• ベストアンサー

債権者代位権の行使

債権者代位権の行使は裁判外でも裁判上でもできるとされていますが、裁判上としては、 非訟事件手続や、民事訴訟によることが考えられるでしょうか? 裁判外で行使出来るという意味がよく分からないですが、内容証明等による第三債務者 への債権者代位の通知等があれば、第三債務者が任意に従わない場合でも、裁判によ って強制力をもたすことが出来るのでしょうか?

  • a1b
  • お礼率74% (985/1325)

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
回答No.2

 裁判外での債権者代位権の行使で,最も多いのは,登記手続でしょうね。  #1の回答が誤っていますが,XがYに対して,登記手続を命じる確定判決を得ているときに,Yの任意の協力なく登記ができるのは,確定判決により,Yが登記手続上なすべき不動産登記法上の意思表示がなされているからであって,債権者代位権によるものではありません。  しばしばあるものとして,XがYに対する金銭給付を命じる債務名義を有していて,Y所有の不動産を差押えしようとするとき,その不動産が,Yの先代の名義のままになっている場合に,XはYに代位して,相続登記(相続による所有権移転登記)をすることができます。この場合は,厳密にいえば,債権者代位権の転用であり,債務者の無資力要件は必要でないとされています。  まあ,一般的にいえば,債権者代位権は,債務者に対する債務名義なしに行使できる権利とされていますので,第三債務者のところに行って,「私は,債務者に対する債権者です。債務者が無資力になったので,第三債務者の債務者に対する債務を,私に払ってください。」と言って,素直に応じる第三債務者はまずいないでしょうね。ですから,結局は,典型的な債権者代位権は,裁判上行使することを余儀なくされているということになります。もちろん,厳密にいえば,これは,債権者代位権という権利が裁判上行使されているわけではなく,債権者代位権に基づいて,債務者の第三債務者に対する債権を裁判上行使している,ということになるのでしょうけれどね。  詐害行為取消権は,その条文自体で,裁判上行使すべきとされているので,債権者代位権との行使要件の違いは明らかです。  実質的にいっても,債権者代位権の行使の場合には,元々存在する債権債務(債権者・債務者間,債務者・第三債務者間)が行使されて,それぞれが消滅するという本来あるべき状態が生じるだけで,債権者・債務者・第三債務者の誰もが,特に損失を受けるわけではありません。もちろん,債務者に対する他の債権者の利益の問題はありますが,これは債権者代位権の知るところではなく,他の法律制度によって解決される問題でしょう。  しかし,詐害行為として債務者・受益者間の法律行為が取り消された場合には,受益者は,債務者から取得した財産を失い,債務者に支払った対価がある場合には,これを取り戻さなければならないという法律関係が生じますが,一般的には,債務者からの取り戻しは事実上不可能です。そういう意味で,詐害行為取消権行使の影響は,債権者代位権とは比較になりません。ですから,詐害行為取消権を裁判上の形成権とした意味は,十分にあると思えます。

a1b
質問者

お礼

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございます。 微妙な部分の理解に時間がかかってしまい、お礼が遅くなり失礼しました。

その他の回答 (2)

  • tk-kubota
  • ベストアンサー率46% (2277/4892)
回答No.3

law_amateur さんの言うとおりです。 登記のときの例は私の勘違いです。 正解は、Xが原告で、YとZを被告として「1、ZはYに対して所有権移転登記手続きをせよ。2、YはXに対して所有権移転登記手続きをせよ。」との判決では、XはYに代位してZからYに、YからXに登記できます。 この例、つい先日実務経験積みです。 なお、詐害行為取消権の場合は、何をどのように取り消したか、取り消したために何がどうしたかと言うことが問題で、それを任意に内容証明郵便などで通知したからと言って、そのまま執行力が与えられるとは思わないです。 そのことを判決で明らかにして初めて執行力があると思います。 その点、代位登記は、登記原因証書が判決であったり、戸籍簿謄本のように公文書だから可能ではないかと思っています。

a1b
質問者

お礼

いつも、懇切丁寧かつ論理明快な回答を有難うございます。 微妙な部分の理解に時間がかかってしまい、お礼が遅くなり失礼しました。

  • tk-kubota
  • ベストアンサー率46% (2277/4892)
回答No.1

例えば、AさんがBさんに100万円貸していて、BさんはCさんに100万円貸していたとします。 いずれも返済期日は到来していて、Bさんは、そのCさんに貸した100万円以外に、これといった財産がない場合に、AさんはCさんに100万円支払えと言う訴えの提起が可能です。 これを、裁判上の債権者代位の行使と言います。 「裁判外」と言うのは、例えば、XさんがYさんに、某不動産の所有権を移転登記せよ、と言う確定判決をもっていても、Yさんが登記手続きをしないときに、XさんはYさんに代位して法務局に登記申請できます。そのような場合を言います。 なお、内容証明郵便などで債権者代位しても、それは債務名義とならないので執行力はないです。

a1b
質問者

補足

いつも懇切丁寧かつ論旨明瞭な回答を有難うございます。 とても、具体的で分かり易かったです。 一点、お聞きしたいのですが、債権者代位権が裁判外で出来るの に対して、詐害行為取消権の場合には裁判外では出来ないとされ ていることの違いです。 債権者代位を裁判外で行った場合には、強制力はないものの法的 な効果は発生するのに対して、詐害行為取消の場合には、例えば 内容証明等で取消を受益者等に通知しても強制力はもとより、法 的効果そのものが発生しないと考えてよいのでしょうか?

関連するQ&A

  • 債権者代位訴訟について

    債権者代位権に関して質問させてください。 債権者代位訴訟が提起され、その旨の告知を受けた債務者は、代位された債権について処分権を失い、債権者は、目的たる債権について管理権を取得することになるとされます(非訟事件手続法76条2項参照)。 そこで、すでに債権者代位訴訟が提起された後に、他の債権者が債権者代位訴訟を提起することは可能なのでしょうか。 最初に債権者代位訴訟を提起した債権者にすでに管理権が移転していることからすれば、他の債権者が別途代位訴訟を提起することは不可能なように思えます(また、記憶違いでなければ、この場合は共同訴訟参加によるべきと教わったような気もします)。 しかし、自分が見た解説では最判45.6.2を根拠に、他の債権者も代位訴訟を提起できるとしています。自分が持っている資料では、最判45.6.2を確認できませんでした。 どなたか教えてください。よろしくお願いします。

  • 債権者代位権の行使と効果

    債権者が代位権の行使に着手して、通知すると、債務者は以後 それを妨げる処分行為をすることが出来なくなるとして、非訴事 件手続法76条に言及しているのですが、具体的にはどのような ことを言っているのでしょうか?

  • 債権者代位訴訟で重複訴訟

    Aが、第三債務者Bを代位して、債権者代位訴訟を提起してCを訴えます。 右訴訟継続中に、BがCを訴えれば、二重訴訟で却下となります。 しかし、それ以前に、第三債務者には処分禁止効(非訟事件手続法72条)が働くので、訴えが不適法却下となるのではないですか。

  • 債務者が有するの債権者代位権を更に代位行使する

    債務者が有するの債権者代位権を、その債権者が更に代位行使することの可否について教えてください。 例えば、AはBに100万円、BはCに100万円、CはDに100万円の債権を有するとします。 B、Cともに無資力で、どの債権も弁済期にあり、B・Cともに権利を行使しないとします。 登場人物    A     ⇒     B     ⇒     C     ⇒     D 債権           100万円       100万円      100万円 弁済期           到達          到達         到達 資力                   無し          無し この場合、Bは「CのDに対する100万円の債権」をCの債権者として代位することが出来ますが、これを行使しません。 そので、Aは上記の「BがDに対して有する債権者代位権」をBの債権者として代位行使し、Dに対して債務の履行を請求することが可能でしょうか? 以上、ご教示ください。 よろしくお願いします。

  • 債権者代位権について

    債務者に連帯保証人がいた場合でも、債務者の財産確保のために債権者代位権を行使することはできますか?

  • 債権者代位権か保証債務か。

    あるテキストで、債権者代位権について以下のような説明がありました。 「債権者代位権とは、債権者が自分の債権を保全するために債務者が有する権利を行使できる権利です(423条)。債務者が財産上の権利の行使を怠っているときに有効です。債務者が財産上の権利を怠っているときに有効です。たとえば、債務者が第三者に対して有する金銭債権を取り立てない場合などです。代位権を行使すると債務者は財産権の処分ができなくなります。ただし、親権や慰謝料請求権などの一身専属権については代位権を行使できません」 さて、たとえばクレジット会社に数カ月支払いを怠っていた場合など、督促の次に別会社から以下のような「代位弁済通知書」というのがきます。 「弊社A社はあなた様とBクレジット会社間のカード契約に基づくクレジットカード債権につき、Bクレジット会社に対する保証債務を履行いたしました。従いまして、弊社Aはあなた様に対する求償権を(代位)取得いたしましたことご連絡致します。 債権者代位権も保証債務も、いまいち具体的な実例がわからないのですが、クレジット会社の例は、債権者代位権、それとも保証債務なのでしょうか?しかし代位とあるので、一見債権者代位権を、B会社はA会社より譲り受けたともとれます。 双方が違う法律であれば、違うポイントや、それぞれについての解説などをご教授いただければと思います。よろしくお願いします。

  • 債権者代位権の行使について

    登場人物 A (Bの債権者・金3000万円の債務名義あり) B (土地の所有者・担保提供者) C (債務者 債権額金5000万円) D (第1順位抵当権者 後順位無し) B所有土地の推定価格 金2000万円 DはCに対して金5000万円を貸し付け、その債権を担保するために、Bが担保提供して、その所有する土地に抵当権が設定されています。  この抵当権設定登記は、抵当権設定契約書は無く、権利書も無く(保証書でやっている。保証人はDの知人)、DがBから委任を受けた形で、抵当権の設定がされています。  Dは、B,Cと親戚関係にある者で、Cの実印や印鑑証明を自由に使える立場に在ったようで、勝手に抵当権の設定をした疑いが濃厚です。  ただ、疑いがあるだけで、完全な証拠はありません。  つまり、DはBの無権代理で、DとCの金銭消費貸借も存在せず、無効な登記であるのは確実と思われます。 今、C、Dは、他の借金で夜逃げをして行方不明になっており、連絡が取れません。 そこで質問です。 抵当権無効確認並びにその被担保債権不存在確認訴訟を起こすことを考えています。 (1) Aは、B,C,Dを被告にして詐害行為取消権に基づいて訴訟を起こすべきなのでしょうか? (2) それとも、Bに対する債務名義を使って、Bに代位して、C,Dに対して、所有権に基づく妨害排除請求権を行使して、訴訟を起こすべきなのでしょうか? (3) (2)の場合において、被代位者Bをも被告にすることは出来るのでしょうか? つまり、原告Aが、抵当権設定登記に関わったことになっている全員を相手にして無効の確認を取りたい場合、被告Bは明らかに、被告Dによって不利益を被っているので、その不利益を被っている被告Bの代位をして訴訟することが出来るのでしょうか? どなたか、御教示をお願いします。

  • 債権者代位権について

    債権者代位権に付いての質問です。要件として、被保全債権が弁済期にあることが挙げられると思うのですが、被代位権利は弁済期に達している必要はないのですか? 弁済期前で行使可能なのであれば、第三債務者がかわいそうな気がするのですが...

  • 債権者代位権と債権者取消権の非保全債権の履行期について

    民法の独習者です。 債権者代位権と債権者取消権の非保全債権の履行期の扱いについて理解できません。 債権者代位権の要件の一つは非保全債権が履行期にあることとされ、一方、債権者取消権は非保全債権が履行期にある必要はないとされています。 なぜ、このような違いがあるのでしょうか? 内田先生の基本書、コメンタールなどを読みましたが、債権者取消権の非保全債権が履行期前でも行使できるのが当然のような書きぶりで、すっきりしません。 また、債権者代位権の方は、非保全債権が履行期にあることが必要ということですから、単純にイメージして、債務者が履行遅滞して、やっとつかえる権利ということで良いのでしょうか? と、ここまで質問文を書いて、債権者取消権は裁判上の行使が必要だから、履行期という制約を課さなくても、債務者の権利行使に対する不当な干渉のおそれが小さいが、代位権は裁判外でも可能だから、債務者が履行遅滞になってやっと行使できるようにしたということかな、という気がしてきました。 とすると、同じ責任財産保全の制度なのに取消権と代位権でそんな違いがあるのかが疑問です。 要領を得ない質問で恐縮ですが、もし、詳しい方がいましたら、ご助言いただけると幸いです。

  • 債権者代位訴訟について

    法律を勉強している者です。 債権者代位権訴訟について疑問点があり、質問させていただきます。 貸金返還訴訟を提起し、訴訟係属中に被告から原告に弁済がなされた場合、請求棄却判決が出されますが、以下の場合も同様に請求棄却となるのでしょうか? 被保全債権を100万円、被代位債権を70万円とします。債権者が第三債務者に対して債権者代位訴訟を提起し、自己に70万円の支払を請求しました。 しかし、その訴訟が係属している最中に債務者が50万円を獲得し、無資力要件を充足しなくなりました。 この場合にも、同様に請求棄却となるのでしょうか?(そうだとすると、請求棄却後に債務者が別の人から新たに30万円の債務を負ったなどという事情が生じた場合、債権者に不都合なようにも思えます。) それとも、50万円を獲得したという訴訟提起後の事情は無視して請求を認容し、債権者は70万円を第三債務者から取得し、残りを債務者から取得することになるのでしょうか? よろしくご教授願います。