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ドイツ音楽、オーストリア音楽の違いとは?

Tastenkastenの回答

回答No.5

えーと、今、時間的余裕があまりなく、国家や民族についてはややこしくなるので、できれば簡単に済ませたいと思っております。私としては、音楽の性格を考える場合、政治的な地図と文化的な地図の両方を考えなければいけないと思います。政治的な地図から、ドイツ的、オーストリア的とは何かと問えば、疑問が出てくるのは当然と思います。ただ、この二国に限らず、そもそもこの世界に、混じりけのない純粋な文化というのは無いでしょう。オーストリアの場合、民族的にはいろいろなルーツがある上、ハンガリーやチェコなど、東欧からの移民が入っています。当然いろいろな文化があるわけですが、それらを吸収、融合した独特な文化をオーストリア文化ととらえてかまわないと思います。日常的にも、言語や生活習慣に、隣国の文化の影響を感じます。民族的なルーツの一つとして、ケルトを考える人もいまして、私の師も、ケルトの音楽を研究していました。すでに書きましたが、実際、民族音楽に関しては、ドイツとオーストリアではかなりの違いがあります。そして、ドイツには当然ドイツの事情があり、ベースとなった文化、影響を受けた文化は、オーストリアとは当然性格を異にします。明確な線引きはできないとしても、オーストリアから南ドイツにかけてと、それ以北の地域とでは、文化、言語、気質などにある程度はっきりした差があるという印象を持っています。そして、作曲家が異国に移住したとしても、やはり生まれ育った土地の気質というのは変わらないもののようです。さらに、ある作曲家の国籍がドイツであったとしても、たとえば両親がポーランドから移住してきたような場合には、やはりどこかポーランド的なものを受け継ぐものなので、ドイツ的な作曲家とみなすわけにはいきませんね。 また、「ドイツ・オーストリア音楽」と呼ぶ場合は、音楽伝統が形成された地域について言っているわけで、分けて考えようとするときは、「ドイツ的な音楽」「オーストリア的な音楽」と、音楽の性格や内容そのものが問題となりますので、純粋に音楽上の特徴を比較して考察する必要があります。そのあたりも明確にしておかないといけないと思います。 オーストリアが自国の音楽文化について紹介するときは、やはり、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナー、マーラーなどを自国の作曲家として紹介し、そのうえで、多くの作曲家の活躍の場となったということで、ベートーヴェンやブラームスの名前を出します。オーストリアの人たちは、自分たちはドイツ人とは違うという意識、特にウィーンでは「ウィーン的なもの」へのこだわりがあるようなので、ドイツの作曲家に対しては、微妙な距離は保っているかもしれません。自分たちはドイツ人とは違う、という意識は結構持っています。 気質の違いを一つ上げると、例えば、ドイツ人と話をするときは、こちらの言うことをちゃんと聞いて、正面から答えてくれるのですが、オーストリア人の場合は、ジョークではぐらかされることが多く、聞きたいこともなかなか聞き出せないことがあります。 それから、気質の違いと関係があると考えられるのは、ドイツでは、娯楽的な音楽と芸術的な音楽が結構乖離していったのではないかということで、オーストリアはこの点では、もう少しゆるいかなと思います。あの、新ウィーン楽派の三人も、ヨハン・シュトラウスのワルツを編曲して、自分たちで演奏したりしているのが面白いところですね。 ちょっと脱線しますが、オーストリアは多民族国家だったので、異文化に対しても柔軟なのか、私の知り合いたちはみな、緑茶や寿司が好きで、一緒に食事に行くとなると寿司屋へ行こうとするので、迷惑しました。日本人にとっては、向こうの寿司はそんなに食べたいものではありませんから。 また話が飛びますが、私は普段あまりブルックナーを聴かないので、少し聞き直して見ました。時間の都合で、ごく一部ではあるのですが、やはり、ドイツの作曲家のように、有機的に展開しませんね。フレーズがいつも偶数小節のグループで割り切れていて(笑)、細切れで、静かな部分が長くて、音が薄くて、盛り上がるかと思うとしぼんでしまう。音の薄さは、明らかにオルガンの書法からきていると思います。オルガンならば、音符の数が少なくても大きな音が出ますし、ストップの選択で、オクターブ、2オクターブ上下の音も一緒に鳴らすことができます。しかし、オーケストラで2声部だけだと頼りない。第1番と第8番を少し聞いて、どうもピンとこないので、一番良い印象が残っている第7番を少し、久しぶりに聞いてみましたが、やはりこんなに静かな曲だったのかと今更ながらに思いました。メロディアスという点では、第1や第8よりずっといいのですが、メリハリが少ないので、時々我慢が続かなくなります。ブルックナーについて書くには、版の問題も含めて、もっとしっかり聞き込んでからでないとダメそうです。 今ちょうど用事があって、オーストリアの友人にメールを書こうとしているところです。今日書けるか、明日になるかわかりませんが、ついでに、ドイツ音楽、オーストリア音楽をそれぞれどのようにとらえているか聞いてみましょうか。お知らせするのに数日かかると思いますし、例によってはぐらかされるかもしれないのですが、それもまた一興ということで。

NemurinekoNya
質問者

お礼

☆ちょっと脱線しますが、オーストリアは多民族国家だったので、とりわけ、異文化に対しても柔軟なのか、私の知り合いたちはみな、緑茶や寿司が好きで、一緒に食事に行くとなると寿司屋へ行こうとするので、迷惑しました。日本人にとっては、向こうの寿司はそんなに食べたいものではありませんから。 ◇ハプスブルク帝国は、単にヨーロッパだけではなく世界帝国でしたから、異文化に対する憧れなども強いのでしょうね。 今日、ちょっとネットで調べたのですが、 19世紀半ばのオーストリア・ハンガリー帝国の発足時、現在のオーストリア地域に占めるドイツ系住民の割合は半数以下だったといいますから、オーストリアはドイツ系住民の国家ということもできないようですね。 ☆細切れで、静かな部分が長くて、音が薄くて、盛り上がるかと思うとしぼんでしまう。 ◇音楽評論家はこのことを「息が長い」や「大きな呼吸」などと表現します。 そして、この「息の長さ」や「大きな呼吸」がブルックナーの魅力です。ここがいいんですよ♪ ☆、一番良い印象が残っている第7番を少し、久しぶりに聞いてみましたが、やはりこんなに静かな曲だったのかと今更ながらに思いました。 ◇「7番は作り物めいていてダメだ」と言えて本物です。 7番は、ブルックナーらしさが最も欠如した作品です。  ───釈迦に説法の真似をする─── 個人的におすすめの演奏は、 youtubeですと https://www.youtube.com/watch?v=4M3WFaACyQk でしょうか。 この曲に関しては、 いい音の演奏、特にウィーンフィルの演奏は、砂糖菓子の上にさらに大量の砂糖を振りかけたように、甘ったるくて、冒頭の数小節を聞いただけで危懼機が失せてしまいます。 ☆今ちょうど用事があって、オーストリアの友人にメールを書こうとしているところです。今日書けるか、明日になるかわかりませんが、ついでに、ドイツ音楽、オーストリア音楽をそれぞれどのようにとらえているか聞いてみましょうか。お知らせするのに数日かかると思いますし、例によってはぐらかされるかもしれないのですが、それもまた一興ということで。 ◇オーストリアの方の生の声をぜひ聞きたいと思います。 ドイツに対する、オーストリア人の積年の恨みつらみなどを聞きたいものです。 首を長くしてお待ちしております。 回答、ありがとうございました。

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