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遠隔作用説の問題と仮想力線電磁気学
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高校の物理の教科書によれば「静止した二つの電荷q1, q2の間にはクーロン力 F = - q1・q2/(εr^2) が働く。また電場Eの中の電荷q1には F=-q1E の力が働き、電荷q2の作る電場は E = q2/(εr^2) で与えられる」というような説明だったと思います(手元に高校の教科書がないので確かめられませんが)。私はこのような説明の仕方は不適切であると考えます。このような説明ではほとんど全ての人が電場はクーロン力の単なる言い換えであり、ほとんど違いはないと考えてしまうでしょう。電場は「場」を実体と考え、荷電粒子同士が直接相互作用するのではなく、粒子と場が相互作用すると考える近接作用の理論です。近接作用論が自己相互作用にまつわる多くの困難にも拘わらず遠隔作用論に勝利をおさめたことを教えることは、宇宙の見方が天動説から地動説に変わったことを教えるのと同じくらい(あるいはそれ以上に)重要なことではないかと思います。近接作用論が正しい根拠として私が挙げることができるのは 1. 遠隔作用では相対論と適合させることが難しいこと 2. 近接作用と遠隔作用が異なる答えを与えるような問題では、実験は近接作用を支持している(例えば電子は自己相互作用によって異常磁気能率を持つ) といったところですが、これ以外に電荷や電流で作られたのではない電磁場があり、そのような場の中で荷電粒子がローレンツ力を受けることが示せれば場が独立した実在である証拠になるのではないかと思います。マックスウェル方程式は電荷や電流が0でも電磁場は0でない解を持っています。電荷や電流はなしで(磁気単極子もなしで)電磁場だけ存在すると考えられるような例はないでしょうか。高校で近接作用と遠隔作用の違いを曖昧なままにしておくことは天動説を教えるようなものだといったら言い過ぎでしょうか。
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