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「違反を犯す」と「規則を犯す」。文法的に。

kine-oreの回答

  • kine-ore
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回答No.59

#44への回答です。 あれこれの辞書類など、開いたまま足元に撒き散らし状態で、いちいち当たりながら掘り起しています。 [1] 「4.改めて…」については私の言い回しです。これは、「1.補足の関係」において上に述語(他動詞)で下に目的語(事物の名)が来る一番基本的な関係に限定して分かりやすくしたため、その他の「補足の関係」を「4.改めて…」として仕訳した次第です。 こちらは述語(自動詞)+補語(内容や事情の説明語)の関係などを意識しています。(上が目的語で下が述語の関係は女犯くらいなので省きました。) 犯法について、そのまま法を犯す(目的語+他動詞)ですが実は、法に背く(補語+自動詞)ともみなしうるのか。犯罪は、罪を犯す(目的語+他動詞)なのか犯した罪(形容語+名詞)のどちらが主か。このような視角から動詞は「犯す」なのに、「法を犯す」「罪を犯す」「過ちを犯す」の役割の違いが説明できるのではないかと考えた次第です。 なお、漢語が二字以上の熟語となった場合の基本構成の分類については、大方の漢和辞典の付録部に簡潔にまとめられています。 [2] 補足は補足説明ですから、「限定的な「内容説明」」で結構です。ただ他動詞の取る内容は目的語で、自動詞などの取る内容は説明語といった位置づけ上での差異の認識は必要でしょうが。 [3] 多くの辞書に記載があっても、その出所は一緒の源泉からの孫引き同士でしかなかったりしますから、必要な場合は別角度の記述を見つけるまで他の辞書を探し続けます。 今回の場合でも、それが「新明解」や「現代国語例解」ですし、実は悩んだ例としては小学館「国語大辞典」において「おかす」の項で「法を侵す」「過ちを犯す」と記載されていたことです。「犯す」といえば何よりなのが「過ち」という精神的負い目や自己責任意識なのではないかと感じた事の個人的裏付けでもあります。 部下が「ミスしました」とサ変名詞でフツーに躱そうとすると、「この程度のミスはニ度と犯すんじゃないぞ」と自覚を促すパターンです。 国語辞書に記載がない場合では、まずコロケーション辞典で用例確認します。 【違反】─が 絶えない。増える。経る。 ─を 犯す。摘発する。取り締まる。 ─に 問われる。 ─違反 重い。軽い。交通。明白な。…」(三省堂「てにをは辞典」) http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dicts/ja/tenioha/ そこに記載があれば、用例辞典や類語辞典などにもあたります。それでも見当たらないものはとりあえず誤用の可能性が高いとしてお蔵入りします。もちろんこの調べを通して得た知識において納得が行かなければ、幾つの辞書に凡例があるものでも避けます。 [4] これは引用が短いのでわかりにくいのですが、完全に逆説的言い方になっています。 この続きには「こういう場合には、何らかの注記(たとえば本来の語義からは越脱した誤用であるむねの)が必要なところだと、私は思います」とあります。新傾向を載せるにせよ載せないにせよ、とかく日本の辞書作成の「えらぶった曖昧さ」は困ったものだということでしょうか。 [5] このくだりは、半ば冗談交じりの記述でもあるので、ちょうどこの10月1日付の新刊として出版社を遷して発売されたばかりですから、立ち読みでもいかがでしょう。 http://www.shinchosha.co.jp/book/116831/ [6] 漢語には「天地人」のような事物を表わす名詞と、「往来/去就」といった動作語、「大小/強弱」という形状を表わす形容語といった区分がありますが、その実、「同一の語が名詞としても、動作語・形容語としても用いられ、簡単には区別し得ないところに中国語の著しい特色がある。…ただし、意味・用法が異なるに従って、アクセント、すなわち四声(平・上・去・入)の違いが生じることもある」(角川小辞典「日本の漢語」)ということです。 名詞に「する」を付けてサ変動詞化する(違反する)。「をする/行う/起こす」などをつけて統語的に動詞化する(犯罪を起こす)。また「的」をつけて動詞性を強める(犯罪的)。 これらのやり方は動作性名詞だけでなく、どれとでも簡単に動詞風にすることができる(青春する/主婦する/朝シャンする)ので、逆に言えば簡単に「する」が取れて「サ変名詞」に化しもします。このサ変名詞化したことで、もはや当初の名詞は今や別物に「変色」しているのではないか。 それはつまり、その語が持っていた特有のコロケーションが崩れてしまったため、その特有の意味を恢復させ、明確化させるために、あえてその名詞に含まれている語意を動詞で付加し意味の明確化を果たすために、あえて重言性の稚拙さを選んででも…というケースが、特に演説や会話語ではよくあることです。 「そりゃ大変だ。ただちに皆を集めて鳩首談義しよう!」「ホント、本当なんです!二度と再び万引きは犯しませんからどうかご容赦ご勘弁お願いします。」 [7] 語法のマナーとは多岐に及ぶため漠然としすぎて難しいですね。 まず基本となる文章作法では、論旨の明解性とコロケーションの遣いこなしが大切でしょうから辞書などで誤用を避ける努力は欠かせないでしょう。会話では相手次第ですから、適度の敬語の遣いこなしこそが第一で、あとは説得性と親和性次第でしょう。 サ変動詞が頻繁に現れるのはむしろ、新聞記事やTV報道レポートなどで、とりわけ見出しには名詞のサ変活用部を切り取った体言止めが多いので、意味の蝋化現象が頻繁に見られるでしょう(「ヤンチャする」「暴行する」)。いずれにせよサ変名詞は簡単で便利なだけに、その結合性が弱く蝋化を来たしやすいので、「テニヲハ」の遣いまわしがもっと見直されても良いのではないでしょうか。 [8] 私の個人的な意識では「犯す」という言葉は「あやまちを犯す」がもっとも親和性が高く、それ以外では、「法に背く」「規則を破る」「犯罪(名詞のみ使用)」「犯行に及ぶ」「違反する」といった表現などが自然に思えます。 [9] そう思います。違犯・違叛・違背といった熟語が消えて違反一本化したことで、それらの意味合いまで含めて多用された結果、個人レベルでの約束違反、また組織の意志・命令違反や業界の協定違反かられっきとした犯罪行為や法律違反まで、余りに広範な意味負担が掛り、そのためそれらの構文上の縁語関係までちぐはぐになり、その用法解釈においてどんどん個人差・世代差が拡大しつつということではないでしょうか。

thegenus
質問者

お礼

>「[5] このくだりは、半ば冗談交じりの記述でもあるので、ちょうどこの10月1日付の新刊として出版社を遷して発売されたばかりですから、立ち読みでもいかがでしょう。」 ご紹介、ありがとうございます。読みました。「朝シャンする」の話ですね。

thegenus
質問者

補足

向学心に感服しています。圧倒されましたし、その中で優しいご指導を受けて、反省もしております。英語関連の本は必要に迫られて持っていても日本語関連の本を所蔵している人は多くないような気がするのです。国文学科からの因縁のようなものでしょうか。私はそういう読書をしてこなかった事を気付かされました。どうして日本語関連の所蔵家になられたのでしょうか。ご自身ではどう思われます。「>[5]井上ひさしの日本語相談」のご紹介ありがとうございます。これがもうお買い求めになられて手元にあると言うことでしょうか。日本語相談シリーズで著者によって議論が分かれたりもするのでしょうか。 回答者さんはタバコも酒もやらず本(国語関連)を迷わず買う感じですか。私は前々から、スポーツの類をマスコミや政治家や政府が振興する愚民化運動を全廃して、とりあえずは国語の趣味を広げるべきだと思っているのです。スポーツは野心の教育と馬車馬の育成です。国語は論理的な国民作りになります。 No.58の閑話休題以降に書いている議論ですが、私に対してご教授して頂けないでしょうか。よろしくお願いします。 kine-oreさんの本回答に関しても、前回答に関しても、精読中です。 (No.49の7-3) >C「そりゃ友達だから応援は惜しまないけど、さすがに選挙違反を犯すってわけにはいかないだろう。」 この例文をサ変動詞化すると ・D「そりゃ友達だから応援は惜しまないけど、さすがに選挙違反するってわけにはいかないだろう。」 違いが出ますね。どうでしょう。 ★また「《ブティックの》店を閉店した」は面白いですね。どういうことなんでしょう??文法的な説明は存在せず、心理的問題ですかね。国文法はやれやれですね。 (No.3の補足)の最後の引用文は、いきなり「違反を犯す」から始まります。 >「違反を犯すことがないよう、自分の行動を再点検してみましょう」 どうでしょうか。「違反を犯す」はヘンであるというご意見も寄せられていますが。「店を閉店した」とはまた違いますよね。もちろん重言の構文が異なりますが(後者はサ名詞が後にくる、馬から落馬した型です)。

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