしたら教えていただきたいと思います。

  • 森鴎外の覚え方、どう思いますか?

    高校生の時、先生に「君たちの頭では、森鴎外を覚えるのは大変だ。だから次のように覚えなさい。」と言われました。私は傑作だと思いましたが、皆さんはどう思いますか。 ロマンチックな面影の      『ロマン主義』「面影」 ドイツのしがらみ舞姫は     『ドイツ留学』「しがらみ」「舞姫」 うたかたみたいな即興詩人   「うたかた」「即興詩人」 ああ没理想的恋ならば     『没理想主義』 目覚ましスバルのXXXやめ   『雑誌スバル』「キタセクスアリス」 阿部の大塩、山椒かけ     「阿部一族」「山椒太夫」 高瀬と渋江、干潮楼       「高瀬舟」「渋江抽斎」「干潮楼」 (解説) 森鴎外は、ロマンチックな面影のあるドイツ人のしがらみのある舞姫を好きになり、うたかたみたいな即興詩人の歌を贈った。しかし、振られてしまい没理想主義に走り、スバル(星)の下でのXXXはやめる。ご飯には、名物、阿部の大塩と山椒をかけて食べる。高瀬君と渋江君と干潮楼というレストランで、よく食事をする。 ※注意:解説の物語は、もちろんフィクションです。

  • 森鴎外について

    海外のメル友が森鴎外について知りたがっています。彼は「舞姫」を読んで、その作品や作者自身についてもっと知りたいようです。 どのように何を紹介したらいいでしょうか。そのような英語のサイトはあるでしょうか。 よろしくお願いします。

  • 漱石、鴎外などを読み漁りたいのですが

    明治から昭和までのいわゆる名作を鑑賞したいのですが、皆さんはどんな本がお勧めですか? 昔、漱石の草枕を読んで難しいなと感じましたので、漱石、鴎外に限らずいろんな作家の作品をどんな順番で読んでいけばよいか推薦してくれればと思います。 できれば古典がいいです。時間をかけて多くの人に愛読されて来て、残ってきたものですから。 もちろん、この作品なら50年後もまだ生き残っているだろうなという本なら含めていただければと思います。 よろしくおねがいいたします。

  • 鴎外の漢字

    「おくる」に三種類の漢字(遺・貽・送)を使っていますが、同字反復を避けた以外の意味はありますか。『北条霞亭』。 前に碧山は鯔と鹿角菜とを霞亭に遺つた。然るに鯔は至つて鹿角菜は至らなかつた。鯔は某氏半兵衛の的矢北条氏に貽つたもので、碧山は其一樽を江戸に送致した。霞亭はその鹹に過ぐるを嫌つて、再び送らざらしめむと欲してゐる。

  • 森鴎外

    森鴎外って、どういう人物だと思いますか?