• 締切済み

染織史について教えてください

hokuto_dsの回答

  • hokuto_ds
  • ベストアンサー率45% (106/233)
回答No.2

ご質問がたいへん広範囲にわたっているので、染め関係でわかるあたりをざっとお答えします。と言っても私もあまりくわしくはないのですが‥‥ 上流階級と下層民、また都市と農村においても大きく違い、さらに「流行」によって大きく左右されました。今の時代と異なることは、この時代の繊維・染織産業というのは国力を左右するほどのものだということ、あと衣服というのは厳格に身分の上下を表したものだったと言うことです。 山あいの方では毛織物、毛皮、そして中近東に近いほうでは絹織物、というのが大体のイメージになるでしょう。綿布はまだ後の話です。 ●全体に(大ざっぱに言って)亜麻布はオランダ名産(下着などによく使われる)、毛織物はオランダ、イギリス、フランス、(特にフランドル地方)の名産、シルクは地中海に面したイタリアやスペインの名産。主に中世は、毛皮と毛織物の時代。毛織物にも上質から粗悪まで多くあり、農民などは粗悪なものを染めずに着ていたりもしていた。(染め物自体はよく発達していたので、染めたものを着ることも珍しいことではありませんでした) ●濃い色、鮮やかな色がたいへんもてはやされ、高価であった。さらに、繊維の深くまで染料がしみ込んだ色落ちしにくいものも高価であった。また、緑色は二度染になるため(黄色+青)、やはり単色に比べれば高価。色あいも暗く、不安定だった。 ●中世ヨーロッパでは染物師は力を持った職人で、専門は細かく区切られ、赤の染物師と青の染物師は別である。さらに青でも大青やインド藍などではちがう、などのように非常に専門化されていた。 ●媒染(色を鮮やかに出すため、また色止めの意味でも使う必要不可欠な薬剤)にはミョウバンが非常に多く用いられた。ため、ミョウバンは中世の大切な貿易品であった。(銅や鉄、錫などでも媒染できますが、一般にミョウバンがもっとも明るい色に出ます) ●十二世紀の流行:貝紫の染め(ビザンティン帝国からの輸入品)たいへん高価でしたが、後半にはほとんど見られなくなって高価な布の代名詞は赤となる。 ●大青(藍を含む植物)が栽培され、青い服は安価だった(濃い青は別のレベル。これは赤と肩を並べるほど高価) ●十三世紀ごろから、スペインや南フランスでカイガラムシの赤がはやり、これで染めた毛織物がもっとも高価な布であった。(大量のカイガラムシが必要とされるため。安い赤は茜染で染めた。紅花がヨーロッパに入ったのは遅かったと思います) ●黒衣はそもそもきらわれたが、1350年ごろにイタリアで発令された「贅沢禁止令」によって黒衣が強制され、それによって美しい黒の絹織物の開発が進んだ。十五世紀には黒は流行色ともなって、黒自体の色合いのバリエーションも増えた。 ●贅沢禁止令は十三世紀から十六世紀、特にフランスでくりかえし発令された。華美な服装を禁じて衣服による身分制を保持する目的のほか、たとえば敵国の布地や染織物が流行したとき、その貿易を禁じて金が流出するのをふせぐ意味もあった。(禁じることでかえってその織物の価格高騰を招くこともありましたが) ●十五世紀末まで、黄色い服は道化を除いてほとんど着られることがなかった。 ●十六世紀後半以降にインドとの海洋貿易が確立されるまで、更紗などの色鮮やかな織物は少数しか入ってこなかった(藍もインドの藍染の方が色が美しく、あっというまにヨーロッパの産業を圧迫した。またインドは藍染料のみを固体にかためて輸出する技術も持っており_インド藍_、これもまたヨーロッパには大打撃でした) 染物商が染めたもののほかに、農民などは自分で野山でとった植物で染めたりもしていました。媒染には尿や灰などをつかったため色はうすくにごって、褪せやすかったようです。 個人的な考えでは、染めも織りもヨーロッパより東洋や中近東のほうがすすんでいるように思えます。同じ藍染だけとっても、日本の藍染の方が手が込んでいて技術が高い。以上、すこしでも参考になれば、さいわいです。

関連するQ&A

  • 染織の弟子入り

    こんにちは、伊保です。高校二年生で、進路決定がせまっています。今まで音大を受けるつもりだったのですが、何もわからないうちに染織のとりこになってしまい、右も左もわかりませんが染織の道にすすもうと思っています。 そこで、染織を基礎から学びたいのですが、プロの染織家の方々は弟子をとっていらっしゃるのでしょうか? 弟子をとっている染屋さんや染織家、織の専門家の方の情報をさがしています。できれば京都の藍染や自然染、そうでなくても、日本全国どこの情報でもどんな染めや織りの情報でも、いただければ本当にうれしいです。住み込みで弟子というか奉公のようなかたちがとれれば一番いいのですが、素人ですし、そんなウマい話はあまりありませんよね・・・。 情報が集められなく、切羽詰っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

  • 裁縫苦手でも染織大丈夫でしょうか

    通信制の大学で以前から興味のあったテキスタイル・染織を学びたいと思っています。ただお裁縫が大の苦手です。やっぱりお裁縫はできないとだめでしょうか?

  • 染織留学したいのですが。

    染織を勉強するために留学したいと思ってます。 テキスタイルといったらデザインになってしまうのですが、 そうではなくて、草木染めなど絵とは関係のないところで 染め織りができる場所を探しています。 もちろん日本でも勉強してるのですが、海外で 勉強がしたいです。 なかなか情報が入らないのですが、染め織りを 海外で勉強された方、またそういったことを ご存知の方、どちらで勉強できるか 教えていただけませんか。 よろしくお願いします。

  • 伝統について。

    日本の伝統には染色、染織、織物、友禅、焼き物、工芸、塗りとかたくさんありますが これらを伝統産業と言うんでしょうか? 伝統工芸と言うんでしょうか?

  • 雛形本の探し方について

    工芸意匠の主題研究で染織などの雛形本を使おうと思っています。できるだけたくさん見たいのですが、一般に出版されている雛形本全集のようなものってないのでしょうか。

  • 染織(絣)を関西で習いたい(沖縄の絣)に興味があります。

    染織歴1年です。 家では不可能ですが、絣を習いたくなりました。 関西で絣を習えるところをご存知ないでしょうか。 定期的に1年ほど習えるところがいいです。 沖縄の絣に興味があるので、沖縄に長期滞在しても いいとも思ってます。 良い場所、教えていただけないでしょうか。 よろしくお願いいたします。

  • 染織を勉強できる関西の芸大、専門学校の受験

    神戸在住です。高3の娘がこの時期(10月中旬)になり、染織を勉強できる大学か専門学校を受験したいと言い出しました。(1)京都精華、京都造形、神戸芸術があるようですが、専門学校含め染織の勉強ができる学校をご存知でしたら具体的に教えて下さい。各学校の授業内容などについてもご存知でしたら教えて下さい。(2)受験科目でよくある鉛筆デッサン、色彩表現の勉強を全くしていません。今から集中的にやって2月に間に合うのか、余りに虫のよい考えで恥ずかしい限りですが、情報、ご意見いただけませんでしょうか。

  • 別の目標がある場合の就活について

    現在就職活動中の大学生です。 大学在学中に出会ったことがきっかけで、 伝統工芸である染織に惹かれ、卒業後は 天然染色や染織の仕事に就きたい、と考えています。 ですが、大学在学中にであったとはいえ 専攻は染織や美術などに関わるものではないので、 もう一度大学や専門学校で学ぶ必要があると 考えています。 そのために一度就職をして、学費を 貯めようと思うのですが、 そう割り切ってしまうと就職活動において どのようなことを重視してよいかわかりません。 学校によっては社会人のための通信コースや 夜間コースがあるため、働きながら通うのが 理想です。 また、両親に染織のことを伝えたところ、 やはり収入面で心配をされ、反対されているため、 可能であれば副業にすることも考えています。 学校の就職課の方にもあまり相手にされずに 悩んでいます。 別の目標がありつつ、就職活動をされた方や、 就活のことでアドバイスがあれば 是非お願い致します。

  • ジャポニズムにおける富士のイメージについて

    19世紀の西洋でジャポニズムがブームになりましたが、富士もその中で人気だったのでしょうか。また富士は西洋人にどんなイメージを持たれていたのでしょうか。単なる異国趣味?を満足させるものだったのでしょうか。また19世紀後半くらいの文学や美術で富士が出てくるものはありますか。 またこのようなことを解説した本はありますか。

  • 中国の歴史

    19世紀後半から20世紀前半にかけて西洋の文化を取り入れた日本は成功したのに対して中国は成功しませんでした。それはなぜですか??