• ベストアンサー

閣僚の文民規定について

日本国憲法第66条第2項には「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」とあります。 しかしそもそも日本国憲法では軍隊の保有を禁止しているのですから、 タテマエ上では日本には文民しかいない事になるのではないのでしょうか? この場合の文民とは何をさしているのでしょうか? また逆にいえばこの条文を根拠に、憲法はいかなる種類の軍備も全て 禁止しているわけではなく、自衛のための軍隊に所属する軍人の存在は容認している という解釈も有り得るかと思いますが、自衛隊の合憲違憲の論争で この条文が持ち出された事はないのでしょうか?

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • fixcite
  • ベストアンサー率75% (129/172)
回答No.1

憲法66条2項の「文民」の解釈としては、 (1)旧憲法下で職業軍人の軍歴のないもの (2)自衛官の職歴のないもの (3)思想信条の点で軍国主義的思想に染まっていないもの のうち1つまたは2つ以上の組み合わせで議論されています。 66条2項はそもそも平和主義の理念を実質化させるための規定とされ、保安隊・警察予備隊が無かった憲法制定当初では、ナチ支持者の残党が西独で政治活動を再開したように旧軍人が政治活動をして政権をとることを阻止する点に力点があったのでしょう。しかし、その後警察予備隊は自衛隊として恒久的存在となり、平和主義を脅かしうるものが旧軍以外にも想定しうるようになると、軍国主義者の排除という趣旨から「自衛官は除こう」あるいは直截に「軍国主義者以外のもの」という主観的要件を加えようとする見解がでてきました。 実例では、羽田内閣で元陸上幕僚長(永野法相)、三木内閣で元陸軍中尉(名前は忘れました)が閣僚になった例がありました。官邸の言い分としては彼らは「職歴はともかく軍国主義者ではない」として野党の批判に反論した経緯がありますが、このような解釈論が66条2項の拡大解釈ではなく縮小解釈に使われた事例といえましょう。 >逆にいえばこの条文を根拠に、憲法はいかなる種類の軍備も全て >禁止しているわけではなく、自衛のための軍隊に所属する軍人の存在は容認 「鶏が先か卵が先か」的な議論になりますね。 もともと大日本帝国憲法改正のときに憲法9条の趣旨を進展させるために66条2項が草案に追加された沿革もあり、戦後の憲法解釈論はまず平和主義の根本をうたった基幹規定としての9条2項より禁止される「戦力」とは何かを解釈の上で66条2項の「文民」とは何かを解釈してきました。その平和主義の解釈の課程でもともと(「旧軍人の公職追放」的な趣旨での)追加に過ぎない66条2項を持ち出すと、後で66条2項を論ずるときにトートロジー的な論理的甘さが出てしまうため、現状では質問者のご指摘のような観点はあまり支持を得ていないのではないでしょうか?特に学説として体系的理解を試みようとするとどこかで理論破綻を起こしそうな気がします。 しかし、将来憲法9条2項が憲法の平和主義概念の構築に対して有する意義が相対化されたとき、たとえば、かの新総理のもとで自衛隊の憲法上の地位を明記すべく憲法改正が実現されたような場合、「66条2項の趣旨にかんがみれば現行憲法○条○項の自衛隊(当時の時点では「国防軍」か「人民軍」かもしれませんが)統制に関する規定の趣旨はこう解するべき」、というような逆の論理展開が提言されて注目されることもあるでしょう。 いずれにせよ、戦後61年たってクローズアップされる可能性が出てきた潜在的論点であり、個人的には面白いと思います。

その他の回答 (1)

  • teinen
  • ベストアンサー率38% (824/2140)
回答No.2

 いわゆる「文民条項」は憲法原案にはなく,衆議院において書き加えられた条項です。  この「文民」の対語は「武官」です。帝国陸海軍を解体したのですから,憲法制定当時には武官は居ませんでした。しかし,わざわざ「文民」という文言を入れることによって,その対語である「武官」が存在することを暗示しています。つまり,将来的に日本が軍隊を持つことを想定した憲法である。言い換えれば,現行憲法は,軍隊の創設を容認しているということを後世に残すために,原案を修正したのだと,修正案を強く押し進めた議員が明言しています。  自衛隊合憲論の論拠のひとつにもなっています。しかし,憲法制定時には,終戦前の軍部大臣現役武官制(陸軍大臣と海軍大臣は現役の武官でなければならないという規制)の否定であると,修正案を提案した議員が(真意が別であったにせよ)言っていますので,論拠としては弱い面があります。

関連するQ&A

  • 文民とは

    小学生の息子に質問されて困っています。 文民とは、軍人でないものと、覚えています。 軍人とはつまり、自衛隊員のことなのでしょうか。 また、憲法第66条第2項で,「内閣総理大臣その他の国務大臣は,文民でなければならない」と規定されていますが、「職業軍人の経歴をもたぬもの」と、解説してあるサイトがあったのですが、つまり、自衛隊員の経験のあるものは、内閣総理大臣にも国務大臣にもなれないということなのでしょうか。 この点、よくわからなくて困っています。 もしよかったら、このあたりのことを知っている方、教えてください。

  • 文民について

    文民について 自衛官補は軍人ですか文民ですか? 国務大臣・行政大臣について 被選挙権がある25歳以上じゃなくても大臣になることができますか? 19歳と20歳と25歳の例で答えてくれると嬉しいです

  • 「軍人」でも「文民」でもない自衛官って、いったい何?

     憲法解釈上の話です。  政府見解「自衛隊は、憲法9条第2項にあたる陸海空軍その他の戦力ではない」から、自衛官は軍人ではないでしょう。  政府見解「旧職業帝国軍人で軍国主義に染まっている者、及び現職自衛官は、憲法66条第2項の文民ではない」そうです。  そこで、疑問が生じます。 1.軍人でも文民でもない現職自衛官は、いったい何? 2.自衛官経験のある人が防衛庁長官になったりしてますが、やめれば即「文民」扱いとなり大臣になれるなら、憲法66条第2項は意味ないのでは? 3.かつて軍人だった岸さんや中曽根さんも、「文民」扱い?軍国主義に染まっていたような気もしますが、人の思想の客観的判断は誰がするのでしょう?

  • 文民支配

    退役武官が防衛大臣になることは、文民と退役武官が文民とみなされる期間の定義自体が曖昧なため、憲法違憲とはいえないが文民統制の趣旨から逸脱するとは言える。 以上に対して反論してください。

  • 集団的自衛権が成立したらほとんどの憲法学者は首?

    集団的自衛権が成立したら違憲だと言ってたほとんどの憲法学者達は首になるの?(´・ω・`)安倍が異端者活躍大臣を兼務して「集団的自衛権は合憲です」という合憲学者の天下になるのですかね?それとも憲法9条を踏み絵にして踏んだ者だけが偉くなったりして「集団的自衛権は合憲です」と皆が口を揃えるようになるのですかね?違憲学者は国民の命を守らない少数派の非国民になるのですかね?

  • 内閣総理大臣およびその他国務大臣について

    どこが違いますか? 教えて下さい。 1、内閣総理大臣は文民であるため自衛隊に対する最高指揮監督権をもたない 2、国務大臣は自分が議席をもたない議院には発言のために出席することができない 3、国会議員である国務大臣が選挙によって議員としての地位を失ったときはその時点で国務大臣の職を失う

  • 防衛大臣人事。

    一川防衛大臣でしたっけ。 すっかり味噌つけちゃいましたからやめていただいて、 後任に、 「長渕剛」 氏にお願いするって言うのはどうですか。 国会議員じゃないと、 なれないんですかね。 なんだか聞いた話では、 「文民」 がなると言うことらしいですけど、 日本には軍隊はありませんから、 日本中の人はみんな、 「文民」 じゃないですか。 この前テレビでやってました。 長渕剛さんが自衛隊で歌を披露していましたね。 たくさんの自衛官の方が拳を振り上げて一緒に歌っていましたよ。 中には泣いている女性自衛官も居ました。 一川大臣ではとてもこんな事はできません。 適任じゃないですか。 「文民長渕剛」 の、 防衛大臣就任。 だめだとすれば何がだめですか。 教えてください。

  • 同性婚禁止は違憲とした札幌高裁

    札幌高裁が同性婚の禁止は憲法違反の判決をしましたが、憲法24条では明確に「両性の同意によって」と記されてます。 違憲とした理由の一つに第14条に「法の下の平等」に反するとありますが、男女には身体に違いがあるので、逆に同性婚の禁止は合憲。法の下の平等が違憲という解釈だってできてしまいますよね。 同性婚を認めるなら、まずは憲法改正をするべきだと思いますが、条文を勝手な解釈により違憲とするなら札幌高裁こそ法を無視した裁判所だと思うのですがどう思いますか?

  • 自衛隊は憲法に違反していると思いますか?

    自衛隊は憲法に違反していると思いますか? (1)違憲だと思うか、合憲だと思うか (2)そう考える理由を簡単に ※個人に対するアンケートなので、政府の見解は聞いていません。 よろしくお願いします。

  • 武力の保持は合憲ですよね?

    自衛隊の保持が違憲であるとの誤謬が一部で出回っており、そのために憲法9条を改憲して自衛隊明記を目指そうとの動きが過去に政界で出てましたが、そもそも自衛隊の保持が違憲であると判断できる余地が9条には存在しているのですか。 憲法9条第2項で禁止されてるのは「戦力の保持」であって、しかし「武力の保持」を前提若しくは可能性として第1項の定めがあるのだと9条を読めるのであり、「戦力」の域まで達しない現在の自衛隊であれば自衛隊を「武力」として保持してもなんら憲法違反ではないと考えられるのですが。 逆に憲法改正して自衛隊を憲法条文に明記すると、自衛隊を非常に高いレベルまで強大・戦力化しても全て合憲の扱いになっしまい、現憲法の精神を完全に逸脱してしまう恐れが出てきます。 もしや、自衛隊の果てしない強大化を狙う自民党の強硬派は、それを密かに狙っているのですかね? (こういう部分に気づいていましたか。) +++++++ 以下に憲法9条を引用 +++++++ 憲法第9条 第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、【武力】による威嚇又は【武力】の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の【戦力】は、これを保持しない。 国の交戦権は、これを認めない。