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乗客犠牲者なし、新幹線の対策は?

 「東日本大震災では、あれだけの巨大地震にもかかわらず、新幹線の乗客に1人の犠牲者も出しませんでした。大きな揺れが来るのをどのように察知し、高速で走る列車を安全に停止させることができたのでしょうか? 新幹線の地震対策について教えてください」=匿名

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 ■保たれた〝安全神話〟  マグニチュード(M)9・0という空前の規模となった東日本大震災。東北新幹線も電化柱や高架橋などに大きな被害を受けて全線で運転を見合わせ、完全復旧までに1カ月半以上を要した。  ただ、乗客が停止した車内に丸1日以上閉じこめられるなどしたものの、死者・負傷者はゼロ。昭和39年の導入以来、乗客の死亡につながる重大事故を起こしていない新幹線の〝安全神話〟は、今回も保たれた。  地震大国ニッポンを走る高速鉄道の宿命として「地震対策は当初から最重要課題の一つ」(JR関係者)。揺れをいかに早く検知し、時速200キロを超える高速で走行する車両を安全に停止させられるか-。この「難題」解決のために国鉄鉄道技術研究所(現・財団法人鉄道総合技術研究所)が開発したのが「ユレダス(UrEDAS)」というシステムだ。  地震が発生すると、最初に初期微動である比較的小さな縦波(P波)が到来し、それに続き主要動である大きな横波(S波)が到来する。  早期地震検知警報システム(Urgent Earthquae Detection and Alarm System)の頭文字をとって名付けられたユレダスは、各地に設置した地震計がP波を検知して大きな揺れの到来が推定される場合や、一定以上の地震波を検知した場合に変電所から列車への送電を自動的に停止。車両の非常ブレーキを作動させて減速・停止させ、被害を最小限に抑える-というものだ。  JR発足後、東海道新幹線で平成元年ごろからJR東海が導入し始めたのを皮切りに、JR東日本やJR西日本も相次いで導入。地震計の増設や、地震波検知から警報発信までの所要時間を当初の3秒から1~2秒程度にまで短縮するなど、今日までに多くの改良・改善が加えられてきている。  今回の震災でも、太平洋沿岸に設置された地震計が、新幹線の沿線に最初の揺れが到達する約10秒前、最も強い揺れの約70秒前には緊急警報を発していた。  JR東によると、東北新幹線では東京-新青森間で当時計18本が営業運転中で、福島県と岩手県の間を走っていた5本の速度は時速270キロ前後に達していたが、揺れが来る前に時速30~170キロ程度も減速したため、すべての車両が安全に停止できたという。  今回の震災を受けてJR東の清野智社長は「今後は(高架橋などの)耐震補強と合わせて地震計の精度アップなどもさらに進めていきたい」と話している。  ■直下型では脱線対策に課題も  新幹線の地震対策をめぐるもう一つの大きな課題が、脱線への対応だ。  大きな転機となったのが、平成16年10月に発生した新潟県中越地震。上越新幹線「とき325号」(10両編成)が長岡駅付近を時速約200キロで走行中、真ん中付近の2両を除く計8両が脱線したのだ。営業運転中、しかも高速運転中の新幹線が脱線するのは初めての事態だった。  幸いけが人などは出なかったものの、関係者に与えた衝撃は大きく、JR各社と国土交通省は、新幹線脱線対策協議会を設置するなど、対策に着手した。  JR東では、万が一脱線しても台車に取り付けられたL字型の突起がレールに引っかかり、車両がレールから大きくはみ出すのを防止する仕組みを導入。JR西日本とJR九州は、レール内側に敷いたガードに車両の車輪が引っかかることで、逸脱を防止する設備を取り入れた。  JR東海は、線路に脱線防止ガードを設置したほか、車両の下部に「逸脱防止ストッパ」を取り付け、脱線時にガードに引っかかってはみ出しを防ぐ機能を持たせるなど、車両、線路両面での対策を進めている。  現状では、直下型の大きな地震が起きた場合に脱線を確実に防ぐ手だてはなく、いずれも脱線による被害を最小限に抑える仕組みづくりといえる。  今回の震災でも、営業列車の脱線はなかったが、仙台駅構内を走行中の回送列車(10両編成)の前から4両目の一部が脱線。詳しい原因は国土交通省の運輸安全委員会が調査中だが、JR東関係者は「地震で鋼鉄製の高架橋がずれた衝撃による可能性がある。今後の教訓としたい」としている。(原川真太郎)      ◇  「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。

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