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短歌の解釈を教えてください。

歌人川田順に「冬やまも春来て青き山となる世のをはりまでかくのごとけむ」という歌があります。昭和23年の歌会始の選者としての作ということでよく知られた歌のようですが、この歌の解釈を教えてください。特に第5句の「・・ごとけむ」を文法的に解釈してください。

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  • usagisan
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回答No.4

No.3 です。 小学館『日本国語大辞典』の「ごとし」の項目には、 〈「平安時代の漢文訓読に、未然形「ごとけ」が用いられた。〉として、 「西大寺本金光明最勝王経平安初期点‐一〇」の「所獲の功徳も亦復是の如(ごとケ)む」、「石山寺本大般涅槃経治安四年点‐八」の「喩へば春の日に萠(も)え牙(きざ)し開敷するが如(ごとケ)む」など と例が示されています。 また、googleで "ごとけむ" を検索(ダブルコーテーションで囲んで、完全一致で検索)を行うと、川田順の歌のほかに 我が生はかくのごとけむおのがため納豆買ひて帰るゆふぐれ  斎藤茂吉『つきかげ』 人間を深く愛する神ありて もしもの言はゞ われの如けむ 釈迢空『倭をぐな』 汝が瞳やけどする迄見しといふ夕日は蓋し今日のごとけむ 石榑千亦 海わたる丹頂の頭にみちびきの地磁気影さす花のごとけむ 小池 光 くれなゐの蓮(はちす)の花を 月の夜に見るがごとけむ。   北原白秋『水墨集』(詩集) などの用例がヒットします。 用例はいずれも目に付いたものをコピー・貼り付けしただけで、用語用字の異同・出典等を確かめたわけではありませんので、ご自身でも検索の上、書籍等でお確かめになるようお願いいたします。

sasa8787
質問者

お礼

調べていただきありがとうございます。幾つも例があったんですね。中には有名な歌もあり、うっかりしていました。ただ改めてこれらを見ると、川田順のは「ごとけ+む」つまり現在推量がやはり歌意に合うと思いますが、千亦や茂吉、迢空のものは歌意から過去推量の「けむ」が合うように思われます。もしそうなら「ごとけむ」に二通りあるということになるでしょうか(「けむ」とする場合は「ごと」との接続が問題になりますが)。自分で更に確かめたいと思いますが、参考意見を聞かせてもらえればありがたいです。

その他の回答 (3)

  • usagisan
  • ベストアンサー率71% (105/146)
回答No.3

「ごと・けむ」ではなくて、「ごとけ・む」だと思います。 ネットでは、 http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=%22%E3%81%94%E3%81%A8%E3%81%91%E3%82%80%22&source=web&cd=6&ved=0CF0QFjAF&url=http%3A%2F%2Fir.library.tohoku.ac.jp%2Fre%2Fbitstream%2F10097%2F33526%2F1%2FKJ00004182210.pdf&ei=zm_8T9OtKa-OmQXj_7WsBQ&usg=AFQjCNFVh5RYmLApo1lfZtMLuo2QpxpdCQ の1ページ下段末に 〈未然形には. 「ごとけ」 に推量の助動詞 「む」 がついた 「ごとけむ」 や〉 という記述があります。 また、旺文社『全訳古語辞典』(手元にあるのは第二版)の「ごとし」の項目の【文法】の項に、 〈(2)未然形に「ごとく」を認める説もある〉 として、 〈(中略)なお、平安時代の漢文訓読語には、未然形に「ごとけむ」という形があったことが知られている。〉 とあります。「ごとけむ」で一つの未然形としてとらえても、その成り立ちは「ごとけ・む」でしょう。 ともかくも、「(落葉した木が多かった)冬山も春が来て青々とした山となる。この世の終わりまで、この〈ようである・だろう〉」という訳になると思います。 この世に終わりが来るまでは、自然の営みがずっと繰り返されていくだろう、と詠んでいるのでしょう。

sasa8787
質問者

お礼

ありがとうございます。比況の助動詞「ごと」の未然形は「ごとく」の他、「ごとけ」「ごとから」があり、従ってこの場合「ごとけ+推量の助動詞む」というお説、十分納得できました。「ごとけ」は全く知りませんでしたが、これなら一首の意味もまことに自然に理解できます。「ごとけむ」の用例が他の短歌にあったら、更に教えていただけると有り難いです。

回答No.2

「けむ」は過去の事実の推量ということですから、「ごとけむ」は、「このよう(そのよう)だったであろう」という意。 「世のをはり(終わり)」、つまり、世界が消滅し、何も無くなって、本当に、科学的、哲学的、宗教的に「無」の状態に立ち至り、更に、その後、長い年月が経過した遠大な場所に自らの身を置いて、宇宙の消滅(終焉)以前の地球上にあった「日本」という国(風土)を想うという壮大な歌。 「青」には「青眼の構え」というように「正」の意が含まれていますから、「青き山」とは、「真実」の喩えか。人は時に過ちを犯すが、やがて時の経過とともに、本年なる真実(真理)に立ち至るものという人間賛歌、または、人間擁護論。

sasa8787
質問者

お礼

ありがとうございます。この歌が「人間賛歌」「人間擁護論」ということ、よくわかりました。ただ、だとすれば「世の終わり」を想定する作者の気持ちが解しかねます。また「ごとけむ」は「ごとありけむ」の「あり」を省略したというようなことでしょうか(「ごと」と「けむ」が直接接続することはあり得ないと思いますので)。

回答No.1

日本は戦争に負けたが、 季節は何もなかったかのように巡ってくる。 冬山も春が来れば緑の山となる。 人の世に何があろうと、永久に季節はこのように巡るのだなぁ。 「けむ」は、過去の推量だから、おかしいと思うかもしれませんが、 「世のをわり」からはるか昔の「今」を振り返ってみている気分に読み手をさせているのだと思います。 ちなみに、掲題の短歌を掲げたサイトがありました。 サイト主なりの解釈も掲げています。 http://blog.shop.azenjapan.com/?eid=261751

sasa8787
質問者

お礼

ありがとうございます。「けむ」に引っかかったのですが、お説に成る程と思いました(ただ、普通に現在からこの先を推量するのでなく、わざわざテンスをずらして振り返る表現にすることの良さが、もう一つわかりませんが)。更に「ごとけむ」の接続はどのように解釈するのでしょうか。「ごと」と「けむ」の間に省略があるということでしょうか。このような用法があったら実例を教えてください。

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