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「違反を犯す」と「規則を犯す」。文法的に。

kine-oreの回答

  • kine-ore
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回答No.62

#59です。 >もちろん重言の構文が異なりますが(後者はサ名詞が後にくる、馬から落馬した型です)。 1.重言の度合い そもそも戯れ歌「昔の武士の侍」のパターンも幾つかありますが、基本的には漢熟語の音読みと訓読みでの重複表現を連続させていますので、分離すれば2つの文章になります。 <古(いにしえ)の昔の武士(ブシ)の武士(もののふ)が、山の中の山中で馬から落ちて落馬して、女の婦人に助けられ顔を赤らめ赤面し、家(うち)に帰って帰宅して仏の前の仏前で、短(みじ)か刀(かたな)の短刀で腹掻き切って切腹した。> A.漢語体 「古(いにしえ)の武士(ブシ)が、山中で落馬して、婦人に助けられ赤面し、帰宅して仏前で、短刀で切腹した。」 B.和文体 「昔の武士(もののふ)が、山の中で馬から落ちて、女に助けられ顔を赤らめ、家(うち)に帰って仏の前で、短(みじ)か刀(かたな)で腹掻き切った。」 このように、二傾向の文章を混在させた形での重文では、このような和漢語体だけでなく、矛盾表現重複や頭音重複遊びもよくあります。 「雨の激しい月夜の昼間、一人息子の三人姉妹、山に登って川流れ、大慌てで悠然と、焼け死にながら生還した。」 「四郎の尻(しっぺ)に虱(しらみ)が四匹、しっかりしがみついて白くなって死んでた。」 とまれ、これが単に「馬から落馬」の程度であれば、新情報を加え、助詞の格に気を付ければ撞着は免れます。 「どの馬<で>落馬したの(どの馬<から>落ちたの)」「落馬したのはその黒い馬さ」「あの黒い馬のせいで落馬したんだ」 「いにしえの昔」の場合でも、万葉の頃の「去にし辺」は経験を超えた遠い過去を示し、「むかし」の方は話者の経験した過去の時点や時期の事柄を「思う」ことを意味するという点からすれば、「昔といっても私の過去ではなく、それよりずっと以前の…」を指しており、その点では「いにしえの昔」も「むかしむかし」も決して単純な重言ではなく「たんと昔」の慣用表現なのだとも見做せます。 逆に「武士(ぶし)の侍(さむらい)」という言い方ではその相違点がむしろ気になるところ、「武士(ブシ)の武士(もののふ)」ならばそのまま重言で笑えます。 重言でも漢字で書いたものと耳で聞いただけでは、その過誤のレベルにも自ずから大きな差異があってもおかしくないし、また時代と共に許容範囲にズレが生じてくるのも尤もでしょう。 湯たんぽ(湯湯婆)、覚悟の自殺、戦後以来、離発着、諸刃のやいば、波紋を投げる、話題を集める、視点を向ける、取り敢えずの応急処置、ぐっすり熟睡、慎重に熟慮、突然の卒倒、台風の被害を蒙る。 これらを通して考えてみると、自己の言い方や文章表現や、またプロの文章では気になるところは辞書で確かめて、その漢熟語に習得しようと心がける、一方相手の会話表現はもちろんネット書き込み程度では大らかに受け止める、というスタンスでありたいものです。 2.漢熟語と動詞での縁語の度合い 1)<ニ格>を取るサ変自動詞…単に事実を陳述。  「~に違反した」…用言の対象を限定で修飾する。 2)<ノ格><デ格>を取るサ変自動詞(統語的)…事実表明に含みが入っている。  「~の違反をした」…体言の手段や事由を限定で連体修飾する。  「~で違反をした」…体言の手段や事由を限定で連用修飾する。 3)粗野ないし俗な表現で他動詞化させ、違反の結果としての科罰への意識)  「~で違反しちまった」  「~で違反をやっちまった」  「~で違反をやらかした」 4)一般的な他動詞による違反の結果としての罪責の所在の確認  「私が~の違反行為をしてしまった」  「私は~で違反行為をやってしまった」  「わたしは~で違反を犯した」 この「~違反行為を…」がいささか長く言いにくくもあり、代わりの他動詞もどうやら見つかりにくいため、結局「犯した」という言い方が手取り早くも止むを得なくもある事情が見えてきます。 違反は「違犯」ではないので、そのままの重言ではないともいえますが、文章上で気になる場合は「をおかす」と漢字を避ける手もあります。 スポーツ場面で「もう一度反則をおかすと退場だぞ」「あの選手はルール違反をおかしてペナルティボックスにいます」など、ペナルティがらみなので違反や反則の責任の所在を明らかにするために「おかす」という表現をとることで明解性を伝えたいのではないでしょうか。 また、「犯罪」という漢熟語は、動作のない抽象名詞として「的」を付ければ形容動詞化するだけに、そこには「犯」の動詞的意味は希薄となり、あくまでも「法の規定を破ることで刑罰規定の対象となる罪」と捉えれば「犯罪を犯す」もまた「罪を犯す」と同義に近いでしょう。

thegenus
質問者

お礼

多彩な用語を挙げて下さり、自習に役立ちます。私は権威主義ではないので用語に説得力を認めないのですが、勉強と思考の整理には大変有用です。貴重なご教示ありがとうございます。

thegenus
質問者

補足

重言は慣用句になってしまえば仕方ないと落着させられるかもしれませんが、 No.49でご紹介して頂きました「誤りやすい慣用句」について、 これは「慣用句ではないもの」も収録されているのでしょうか。つまり慣用句みたいに使われているがそんな慣用句はないという事例ですね。 それとも「罪を犯す」は慣用句なのでしょうか。 ★「罪を犯す」が「犯罪を犯す」という難のある句の原形である、原形を堅守できなかった、ただそれだけの事件ということでしょうか。 厳密にはこの新聞社の手引きが正しいと考えるべきでしょうか。違反を犯すは使いそうになっても止める方が正統なのでしょうか。この手引きの存在に引っ掛かります。ご紹介くださり感謝しております。 私も時間をかけながら言語学方面の論文など掻い摘んでいるところなのですが、回答者さんのお示しになられた用語や観点のわけがようやく見えるようになってきました。 お示しの誤用例ですが、話題を集める、は話題を探すなら良いのでしょうか。波紋を投げかけるは聞きますし、戦後以来は私も強引に使う事がありました。終戦以来ですかね。 これらは使いたい漢熟語があってその誘惑に論理力が負けたのだと思います。 ★A★「違反を犯す」の議論も、論点は「犯す」の方ではなく、どうしても入れたい単語「違反」の採用にあるのではないでしょうか。 「違反を犯す」と同じ構造をしているもので有名な句がありますでしょうか。 「違反する」=「犯す」になりえると思うのですが、同等の関係にある漢熟語を、和語が結果目的語にする例です。 「規則に違反する」と「規則を犯す」のように同じ意味になるものです。 ★B★「違反を犯す」これは何に違反するかを厳密に表現できない苦肉の策なのかもしれません。難の規則を犯しているとは一言で言えないから、う~ん、「違反を犯す」です。(しょうがないじゃん的な説明が妥当なのでは?) 同じ言葉を並べて曖昧文をそう見えないように整形しているのです。どうでしょう。

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