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上代特殊仮名遣い

kimosabeの回答

  • kimosabe
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回答No.4

二点ほど追加いたします。 1、「上代特殊仮名遣」研究の歴史について 最初、江戸時代の国学者である本居宣長(もとおりのりなが)が、「古事記伝」の総論で、仮名の使い分けについて指摘しています。 この指摘を受けて、宣長の弟子であった石塚龍麿(いしづかたつまろ)が調査・研究をすすめ、その成果が「仮名遣奥山路(かなづかいおくのやまじ、1798年以前の成立)」にまとめられましたが、当時は全く注目されず、石塚の研究は忘れ去られてしまいます。 後に橋本進吉博士が、上代文献で、特定の音節に甲類・乙類二種の仮名の使い分けがあるという事実を再発見し、公表することによって、「上代特殊仮名遣」が広く認められるようになり、上代日本語の音韻構造が解明されていくことになります。橋本の研究の一端は『古代国語の音韻に就いて』(1937年5月の講話録、現在は「岩波文庫」で読むことができます)によって知ることができます。 2、万葉集はどんな文字でかかれているか 実際はもっと複雑ですが最小限これだけは、という点を確認したいと思います。 万葉集で用いられている文字は漢字と万葉仮名です。   ここでいう「漢字」とは、漢字が漢字本来の意味・用法で用いられているものです。難しく考える必要はありません。「ヒガシ」を漢字で「東」と書く現在のやり方とおなじです。 「万葉仮名」は、漢字本来の意味・用法とは関係なく、ただ日本語をかきあらわすために、同じ、あるいは類似の音や訓を持つ漢字を借りてきただけのものです。   例えば、万葉集の482番歌に、   吾毛見都 とありまして、「吾(われ)も見(み)つ」と訓んででいます。 「吾」と「見」は、漢字本来の意味が生きていますから、これは漢字です。 「毛」は、日本語のモという音を書き表すために、「モウ」という音を持つ「毛」という字を借りているだけです。漢字本来の意味は全く関係ありません。「都」も同じです。日本語の「ツ」という音を書き表すために、「ツ」の音を持つ「都」という字をかりているだけです。 こういう場合の「毛」や「都」が万葉仮名です。 「万葉仮名」は、「ひらがな」や「かたかな」と同じく「仮名」の仲間です。漢字ではありません。「漢字」と全く同じ形をそのまま利用するので誤解を招きやすいだけです。この「万葉仮名」をどんどんくずして簡略化すると「ひらがな」になります。「万葉仮名」の字画の一部だけを書くというやりかたで簡略化すると「かたかな」になります。「万葉仮名」と「漢字」は見た目は同じでも、その本質がぜんぜん違います。その辺の事情を誤解なさらないようお願いします。   ちなみに岩波書店の日本古典文学大系「万葉集」では、右側のページに原文、左側のページにその書き下し文、という体裁になっています。左側の漢字ひらがなまじりで書かれているのは、万葉集原文をどう訓むかが示してあるのであって、その訓みかたは、研究者によってずいぶん違うのです。その辺も誤解のないようお願いします。

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