• ベストアンサー

立替え払いの相殺

建設業においては、複数の下請負構造になっております。当社が元請で下請業者と下請負契約をするときは、契約書に添付する約款において賃金不払い、破産・民事再生などの申請、銀行取引停止など、再下請業者への支払遅延などの場合は、当社が立替え払いをして、その下請業者への債務と相殺するとしております。 そこで、破産法によると、破産後の相殺禁止が書かれていますが、事前(着工前)に契約していた時も破産法の適用により相殺禁止となるのでしょうか?

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • Bokkemon
  • ベストアンサー率52% (403/765)
回答No.1

ご質問のケースは、元請会社が中間請負業者が倒産した場合でも、二次下請業者の安全を確保することで請負工事をできるだけ小さな負担で続行するために定める場合が多いと思います。 相殺禁止に関しては、破産債権者間の公平を確保するため、破産法第104条(相殺禁止)の定めがあります。 ◆相殺できない場合…( )部分は本件のために付記しました  1)破産債権者(二次下請⇒元請)が、破産宣告の後に、破産財団に対して債務    を負担した場合    …破産の事実を知っているので、以後の負担増について相殺を認めなければ     ならない必要が低い     = 別段の策を講じた事実上の抜け駆け回収の防止  2)破産債権者(二次下請⇒元請)が支払停止または破産申立をしたことを知っ    て破産者(下請)に対して債務を負担した場合    …破産の可能性を認識しているので、以後の負担増について相殺を認めなけ     ればならない必要が低い     = 別段の策を講じた事実上の抜け駆け回収の防止    ※負担の原因が      (1) 法定原因(相続や法人合併など)による場合、      (2) 破産する可能性を認識する前の事実による場合、      (3) 破産宣告の1年以上前に生じた事実による場合     である場合を除く(=相殺可能)  3)破産者(下請)の債務者(元請)が破産宣告の後に他人(二次下請)の破産    債権を取得した場合    …他の破産債権者(二次下請⇒元請)の債権を譲り受けることで相殺禁止を     有名無実化することを防止し、他の破産債権者(二次下請⇒元請)が相殺     を悪用して迂回回収することを禁じる  4)破産者(下請)の債務者(元請)が支払停止または破産申立をしたことを知    っていて他人(二次下請)の破産債権を取得した場合    …上記と同視できる場合の「駆け込み回収」「駆け込み相殺」を禁じる    ※取得の原因が      (1) 法定原因(相続や法人合併など)による場合、      (2) 破産する可能性を認識する前の事実による場合、      (3) 破産宣告の1年以上前に生じた事実による場合     である場合を除く(=相殺可能) 破産債権を事後的に取得して下請業者に対する債務と相殺するものですから、工期にもよりますが上記の3か4のどちらかに該当し、禁止の例外規定に該当しなければ、相殺はできません。「取得の原因」が「破産原因発生前の請負契約に基づく停止条件つき代位弁済契約を履行したことによる求償権の取得」と考えると、上記の4の(2)に該当すると考えることができるのではないでしょうか? ちなみに、その他の場合の原則は破産法第98条の定めにより、  『破産債権者が破産宣告の当時破産者に対して債務(反対債務)を負担するとき   は破産手続によらずに相殺を為すことができる』 です。 破産者(下請)の有する債権、破産債権(二次下請の債権)のいずれかに期限・条件がついていても同じです(同法第99~101条)。 但し、破産債権者(二次下請⇒元請)が有する債権について具体化する条件(停止条件)があって、これが満たされていない場合や債権の効力発生日前である場合は、元請から破産者(下請)に対する弁済債務について、弁済額のうちその相殺相当額を寄託するように請求して、債権が効力を生じた時点で相殺する(寄託物は元請に戻る)ことになります。 逆に、破産債権者(二次下請⇒元請)が有する債権に効力を打ち消す条件(解除条件)があって、これが不確定な場合には、破産者(下請)に対して相殺を主張するためには、その相殺にかかる債権相当額を破産債権者(二次下請⇒元請)が寄託するか担保を提供して、債権の効力解除に備えておくことが求められます(解除されることが無くなれば元請に戻るか担保権を抹消する)。 ※ 上記の「破産債権者」「破産者」の表記は、本来は不正確ですが、当事者関係をわかりやすくするために敢えてそのような表記にしました。ご了承ください。

momotarou1966
質問者

お礼

詳しくありがとうございました。 確認させていただきたいのですが、回答の中で、「できるのではないでしょうか?」となっておりますが、「できる」と理解して差し支えないでしょうか?判例等があれば参考に教えてもらえればありがたいのですか。よろしくお願いします。

その他の回答 (3)

  • Bokkemon
  • ベストアンサー率52% (403/765)
回答No.4

==> 建設業での判例を出さなかったのは、建設業の元請業者は企業のイメージ ==> ダウンを避けるために、裁判にまで持ち込まず示談で済ますことが多いか ==> らか 他意はありません。類似事例の判例でみつけられたのが先の回答の例だっただけです。

momotarou1966
質問者

お礼

たいへん失礼いたしました。何度も繰り返しの質問にお答えいただきありがとうございました。

  • Bokkemon
  • ベストアンサー率52% (403/765)
回答No.3

意味不明なことを書いてしまいました。 「破産債権者が否認せずに相殺に応じるものと思います」とあるのは、 「破産者が否認せずに相殺に応じるものと思います」の間違いです。

  • Bokkemon
  • ベストアンサー率52% (403/765)
回答No.2

昭和41年4月8日最高裁第二小法廷昭39(オ)1158号 同法104条3号(昭和42年7月27日法律第88号により現2号を挿入。当時の3号は現4号)について   『破産者ノ債務者カ支払ノ停止又ハ破産ノ申立アリタルコトヲ知リテ破産債権   ヲ取得シタルトキ』には相殺をすることができない旨規定しているのは、破産   宣告前であっても、支払停止または破産申立があった後のいわゆる危殆時機に   おいては、すでに破産債権の実価は下落するのが通常であるところ、破産者に   対する債務を負担している者が右時機において実価下落の破産債権を取得して   相殺に供し、もつて、不当に有利にその債務の消滅を計ることを許すのは、破   産法が本来考えた相殺許容の趣旨を逸脱するものといわねばならず、しかも、   右の場合の破産債権の取得は、破産者の加担なしに行われうるから、否認権を   もつてこれに対処することができない点を考慮したことによる』 と述べています。 つまり、「実質価値が下落した債権を廉価に取得して債権の表面額で相殺をすることで不当に有利に債務を消滅させようとするのは、破産財団の健全性を損なうし、これについて破産者が阻止できない」という事情から、このような相殺を禁止した趣旨だということです。 上記に続いて   『破産債権をすでに有する者がそれとの相殺を企図して破産者に対する債務を   負担しようとするには、破産者との間に新たに債務負担行為をする場合および   債権者たる破産者も加って債務引受の合意がなされる場合は勿論、債務者と引   受人とだけで債務引受の合意がなされる場合にあっても、少くとも債権者たる   破産者の承認を要するから、破産者の加担なしにこれに対する債務の負担は考   えられないわけであって、破産債権を有する者が支払停止または破産申立のあ   ったことを知りながら破産者に対する債務を負担する場合には、右債務を負担   するに至った行為自体について否認権行使が考えられる』 と述べています。 つまり、債権譲渡の時点で破産者が否認権を行使できるのであれば、相殺を禁止するまでもないとしています。 また、以下の判例もあります。 昭和39年7月15日名古屋高裁判決昭38(ネ)376号   『控訴人が破産者の取引先から払込を受け、同額の預金債務を破産者に負うに   至つたのは、~(略)~(既に)成立した-取引契約上控訴人が破産者に負担   していた義務履行の結果なのであり(控訴人がその受入を拒むことは破産者に   対する債務不履行となる)、その破産者に対する(略)債務の負担は、契約上   の義務という法定の原因に準ずべき原因に基づくともいいうべく、また支払停   止前の(略)成立した契約という原因に基づいて、負担するに至ったものとも   いいうべきものである。そうすると、控訴人の破産者に対する預金債務負担は   破産者の支払停止を知っての後のことではあるが、破産法104条3号但書の趣旨   に鑑み、右債務を以てする破産債権との相殺は有効になされうる』 つまり契約上の義務は、「法定の原因に準ずべき原因」だと述べています。 以上から、前記回答の4の(1)に該当するという主張も、理由がないものではないとは思います。 ただ、「代位弁済」という契約上の義務は「求償権」の取得を前提にしているものの、求償権の取得は代位弁済後に発生するものですから、代位弁済自体が支払停止または破産申立の後に行われるものであることから、直ちに適用できるかどうかを確答することはできませんでした。 契約上、破産した者も了解していることですので、破産債権者が否認せずに相殺に応じるものと思います。その経緯も、不当に債務を免れようとするものではありませんので、有効だと考えることが可能だと思いました。

momotarou1966
質問者

補足

判例も、そのときの法律の解釈によって、違う結果が出ることもありそうですね。Bokkemonさんが、倒産等は他業種に比べて非常に多いはずの建設業での判例を出されなかったのは、建設業の元請業者は企業のイメージダウンを避けるために、裁判にまで持ち込まず示談で済ますことが多いからでしょうか。

関連するQ&A

  • 相殺の領収書?

    先日下請として工事しました。元請業者も一部施工しました。 請負工事金額\20,000,000 内相殺費\5,000,000です。 工事も完成し、元請より連絡があり『明日振り込みます』との事です。 その時に『相殺の領収書を下さい』と言われました。 どういうことでしょうか? 相殺費\5,000,000の請求書と領収書は元請業者から貰っています。 相殺費を差し引いた\15,000,000の領収書を切ればいいのでしょうか? 直接元請業者に聞けばいいのですが、あまりに恥と思いまして・・・。

  • 建設業法における勧告

    建設業法第41条(2)(3)において、「下請業者の賃金不払いや第三者への損害を、元請業者が立替え払いするように勧告することができる」となっております。「勧告」は、指導・助言に比べ強制力が感じられます。 そこで質問です。 Q1.その「勧告」には従わなければならないのか? Q2.その立替え払いは、下請業者への債務と相殺できるのか? Q3.Q2で相殺できるとすれば、下請業者が破産申請や民事再生申請を行った後でもできるのか? Q4.Q2・Q3で相殺できないとすれば、立替え損(二重払い)となるのか? 以上、4点を教えてください。

  • 建設工事を赤字受注する理由について

    赤字の建設工事を下請負人が、受注する理由を教えてください。 私は元請で、2900万で下請と請負契約を交わしましたが、破産した下請の管財人が「下請は当初800万の赤字で断ったけど、無理やり、元請に契約書を交わさせられた」といっています。勿論そんなやりとりはありません管財人が、「赤字で請けるメリットがないじゃないか?」などといってきています。まず思いつくのは、下請が元請との関係を維持するために、あえて引き受けたという理由などは思い浮かびますが他の受注理由が考えられるのであれば、教えてください。

  • 建設業法における軽微な工事について

    発注者(公的機関)→元請(建設業許可なし)→一次下請けが当社(建設業許可あり)→二次下請け業者(建設業許可あり)というスキームで案件を受注しようとしています。 案件の内容はシステム更改であり、大部分が物品とキッティングですが、ネットワーク工事等も含まれるようです。 発注者⇔元請の契約内容は恐らく業務委託契約等です(元請が建設業許可が無いため)。契約金額は分かりません。 元請⇔当社の契約内容も恐らく業務委託契約等です(元請が建設業許可が無いため)。契約金額は1000万円程度です。 ただ、当社(一次下請け)から二次下請けの業者へ500万円以下の建設業法対象工事(軽微な工事)を工事請負契約で発注します。 案件全体の中で、建設業法対象の工事はこの500万円以下の工事のみです。 この場合、建設業法上問題がありますでしょうか。 (また、当社は元請と業務委託契約を結びながら、二次下請け業者と工事請負契約を結ぶ事も問題となるか、合わせてご教授願えればと思います。) 何卒よろしくお願い致します。

  • 相殺領収を発行してもらえない。

    この度下請で土木の公共工事をしました。  契約金額は500万  材料相殺分 100万  振込金額  400万 普通は振り込まれた日付で相殺の領収書を発行するものと認識しておりますが、元請けが面倒くさがり領収書を発行してもらえません。 税務調査の時に困る、といいましたが、怒り出す始末です。 どう説得したらいいのでしょうか。

  • 工事請負契約約款と工事標準下請契約約款の違い

    本年4月より民法が改正され、9月には建設業法も改正される中で、工事請負契約の見直しをしておりますが、元請けになる場合と下請になる場合での契約約款に違いがあるのでしょうか?

  • 当社は買主になるのか?

    当社は建設会社の元請です。孫請けの材料屋Aが、下請けを飛ばして、請求書を送ってきました。当社は下請けと孫請けAに、「下請けの請負額の中から立替てやる」と回答して、孫請けAに直接支払いました。  ところが、下請けの請負額がもう過払いになりそうだったので、孫請けAに「もう立替えられないので」請求書は、下請けに送ってくれと頼みました。しかし、孫請けAは、「請求書」を元請に送ったのだから、最後まで、払ってください、といってきています。  そもそも下請けは最初はその孫請けAから買うつもりはなく、同列のもっと安い材料屋Bから買うつもりで一回は注文していたのですが、当社とつながりのあった孫請けAがそれを無理やりやめさせて、当社に請求書を送ってきたいきさつがあります。当社は最後まで、孫請けAの材料屋に支払う義務がありますか?

  • 請負業者への「債権」と「賃金」相殺を禁じる法律は?

    労基法17条には、使用者は、「前借金その他労働することを条件とする前貸の債権」と「賃金」とを相殺してはならない」という決まりがあります。 つまり、法的性質を「貸し金」とする賃金はないという意味だと思います。 これは、労働者の対価を保護する意味があるのだと思います。 ところで、雇用契約ではなく、請負契約でそれにあたる法律はないでしょうか。

  • 請負金の支払いに関する質問です。

    請負金の支払いに関する質問です。 建設業の専門工事業を営んでいますが、弊社下請負Aが同業者Bに対しての労務費不払いで困っています。 BがAに対しての出来高支払いを止めて弊社からBに不足分を支払ってほしいと相談されています。 この場合、Aの承諾なしにBに支払わなければならないのでしょうか?詳細は下記に示す通りです。詳しい方、ご教授願います。 ※AがBに対しての支払いが全て労務費です。更に、一部ではありますが支払っています。 ※Aの既支払額は、Bの住んでる地域の最低賃金を超えています。 ※弊社とAの請負契約は単価契約となっており、出来高払いになっています。単価の内訳の90%がAとAが抱えている職人の労務費です。 ※Bの不足請求額はAの先月出来高の2倍です。 ※Aは倒産や破産はしてませんが、連絡がつかない状況です。 ※Bが弊社の現場で働いているのは知っておりましたが、直接契約している訳ではありません。 ※Bの抱えている職人は家賃も払えないと相談されています。 ※弊社とAの下請負契約約款には立て替え払いは、原則としてしないと明記されています。

  • 建設業請負契約の約款について

    発注者と請負者とは、上記工事の施工について、添付の請負代金見積書、工事請負契約約款に基づいて、工事請負契約を結ぶ。 上記は請負契約書の中身ですが、請負契約約款とあります。読んでも中々理解できません。 一般の住宅工事(1000万くらい)で施主さんと契約する場合、この約款もつけなければいけませんか。 それとも大きな工事を請け負っている業者が、下請けさんとの契約で使うものでしょうか。 あまり気にしていなかったのですが、分かりましたら教えてください。