なぜ用益物権や賃借権の場合に時効中断の要件が加重されるのか

このQ&Aのポイント
  • 所有権や占有を伴う質権の場合は、162条又は163条の要件のみで取得時効が成立するのに対して、用益物権や賃借権の場合は真の所有者の時効中断の機会を保障するために加重される要件が存在します。
  • 真の所有者の時効中断の機会を保障する必要があるので、用益物権や賃借権には継続性と表現の要件が加重されます。
  • 所有権の時効取得が生じた場合、真の所有者に対するインパクトが大きいため、継続性と表現の要件がより重要となります。しかし、なぜこのような状況になっているのかは疑問が残ります。
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取得時効の要件について

取得時効について教えて下さい。 条文上、地役権の取得時効は、(1)継続性と(2)外形上認識(表現)が要求され、真の所有者の時効中断の機会を保障しています。 また、判例上も、地上権、用益物権、あるいは賃借権の取得時効について、ほぼ同様の要件を要求し、真の所有者の時効中断の機会を保障しています。 ここで、疑問なのですが、所有権や占有を伴う質権の場合は、162条又は163条の要件のみで取得時効が成立するのに対して、なぜ、用益物権や賃借権の場合についてのみ、真の所有者の時効中断の機会を保障した要件が加重されるのでしょうか? 真の所有者の時効中断の機会を保障する必要があるのならば、所有権等の場合も同じく、継続性と表現の要件が加重されるような気がしますが、そのような事はないようです。 むしろ、所有権の時効取得が生じた方が真の所有者に対するインパクトが大きい以上、なおさら継続性と表現の要件が必要なような気がしますが、なぜそうなっていないか疑問です。 ご回答よろしくお願い致します。

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.3

 地役権の時効取得の場合,所有権の時効取得の「占有の継続」に代わるものが,「用益の継続」という趣旨に理解しています。  時効取得の対象となるものが,占有を伴う権利というのが正確でなく,通行地役権,用水地役権など,承役地に対する占有を伴っているとまではいえないでしょう。285条は,そのように読めますし,283条も,地役権一般に承役地に対する占有がないことを前提の規定と考えられます。占有がないというのは,例えば,通行や水の利用に影響のない範囲で承役地を占有されたとしても,通行地役権者や用水地役権者は,占有訴権でそれを排除することはできません。  これを越えて,163条一般に,占有を伴う権利でなければ時効取得できないというのは,法文の文理上は窺えないように思えます。確かに,地役権を除けば,賃借権にしても地上権にしても占有を伴う権利ですが,それは,判例がそれを認めてきたことの「結果」であって,163条の不文の「前提」なり「要件」として,「占有」が要求されているようには見えないのですが,どうでしょうか。

rapunzel22
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。

その他の回答 (2)

回答No.2

 地役権の時効取得の要件の継続性は,所有権の時効取得の場合の占有の継続にあたるものであり,外形上の認識可能性は,所有権の場合の占有の公然性にあたるものであって,所有権の時効取得とほぼ同様の要件を,地役権と所有権の違い継続した土地の占有を伴わない)に即して変更した規定だと考えているのですが,違いますか?  これを,所有権の時効取得とは異なって,時効取得の要件を「加重」し,「所有者による時効中断の機会を保障したもの」とする理解が私には分からないのですが・・・  確かに,最高裁判例は,賃借権や地上権についても,外形的事実とか,客観的に表現という言葉を使っていますが,それは,結局は,所有権の時効取得の場合と同じことをいっているにすぎないものと考えて足りるように思います。外形的事実は,占有=用益,でしょうし,客観的表現は,所有者としての振舞=賃借人としての振舞,ということで,同じことではないでしょうか。  現に,最高裁判例の判決文を読んでも,そのような表現で言い表された時効取得の要件が,「所有者による時効中断の機会を保障するため」に特別の配慮をしたものだという趣旨は窺えないと感じられます。

rapunzel22
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。 何とかこちらで解釈しようとしたのですが、どうしても分からないので、以下の点についてもう一度教えて頂けますでしょうか? >所有権の時効取得とほぼ同様の要件を,地役権と所有権の違い継続した土地の占有を伴わない)に即して変更した規定だと考えているのですが,違いますか? 特に、「地役権と所有権の違い継続した土地の占有を伴わない)」? の部分が分かりません。 162条の所有権の「占有」要件を163条の「所有権以外の財産権」の場合「行使」要件に即して修正したという意味でしょうか? そうだとすると、確かに所有権の場合は、その態様を問わず、占有要件が必要となりますが、取得時効は、そもそも占有を伴う権利しか対象にならないので、163条の所有権以外の財産権の「行使」要件は、当然に 占有を伴う形態の「行使」でしかあり得ないはずです。 同じく占有を伴う権利であるにもかかわらず、所有権の取得時効(162条)については、単純に「占有」要件のみです。 継続性(これは期間要件で当然満たされるともいえますが)や外形上の認識可能性(登記をするとか賃貸借契約を結ぶとか)の要件は課されていません。 一方で、163条のしかも用益物権と不動産賃貸借についてのみ(動産質権についてはそのような要件が課される話は聞きません)、「行使」要件に加えて、継続性と認識可能性を要求しているように見えます。 つまり、簡単に表現すれば、「162条の「占有」=163条の用益物権と不動産賃借権の「行使」(当然「占有」を伴う)+継続性+認識可能性」のように思えるのです。 上記の公式の辻褄を合わせるためには、162条の占有は、163条の行使の占有よりも意味合いが強いか、あるいは、用益物権と不動産賃借権の占有についてのみ特殊が事情があるのか、どちらかだと思い、私は、後者を疑ったのですが、law_amateur様のご回答は、前者、つまり、162条の占有は、163条の行使の占有と異なり、当然に継続性と認識可能性を含んでいるということなのでしょうか? 物分りが悪く申し訳ございません。 以上、お手数ですが、ご回答よろしくお願い致します。

  • shintaro-2
  • ベストアンサー率36% (2266/6244)
回答No.1

>ここで、疑問なのですが、所有権や占有を伴う質権の場合は、162条又は163条の要件のみで取得時効が成立するのに対して、なぜ、用益物権や賃借権の場合についてのみ、真の所有者の時効中断の機会を保障した要件が加重されるのでしょうか? ご質問の主旨が良く理解できないのですが? そもそも、用益物権や賃借権の場合は所有権が貸主にあることを前提としているので、援用者には「所有の意思」が存在せず時効の期間のスタートを観念できないように思うのですが、如何ですか?

rapunzel22
質問者

お礼

>そもそも、用益物権や賃借権の場合は所有権が貸主にあることを前提としているので、援用者には「所有の意思」が存在せず時効の期間のスタートを観念できないように思うのですが、如何ですか? ご回答ありがとうございました。 すいません、私が勘違いしているのかもしれませんが、用益物権や賃借権の取得時効なので、163条の話です。 所有権の取得時効ではないので、162条の所有の意思ではなく、163条の自己のためにする意思です。 162条の所有権の取得時効や163条の動産質権の取得時効に対して、163条の用益物権や賃借権の取得時効の要件が加重されるのはなぜかな?と思い、質問させて頂きました。 ご回答よろしくお願い致します。

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