• ベストアンサー

しぇいくすぴあ「マクベス」に登場するマクベス夫人は現代にもいるか?

 シェイクスピアの四大悲劇「マクベス」について・・・  マクベスに登場する夫人は、現代にもいる(夫人の要素が現代人の中にもある)と思いますか?  またシェイクスピアはマクベスを通じて人々に何を伝えたかったのでしょう  高校生ですので、わかりやすくお願いします。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • shiremono
  • ベストアンサー率70% (187/267)
回答No.1

きちんと読んだわけではなく、あらすじを楽しんだ程度ですが、 「マクベス」 は好きです。マクベスはもちろん、マクベス夫人もわりと好きです。以下、マクベス夫人についての勝手な注釈をこころみます。 かつて古典的なSF (ヴォネガットやブラッドベリなどのいくつかの作品) を読んで、主人公の妻などの女性が共通してまるで 「マクベス夫人」 のようにえがかれているなあ、とおもったことがあります。男性の主人公が内省的、理想主義的で、優柔不断であるのにたいして、女性は内省することがなく、現実的で果断、世俗的なものさしによって男性を低くみるのです。 たとえば、夫の悪事を背後からリードした妻が現代の 「マクベス夫人」 とよばれるとしたら、そこにはこうした一種の男性中心的な女性観が前提にされているのではないかと感じます。夫が主、妻が従であるのは、日本の神話や仏教、儒教の影響による秩序意識というだけでなく、キリスト教などの一神教における伝統的な価値観でもあります。 マクベスよりも精神的に強かったマクベス夫人が夢遊病のうちに自分を失って死んでしまうことが、わたしにはたとえば、現在のフェミニズムの凋落とすらかさなってみえるのです ( 「さあ、血みどろのたくらみごとに手を貸す悪霊たち、私を女でなくしておくれ」 1幕5場 福田恆存 訳 )。 以上のような俗流の読解にもとづく荒唐無稽な解釈は、シェイクスピアが 「マクベス」 を通じて伝えたかったこと、ではありえません。ただし、作品の解釈とは、かならずしも作者が伝えたかったことを明らかにすることでもないのです。解釈とは、読者によってつくりだされるものです。さらに、作品が芝居として上演される場合には演出者の解釈、翻訳される場合には訳者の解釈もはさまります。もちろん、いろいろな解釈が対等というわけではなく、すぐれた解釈とだめな解釈があります。客観性があって、しかも作品の意味がより豊かになるような解釈がのぞましいのです。そのためには、きちんと作品を読むだけでなく、たとえばもともとの作品の形 ( 「マクベス」 の場合には、もっと長い脚本がはじめに書かれていたという説があり、現在の脚本の一部分がべつの劇作家によって加筆されている可能性もあるそうです) や作者の意図なども、できるだけ明らかにしたほうがよいわけです。そういうわけで、「マクベス」 についても、膨大な注釈や研究、批評があります。あいにく、わたしはそれらをほとんど知りません。 「マクベス」 を書いたシェイクスピアの意図としてよく知られているのは、当時の国王でシェイクスピアの所属した劇団の後援者でもあったジェイムズ1世を賛美することです。 すなわち、この劇は宮中の国王の前で上演されたのですが、バンクォーは国王の先祖でした。王位継承の資格をもち名君でもあったとつたえられていた歴史上のマクベスが劇のなかでは徹底的に王位簒奪者、あっけなく滅ぼされる自業自得の暴君としてえがかれ、一方、自身も王位への野心をもちマクベスの陰謀にもかかわったとつたえられるバンクォーは美化されているのです。4幕1場の魔女の洞窟にあらわれた8人の王の幻影のうち、鏡をもってあらわれた8番目の王は国王の父であって、鏡はスコットランドとイングランドの王を兼ねる国王その人をうつしだすためのものであった、ともいわれます。ついでにいえば、国王は魔術にも大きな関心をもっていました。 こうした作者の意図がたしかにあるとしても、それが劇のテーマということにはならないでしょう。テーマはやはり、マクベスの悲劇 (破滅) のはずです。ただし、どこに悲劇の中心をみいだすかは、観客 ・ 読者しだいなのです。当時 「マクベス」 が胸のすく勧善懲悪のフィクションとして観客に受けいれられたというのはおおいにありそうなことですが、現代の読者が同じようにして読まなくてはならないということはありません。 参考図書 『マクベス』 福田恆存 訳 (新潮文庫) 『シェイクスピアの世界』 木下順二 (岩波 同時代ライブラリー) 『小田島雄志のシェイクスピア遊学』 小田島雄志 (白水社) 『シェイクスピア』 福田陸太郎・菊川倫子 (人と思想 清水書院) "The Tragedy of Macbeth" (Signet Classic)

参考URL:
http://en.wikipedia.org/wiki/MacBeth, http://www.sparknotes.com/shakespeare/macbeth/

関連するQ&A

  • マクベス夫人の陰謀とは

    シェークスピアはあまり詳しくないのでお聞きしたいのですが、マクベス夫人って悪女だったのでしょうか。マクベス夫人の陰謀とは?

  • マクベスの登場人物の顔が見たいです

    先日、シェイクスピアの小説、マクベスを読み終わりました。そしてふとおもったのですが、彼らの顔が知りたいなと思いました。もし、マクベスの挿絵や、映画などの登場人物の写真のサイトなどがありましたら教えて下さい。 よろしくお願いします(m_ _m)

  • 現代演劇

    現代演劇ってプロット(あらすじ)がないのが特徴として挙げられますよね?大きな展開があるわけでもなく・・。この前授業でベケットの「幸せな日々」「芝居」の一部をビデオで見たのですが、私も含めほとんどの人が沈没して(寝て)ました。 ギリシャ悲劇やシェイクスピアの劇は、ストーリー性や言葉の扱い方のうまさなどで評価を受けているのはわかるのですが、現代演劇は何が受け入れられて確立しているのでしょうか? わかりにくい質問ですみません。

  • 3大発明・6歌仙・シェークスピア4大悲劇とは?

    質問です。 3大発明とは、羅針盤と火薬と何? シェークスピアの4大悲劇は?リア王、ハムレット、マクベス、何? 6歌仙は誰? 以上です。 もし、ご存じの方は宜しくお願い致します。

  • 自然な日本語に…

    シェイクスピアのマクベスで、マクベス夫人の様子を綴った文章です。 This brings out the full force of the she-monster's(女怪物の) fury and scorn expressed in two little words that mockingly echo Macbeth's doubts: "We fail?" この文章なのですが、意味はわかるのですが(We fail?の二語に込められた怒りや軽蔑心が…)綺麗な日本語にできません。that以下も、どう繋げればいいか…。 あらすじは、マクベスが王になり、夫人が女王になるために今の王を殺そう、と夫人が提案しているところです。が、マクベスは腰が引けている状態。Thisというのは、この文章の前にマクベスが弱弱しく呟いた「If we should fail?」というセリフになります。 This brings out~の部分も、直訳すると不自然になってしまいますよね。。 上手く訳せる方、ご協力お願いします。

  • 『マクベス』第2幕3場面のセリフの和訳

    シェークスピアの『マクベス』の中の、バンクォーのセリフで、 "And when we have our naked frailties hid that suffer in exposure, let us meet and question this most bloody piece of work to know it further." というセリフがありますが、意味がよくわかりません。 和訳できる方がいましたら、ご協力いただけるとありがたいです。

  • 「舟を編む」みたいな小説のおすすめありますか?

    滅多に本は読まないのてすが、文章の表現が面白くてすごくはまりました。話の展開や登場人物への感情移入も勿論ですが、日常生活では聞かない語彙が多い点も良かったです。同じ感じでシェイクスピアのマクベスも好きになりました。映画になりますが、パプリカも好きです。 こんな特徴のお奨めの小説などご存じでしたら教えてください。 よろしくお願いします。

  • あなたのお気に入りシェイクスピア

    シェイクスピアがお好きな方々に質問です!あなたがいちばんお気に入りのシェイクスピアの作品はなんですか?また、とても気に入っている登場人物はいますか?シェイクスピアに対する思い入れなど、楽しいお話をお寄せ願いたいです!! 私が好きな作品は「じゃじゃ馬ならし」です。シェイクスピア、といったら重い雰囲気の悲劇、というイメージを持っていたときに読んで「こんな作品も書いてるんだ!」とびっくりしました。ペトルーチオの威勢の良さがいいですね。「リチャード3世」も好きです。あの悪人っぷりはまさに芸術クラスですね。 それから、最近ソネット集の完訳版を買いましたがそれもまた美しいですね。(翻訳が素晴らしいということもあります。)

  • 現代美術にみられる「ギャグ」的な要素

    私の印象なのですが、現代美術にはそれまで見られなかった「笑い」の要素があるものがあります。またはその精神が市民権を持っているように見受けられます(たとえばパフォーマンス芸術なんてほとんどその要素ですよね) これはどういう歴史的社会的な流れの中で生まれてきたのでしょうか? たぶんに抽象的な表現で申し訳ありません。

  • 同性or両性愛者のキャラクターが登場する小説

    ラノベやマンガ以外で、同性愛者もしくは両性愛者のキャラクターが登場する小説はありませんか。 男性でも女性でも構いません。 メインキャラでもサブキャラでも良いのですが、いわゆる「カマキャラ」のようなネタキャラではない人物でお願いします。 恋愛小説や、ジェンダー論的なものが主軸の話ではなく、あくまで登場キャラの一人がそういう要素を持っている、という程度がいいです。 ※キャラクターの要素が物語のメインではないということです。 現代日本を舞台とした、ミステリやサスペンスものだとありがたいです。 よろしくお願いします。