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(民事訴訟法)請求適格って何ですか

民事訴訟法講義案(司法協会)で勉強していたら、訴えの利益の項目のなかで、将来給付の「請求適格」という表現が出てきました。 「訴えの利益」でもなく、「当事者適格」でもなく、「請求適格」って何でしょう? 民事訴訟法講義案では索引に「請求適格」なる用語もないので、どうしたものかと。 「請求」の「適格」なら、単に「訴えの利益」と表現してくれればいいと思うのですが。 なんとなく、雰囲気はわかるのですが、いままで、雰囲気でわかった気になっていると、後で痛い目に遭うことが多いのが法学の世界であることが身にしみているので、ちょっと気になります。 もし、ご存じの方がいらっしゃいましたら、ご助言いただけないでしょうか?

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noname#83227
noname#83227
回答No.3

まず最初に言っておきますが、基本書読みましょう(司法協会の講議案は基本書とは言えません)。 既に回答がありますがこれは請求適格の例に過ぎません。 ANo.1の例は請求適格の例と捉えることも理論的には間違いとは言い切れませんが、どちらかと言えば憲法論で出てくる法律上の争訟性の話です。厳密に言えば法律上の争訟かどうかはそもそも憲法上の問題で民事裁判権の及ぶ範囲の問題であり、民事訴訟法上の議論である訴えの利益の一内容である請求適格とは別のものです(もっとも従前、法律上の争訟に当たらない場合も訴えの利益を欠くとしており、厳密に区別はしていませんでした。しかし、現在においては明確に区別すべきだという主張が民事訴訟法学者の間にあることは確かです)。ANo.2は判例が問題にした請求適格の代表的な例です。 請求適格とは“請求の内容が”本案判決を受けるのに適する一般的な資格を言います。権利保護の資格とも言います。これに対して、“原告がこの請求について”判決を求める現実の必要性を(狭義の)権利保護の利益ないし必要と呼びます。この両者をまとめた概念として一般に用いるのが「訴えの利益」です。即ち、請求適格とは、訴えの利益の内、請求内容について注目した場合にそれが本案判決を受けるのに適しているかどうかということです。 というわけで、請求適格がなければ訴えの利益を欠くわけですが、請求適格があっても権利保護の利益(具体的には二重起訴の禁止に触れる場合とか。二重起訴の禁止に触れる場合に訴えの利益を欠くのは、請求内容とは関係ありませんから請求適格の問題にはなりません)がなければやはり訴えの利益を欠きます。 具体的に問題になったのは、ANo.2の回答の通り。 簡単に言ってしまえば、将来の給付を目的とする請求権についてその内容が明確に定まっていないような場合は、そもそも民訴法135条所定の「必要性」を論じるまでもなく、請求の内容自体が本案判決を受けるに適しないということ。この「本案判決を受けるに適しない」ということを請求適格が無いと言うわけです。 以下参考。 訴えの利益は最広義には請求適格、権利保護の利益、当事者適格を全て含んだもの。一般に訴えの利益という場合は、狭義で、当事者適格を除いたもの。最狭義の場合には、更に請求適格を除いたもの。

mindspring
質問者

お礼

No1,2ともどもありがとうございます。また、丁寧かつ十分なご回答は読むだけで勉強になりました。 学者の基本書は正直なところ敷居が高く、何が実務なのかも気を抜くと曖昧になってしまうので、どうも苦手です。伊藤先生の基本書は参考書として読むのですが、伊藤先生の基本書ではそもそも「請求適格」という用語が見あたらず、ここに駆け込むことになりました。

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その他の回答 (2)

  • 17891917
  • ベストアンサー率75% (490/652)
回答No.2

 将来の給付の訴え(民事訴訟法135条)における「請求適格」とは,具体的請求自体の性質が「将来の給付」といえることを指します。  たとえば,「期限未到来の請求権」や「停止条件未成就の請求権」であることです(前者の例で言えば,「期限未到来であること」及び「請求権として存在していること」が請求適格の要件となる)。  請求適格のある請求権について,当事者があらかじめその請求をする必要がある(:当事者に訴えの利益がある)場合に限り,将来の給付の訴えが認められます。  この請求適格について,最高裁昭和56年12月16日判決(大阪国際空港公害訴訟)は,「現在不法行為が行われており、同一態様の行為が将来も継続することが予想されても、損害賠償請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず、具体的に請求権が成立したとされる時点においてはじめてこれを認定することができ、かつ、右権利の成立要件の具備については債権者がこれを立証すべきものと考えられる場合には、かかる将来の損害賠償請求権は、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格性を有しない。」と判示しました。  これらの要件があってこそ,期限未到来の「請求権」といえるとしたものです。  

mindspring
質問者

お礼

ありがとうございます。 ご助言頂いた大阪国際空港公害訴訟の百選解説を読んだら、請求適格という用語のイメージがわきました。

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  • walkingdic
  • ベストアンサー率47% (4589/9644)
回答No.1

訴えの利益とか当事者適格というのは、訴える人や訴えられる人が誰であるかというのが重要になりますよね。 請求適格という言葉はそういう個別の話を離れて、根本的に裁判所が判断を下せる話なのかそうではないかのという話です。 たとえば太郎さんが花子さんと交際を始めたとしましょう。でも最近花子さんが冷たいので、そこで太郎さんは花子さんは自分の恋人であることの確認を求める訴訟を提起しようとしました。でも、恋愛は個人の自由であり、法律の規定はなにもないから、裁判所は判断を下すことは出来ません。 つまり請求適格はないとなります。

mindspring
質問者

お礼

ありがとうございます。 請求適格は、具体的な事案と離れて見たときの概念ということですね。 よくわかりました。ありがとうございます。

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